菓子メーカーの江崎グリコが、置き菓子「オフィスグリコ」の事業を分社化し、
本日(6月1日)新会社を発足します。
新会社には、百貨店のテナントで高級菓子を販売する事業も引き継ぎ、
両事業の相乗効果で、これまで以上の規模拡大を狙っているそうです。
オフィス向けに、菓子の販売を手がけようとしたきっかけは、
お菓子の消費シーン市場調査の結果からでした。
一位は、ご想像のとおり家庭内の消費です、70%のダントツです。
次にシェアを占めていたのは、オフィスでの消費という結果でした、
二位にくるのはアウトドアだと、担当者は思い込んでしたそうです。
早速、役員会議に諮られ、オフィス…つまり、男性をターゲットとして、
販促を行うかどうか決断を促されました。
「オフィスに対してリフレッシュメントを提供する。」
新しいキャッチフレーズのもと新規事業として決定した瞬間です。
まず試してみたのは、飲料メーカーのヤクルトが採っている訪問販売方式でした。
大阪駅周辺のオフィスビルに狙いを定めて、一件ずつ飛び込みで訪問して、
菓子の巡回販売を行ってみました。
まずまずの成果ではありましたが、午後の注文はある程度あるものの、
午前中はさっぱりでした。
どうしても、午前中に職場で菓子を買う雰囲気ではなかったのです。
訪問販売の合間に話し合い、アイデアを出し合って出た答えは
「置き菓子」にすることでした。
箱置きにすることで、対面することの抵抗がなくなり、
気軽に買ってもらえるのではないかという期待があったのです。
菓子が入った3段のボックスを置かせてもらい、
週に1、2回担当者が訪問して中身を補充するシステムです。
事業開始から14年経った今では、設置は11万台を超え、
一品は100円程度でありながら、年商は40億円を超えるように育っています。
創業当時、森永製菓や明治製菓がキャラメルで人気を博している中、
新しいキャラメルを発売し、その市場に乗り込んでいったのが創業者の江崎利一氏です。
そのキーワードとなったのは、「栄養菓子」という発想でした。
自分自身が若い時に、虚弱体質を食餌療法で克服した経験から、
栄養素が健康に大きく影響することを学び取っていたのです。
ある時、カキ料理を作っていると、
煮汁の中にグリコーゲンという栄養素が含まれていることを知ります。
国民の栄養状態が良くない時代、グリコーゲンを基にして健康に貢献できる食品を
作ってはどうかという気持ちが湧いてきました。
そこで、みんなが喜んで口にしてくれるには、どうしたらいいかと考えたところ、
キャラメルの中に含ませることを考えついたのでした。
こうして生まれたのが、「一粒300メートル」のグリコなのです。
人目を惹くパッケージと、このキャッチフレーズにより、
瞬く間に人気となり、先発メーカーと肩を並べる地位を確立することになるのです、
創業者の挑戦への意欲は現在の商品開発に結びついています。