現在、アパレル業界はとてつもない逆風にさらされています。
なんと、大手が出店する百貨店やショッピングセンター(SC)の売場は、
この2年で1600店以上が閉店となっているそうです。
売上を伸ばす為にブランドを立ち上げ、売場を確保する。
目新しさに客は足を運び、百貨店やSC自体の売上も伸びることになるので、
双方が潤い円満でした。
ところが、消費者の嗜好の変化や節約志向により、
衣料や身の回り品の国内販売は、20年前の6割程度まで落ち込んでいます。
百貨店の衣料品売上も5年で2000億円近くまで減り、
アパレルに対する客離れは如実に表れているのです。
ファストファッション中心の横並びコーディネートも飽きられ、
他人とは少し違ったコーディネートに気持ちが移ってきています。
なんの変哲もない店構えでありながら、
着実に利益を貯められることを強みとしているのが、
衣料品チェーンストア「しまむら」です。
しまむらは創業者の島村恒俊氏が、呉服を中心に既製服や
オーダー服を取り扱っていた呉服店が始まりとしています。
品揃えを日常衣料品中心に切り替えたのと同時期から
多店舗展開することを考え始め、そして、チェーン化に力を発揮したのが、
後の社長となる藤原秀次郎氏だったのです。
店舗をチェーン化するに当たって問題となるのが、
衣料品特有の色違い、柄違い、サイズ違いなど種類の多い商品の管理と
売れ残りが出ないよう、店舗間で商品を行き来させる物流を、
どのように効率よくするかということでした。
低価格を売り物にしている、しまむらでは仕入れる商品はすべて買い取りです。
スーパーのように売れ残ったからといって、メーカーへ返品することはできません、
よって、シーズン内に売り切れないということは、
その分の在庫がコストになってしまうということなのです。
加えて、婦人ファッションの宿命ともいえる品揃えの多さがあります。
標準的な大きさの店舗では、4~5万アイテムを展開していますが、
売れ残りを出さないためには、商品の売れ行きを常に管理して、
絶えず売れる店舗へ商品を移動して消化させているのです。
しまむらでは、チェーン化を進めた早い段階で、
コンピュータによる在庫管理システムを導入しました。
本部で商品の売れ行きを把握して、
なんと1枚単位で店舗間を移動できるようにしているのです。
そして、この移動を可能にしているのが、自社便で作り上げた物流体制です。
外部に委託していては、到底叶えられそうにない、
スピーディできめ細かな運送と維持費の安さの両方を兼ね備えています。
島村氏がチェーン化を考え始めた1970年前後に、
スーパーを展開するには後発であり勝ち目がないと感じ。
そこで、食料品に比べ利益率の高かったスーパーの衣料品部門を、
単独で展開すればビジネスとして成り立つのではないかと考えたのが始まりでした。
お話した衣料品特有の理由から、同業者が手を出さなかった分野でしたが、
非効率という原因をひとつひとつ解消してきたのが、しまむらだったのです。
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