このところ、カフェ市場が騒がしくなっています。
90年代後半から広まった、セルフ式のカフェのスタイルもすっかり定着し、
いれたてのコーヒーを手軽に口にすることができるようになりました。
そのような状況の中、他業種は切り崩しを狙い知恵を絞っています。
マクドナルドは、セルフ式カフェの成長に不安を感じ、
格安でコーヒーを提供して、
カフェ利用の客の取り込みに力を入れるようになります。
最近では、カフェを意識した店舗の外装に変えるなど、
マクドナルドのカフェ化が進んでいました。
今後は、主として郊外や地方のハンバーガー店を対象として、
併設する形でカフェを展開するそうです。
「バリスタが手作りすることで、本格派を前面に押し出し、
利用の客がハンバーガーを注文してくれることも目論んでいます。
一方、コンビニ各社は「安さ」と「近さ」を武器に、
店頭でのセルフ・コーヒーの提供に力を注いでいます。
コンビニでフード類を購入する、セルフ式カフェのテイクアウト客をターゲットに、
コーヒー需要を取り込む一石二鳥を狙います。
コンビニが、セルフ・コーヒーの販売を進める背景には、
コーヒー豆の補充やわずらわしい機器の管理が必要ない、
ポーション式などのカフェマシンの普及が後押しとなっています。
通勤時や休憩時に気軽に立ち寄れる便利さで勝負を仕掛けます。
そのような状況の中でも、従来型の喫茶店スタイルを守りつつ、
全国に向けて出店を加速しているのが、
名古屋発祥の喫茶店チェーン「コメダ」です。
68年に創業し、名古屋名物のボリュームのあるメニューを武器に、
独自な考え方で店舗運営を行いつつ着実にファンを増やしています。
コーヒー一杯で、何時間でも粘っていられる、
いわば「昭和スタイル喫茶」を再現しています。
大手のコーヒーチェーンとは一線を画し、
ビジネスマンや通行人をターゲットとはしていません。
地元に住む主婦、高齢者や家族連れがくつろいでもらえ、
常連客となってくれることを目指しています。
客席は、大きめのテーブル、ゆったりとした座席、仕切りを備え、
隣客の目線を気にすることなく、個室気分でくつろげるようにしています。
新聞や雑誌も豊富に揃えられ、長く粘っていても気兼ねすることは全くない。
メニューの多くは、二人以上で分けて食べられるくらいボリュームのあるサイズ。
それゆえ、値段は少し高くなるけれど、
他店と価格競争になり難くするメリットがあります。
フルサービス、低い客回転率、狭い商圏…効率化とは縁遠いものばかり。
あえて、効率化の土台となっている「店舗運営をパターン化する」ことを否定し、
大手が嫌う分野に力を注ぐことで、独自のジャンルを確立しています。