この価格で採算を保つには…

 電機メーカーのパイオニアは、創業以来、高い技術力を売り物にした
 音響製品を数多く発表してきました。
 その中でも市販カーナビゲーション(カーナビ)は、
 27年前に世界初のGPS対応のカーナビを発売し、
 現在では市場では3割のシェアを握っています。

 当時のカーナビは、車の動きから位置を推定する仕組みだったため、
 精度が良くありませんでした。
 同社は民生利用が始まりかけていたGPS機能をいち早く採用して、
 自動車位置の精度を一気に高めたのです。

 松本 望氏は、父親がキリスト教の伝道師を務める一家で育ちました。
 勤労精神を養うようにしなければいけないという方針により、
 小さい時から新聞配達や床屋の見習いに出されていました。
 幼い少年の楽しみは、自作の機械で外国船舶の無線を傍受することでした。

 そんな、機械好な少年の夢が叶ったのは32歳の時です。
 楽器輸入商、楽器メーカー、電機製品の輸入商の
 サラリーマン生活を送っていた時、耳寄りな話が舞い込んできました。
 それは、キリスト関係の団体から、独立資金を
 援助してもらえるという内容だったのです。

 早速、立ち上げた会社の名前は「福音電機製作所」、
 音により社会に貢献したいという思いの現われだったのです。
 当時、スピーカーや部品の製造は関西が中心に行われていましたが、
 松本氏は東京に出て、スピーカーの生産を始めます、
 ここで売り出したブランドが「パイオニア」だったのです。

 オーディオと共に、カー・ステレオの分野で
 高いシェアを持つ同社です。
 カー・ステレオへの道を開くきっかけとなったのは、
 BGM用のテープレコーダの製作でした。

 ある大学教授から、アメリカ製のカートリッジ式テープレコーダを
 見本にして、同じものを作ってみないかという相談でした。
 このテープレコーダは音楽を繰り返し再生するために、
 エンドレスの方式になっていました。

 国内でもBGMが採り入れられ始め、
 その後、普及していくことになるので、
 エンドレス方式のテープレコーダの製作は
 経営にも貢献することになります。

 最初は大きかった、カートリッジもだんだん小さくなり、
 4トラックや8トラックの曲数が選べるものとなります。
 ちょうど、マイ・カーのブームも訪れつつあったことから、
 この技術を応用して、カー・ステレオに発展させたのです。

 上手く事が運ばないものもたくさんありました。
 ひとつは、倒産したトランシーバ・メーカーを
 引き継ぎいだ、短距離型の無線機の事業です。
 当時は国内の近海漁業用が主で、
 各地の漁業組合などに売っていました。

 もうひとつは、低価格型のテープレコーダの事業です。
 世の中が高級化していく流れの中にあって
 安物イメージでは、やはり受け入れられなかったのです。
 同時期に2つも失敗を重ねることとなります。

 上場したことにより、資金の調達が容易に出来たことが
 心の緩みに繋がりました。
 併せて、社内の体制が整わないのに、
 権限の委譲を進めすぎたのが原因でした。

 ひとつの事業が軌道に乗るには、ユーザの求める価格で
 採算が取れるようにしなければなりません。
 いつも、松本氏はコスト削減の努力を忘れませんでした、
 そのことは「福音」の願いを守り続けることでもあったからです。

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発 行 元:シモヤマ会計事務所(下山弘一税理士事務所)
〒604-8471 京都府京都市中京区西ノ京中御門東町101
TEL 075-813-4850
発 行 人:下山弘一

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