困難を乗り越えて理念を育てる

私が住む京都では「地方都市」でありながら、
技術や経営に関するセミナーが盛んに行われています。
古くから、伝統産業が続いたせいか、
機械、電気、電子といった分野の会社が多く誕生しています。

そのなかでも、京セラの経営学であり、
昨年8月に亡くなられた稲盛和夫氏の「アメーバ経営」は有名です。
会社が大きくなってくると、「大企業病」というか、
どんどん個人の役割、重要性が曖昧になり、
「自分、一人が…しても」というような考え方が強くなってしまいます。

社員が数十人の頃には、みんなが仲間同士で団結していたものが、
100人そして何百人という規模になると、
個々の顔も見えず、いくら頑張っても日の目を見ない者も出てきます。

そんな時、一人ひとりの能力を、十分に発揮してもらえるには
体制をどうしたらいいのか考えました。
考え抜いた末、創業時代に戻ってしまえば、良いことに気づいたのです。
「小さな会社」「周りの事を気遣う」「大家族のような経営」
創業当時の会社の良い所を生かし、
社員みんなが「小さな会社の経営者」になるようにしたのです。

京セラは「小さな会社」の寄せ集まり、
当然の事ながら自分の会社の利益を上げないといけませんが、
メンバー(社員)や他のセクション(仕入先、売上先)のことも
忘れるわけにはいきません。
自分が前面に出すぎると、いずれみんなからそっぽを向かれてしまいます。
稲盛氏は「利他の心」を持つことを、社員に説いて回ります。

京セラは、「セラミック」を武器にして成長を遂げていきますが、
いくら良い武器を持っていても、それを使いこなせる「人」がいなくては、
経営は成り立っていかなかったはずです。
「アメーバ経営」にも見られるように、
日本の経営には「家族主義」的な発想が流れています。

戦後の経営に多大な影響を与えた人物に、
安岡正篤(まさひろ)氏がいます。
安岡氏は、政界、財界を問わず、日本を率いていく人達に、
いわゆる「帝王学」を叩き込んだのです。
その教えを請うた人の中には、
吉田茂、佐藤栄作、田中角栄などの総理大臣経験者や
平岩外四、牛尾治朗、江戸英雄の名経営者が名前を連ねます。

「家族主義」のもととなる儒学の考え方に立ち、
中国の長い歴史に生きた指導者や思想家の生き方、
考え方から原理原則となる「帝王学」まとめ、
その時代の解釈を加えて、日本のトップに伝えたのです。

その安岡氏の考え方には、中国の儒学者 王陽明(おうようめい)が
興した哲学が流れていています。
陽明は、学問であった儒学を、実践に対応できるものとして
「陽明学」を作り上げたのです。

彼は、若くして高級官僚の試験に受かったのですが、
上司の批判をして、僻地に左遷されてしまいます。
しかし、彼はこの時期を好機と思い、自らの思考を重ねながら、
新しい学問「陽明学」を誕生させたのです。
彼のこのような経験があったからこそ、
実践的な考え方が生まれたといえるのでしょう。

弱音を吐きたくなるとき、
勉強しなければならないとき、
スランプのとき、挫けそうになったとき。
「陽明学」には、人生色々な場面で直面する事態に対して、
どのような心構えでいれば良いのかを教えてくれます。

「陽明学」から「帝王学」、
このように永く積み重ねらねられた「哲学」があったからこそ、
京セラの「アメーバ経営」が作り上げられたのではないでしょうか。

 

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