テレビの旅番組やバラエティ番組でとりあげられることもあって、
ちょっとした秘湯・秘境ブームとなっています。
ところが、北海道では温泉通や地元住民などに親しまれてきた秘湯の一軒宿などが、
今年相次いで閉館したそうです。
温泉ブームで都市近郊に日帰り入浴施設がいくつもでき、
逆に利用客が遠方まで足を伸ばしてくれなくなったことや、
後継者不足がその理由となっています。
高度成長期の波にのみこまれ、日本中の旅館が「ホテル化」していく中で、
収容力が少ない小さな温泉宿や、
交通も不便な山の宿を守る為に宿主が集まり結成されたのが、
「日本秘湯を守る会」でした。
じわりと人気が高まり、所属する旅館を利用するリピーターも多く、
いわゆるポイントカード式のスタンプ帳も発行しています。
利用の都度スタンプが押され、10個溜まると1泊無料招待となっていますが、
最近では、年間1万4千人を超える招待があるそうです。
業績不振であった家業の温泉旅館の立て直しを成功させ、
その後、次々とリゾート施設の再建を成功させているのが、
星野リゾートの社長 星野佳路氏です。
90年代に、銀行の金余りのはけ口として利用された、
リゾート施設や老舗旅館は、バブル経済の終焉による不況により、
多額の借金を負うことになってしまいました。
その中でも、星野氏に依頼が回ってくるのは、
通常では再生の見通しが低いとされた、問題のある案件です。
金融機関の手を借りて借金を整理、圧縮したのち、
自らの経験を生かして、これらの施設や旅館を、蘇らせているのです。
どれも、経営が行き詰まったのは、
身の丈に合わない過剰な設備投資により、
借金返済額が膨れ上がったことによる資金不足が大きな原因です。
しかし、再建を進めていくうちに、色々なところに、
経営の無駄が潜んでいることがわかってくるのです。
ある老舗旅館では、内装や施設も申し分なく、
料金も決して安くない設定なのに、利益が上がらない。
よく調べていくと、リピーターの多くが特別料金で宿泊していて、
お客の中には半額以下の金額で利用している人もいたのです。
また、人件費の抑制のためか、従業員のほとんどが、
アルバイトやパートタイマーで賄われていて、勤続期間が極端に短かったのです。
そのため、仕事に対する責任感が低く、会社に対する帰属意識が高くないため、
お客様に対するサービスは低いままでした。
ホテルや旅館の客室の稼働率は70%を取れれば良いとされています、
地方の旅館では50%台のところもざらです。
少しでも空室を埋めようと、閑散時期には料金の値下げを行い、
旅行会社からツアー客を呼び込むことが行われています。
星野氏が力を注いでいるのは、リピーターを増やすことです。
他のホテルなどでは味わうことの出来ない環境を演出することで、
宿泊したお客様が「是非、もう一度泊まりに来たい…」と思わせるのです。
外資系高級ホテル並みの料金でありながら、
本拠地の軽井沢では、リピート客が20%を超えるというのですから
人の気持ちに訴えかける超一流を目指しています。
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