下克上さながら、実はコスト削減…

 昨年末から潮目が変わった円高株安の影響で、
 アベノミクスの景気の伸びも腰折れ状態が続いています。
 大手ハンバーガーチェーンが不採算店の撤退を一斉に行ったニュースは、
 記憶に新しいところです。

 すぐさま、空き店舗に競合するハンバーガー店が入り営業を始めるという、
 下克上さながらの激しい立地争いに圧倒されました。
 テナントが退店する場合には、内装や什器などをすべて処分して
 スケルトンという状態にしてオーナーに引き渡すのが通常です。

 主に厨房設備を備えた飲食店などが撤退した店舗を、
 処分費用を浮かすため、現状のまま引き渡すこと居抜きといいます。
 後に入るテナントは、内装や設備にかけるお金が少なくてすむので、
 立地の悪くない場所で、初期投資が少なくて済むならば、
 十分採算に乗ると見越して看板を付け替えてのオープンとなるのです。

 挫折の末、家族を残し藁にもすがる思いで志太勤氏が東京に出てきたのは、
 義父から紹介された知人に仕事をもらうためでした。
 相手の迷惑を顧みず、再三にわたって訪問した甲斐もあって、
 社長を務める会社の社員食堂の運営を任せてもらうことができます。
 この仕事が足がかりとなり、
 外食、給食事業大手のシダックスと成長させていくのです。

 遡ること、野球選手になる夢に破れ、
 希望を失っていた少年の志太氏が任されたのが、
 親戚が経営していた大衆食堂の運営でした。
 食堂は、別名「トラック昼夜食堂」と呼ばれ、
 幹線道路を行き来するトラックの運転手相手に24時間営業する店です。

 三、四時間の睡眠を取って交代するほど店は繁盛し、
 黙々と商売に打ち込んだのです。
 しかし、そんな状況は長続きせず、新しいバイパス道路ができた途端、
 客足は落ち込み、一気に廃業に追い込まれることになってしまいます。

 その後は、兄が営んでいたこともあり、
 アイスキャンディ事業を手がけるようになります。
 甘い菓子が少なかった時代、アイスキャンディは飛ぶように売れました。
 なおかつ、原料代が安いこともあり事業は順調に拡大し、
 県内で1、2位を競うところまで拡大したのです。

 しかし、調子になっていたのが仇となる事故が起きます。
 近郊では最大といわれる規模で、最新鋭の機械を備えた冷菓工場を建て、
 自信満々で運転したのも、つかの間。
 完成から一年経ったある日、工場が火災になり、
 社員寮、隣接する自宅ともに全焼し、すべて失うことになってしまいます。

 様々な体験をしたものの、起死回生をはかり、
 社員食堂に打ち込んだことが実を結び、
 シダックスの基礎を作ることができたと語っています。
 志太氏は、起業に必要なこととして「計画力」をあげています。

 志に向かうまでの、道のりを決めること。
 10年後の自分を思い描ければ、そのために5年後までに何をするか、
 1年後までに何をするか、それを決めないといけない。
 そういう計画を持ってこそ、無駄のない人生が送れる。

 事業が成長できるかどうかは、
 初期投資をいかに早く回収できるかどうかが鍵を握っています。
 居抜きの物件を狙い飲食店を展開する会社では、
 初期投資が回収できる目安を、1年半と決め出店を行っているそうです。
 それは、同規模の店舗を新規から作るより、1/3ないし1/4に抑えられるため、
 開店時の設備投資を早く回収することができるからなのです。

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