遊び心を加えた工夫が魅力を引き出す

 メールやSNSの普及で減っているというものの、
 各地から届く年賀状の拝見は、まだまだ我が家の年始の恒例行事です。
 最近は仕事関係以外でも、綺麗にデザインされたものが多くなり、
 自分自身も含め「お手製」の葉書が少なくなりました。

 現在のようにパソコンやプリンターが家庭に普及するまで、
 何十年もの間、年賀状といえば、印刷したものを買ってくるか、
 プリントショップに注文し、
 空いた時間を使って、せっせと宛名書きをしていたものでした。

 その流れを大きく変えたのは、理想科学工業が発売した「プリントゴッコ」です。
 77年に発売されるや爆発的なヒットとなり、
 30年を超えて年賀状や暑中見舞などの挨拶状の作成には、
 欠かせない存在となりました。

 フラッシュをピカッと光らせ、
 親子でワイワイ言いながら年賀状にスタンプしていく光景は、
 ほのぼのとした年末の一場面となりました。

 理想科学工業の創業者 羽山昇氏は、学生時代にいわゆるガリ版と呼ばれる、
 謄写版作りの仕事を手伝ったことがきっかけで謄写印刷業をはじめます。
 後には、独自のインクを完成させるなど孔版印刷の分野で研究に力を注ぎますが、
 「家庭で使える印刷機が出来ないか」と思い立ったことで開発がスタートします。

 当時はオイルショックの影響による長引く不況で、
 どの企業も業績不振に陥っていましたが、
 理想科学工業も例外ではありませんでした。
 打開策として新しい製品を開発することで、好転の糸口を探ろうと、
 社内では様々なプロジェクトが進められていました。

 その中のひとつが、はがき等のカード類に印刷することを
 ターゲットにしたものでした。
 すでに、印刷機、インク、専用原紙に関する技術は持ち合わせていましたが、
 製版機とプリンターをどのようにして一体化するのかが課題となりました。

 もうひとつは、プリントゴッコの特徴である、原稿の内容をフラッシュの光を使って、
 謄写版に転写する技術です。
 開発担当者が、ストロボを焚くと熱が発生して熱くなることに気づきます。
 試しにカーボン紙の上に専用原紙を乗せて、
 フラッシュすると、わずかに孔が開いたのです。

 製版も印刷も動作が共通していることがわかり、開発会議で提案をしてみたのですが、
 参加者はいぶかる様子で、決していい顔を見せようとしません。
 ただ一人、社長の羽山氏だけは「とにかく一台を作ってみろ」と
 ゴーサインを出してくれたのでした。

 もうひとつ、気になるのが商品名です。
 「プリントゴッコ」という、おもちゃと間違えられそうなネーミングについては、
 社員も広告代理店も、難色を示したのです。
 羽山氏の頭の中には、子供がママゴト遊びによって親から学び取る過程を
 大事にしたいという気持ちが込められていたのです。

 ウインドウズ型PCが登場してから20年以上経ち、
 プリンターや用紙の性能も格段に向上して、
 家庭での印刷物もプロ顔負けのものが作れるようになりました。

 しかし、結果的に出来の良い素材を集めることにつながり、
 個性がなくなってしまうことになりました。
 もう一度「お遊び」感覚を復活させ、
 個性と即席性を両立させた賀状を作ってみたいものです。

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発 行 元:シモヤマ会計事務所(下山弘一税理士事務所)
〒604-8471 京都府京都市中京区西ノ京中御門東町101
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発 行 人:下山弘一

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