余計なものを切り捨て、復活を図る

 京都の西部に位置する太秦(うずまさ)は、
 古くから映画の地として有名です。
 フィルム映画全盛の時期には、大小の撮影所が設けられ、
 時代劇や娯楽映画の製作で賑わっていました。

 やがて、テレビの普及やデジタル技術の進歩で、
 フィルムでの製作は、時代遅れなものとなってしまいます。
 その名残ともいえる時代劇の殺陣(たて)も、
 コンピュータ加工(CG)やワイヤーアクションなどの、
 特殊撮影に追いやられてしましました。

 このほど、この太秦を舞台にした映画「太秦ライムライト」が、
 カナダで行われた国際映画祭で最優秀作品賞を受賞しました。
 斬られ役として有名な福本清三氏が主役に抜擢された作品であることから、
 今回の吉報は、時代劇の復活を願う人たちの、
 心の支えとなるのではないでしょうか。

 またこの地には、日本のテーマパークの先駆けともいえる、
 映画村(東映太秦映画村)があります。
 撮影セットの展示や殺陣など時代劇にまつわるイベントや、
 アトラクションがメインであるものの、
 最近は、ヒーロー・キャラクターやプリキュアなど、
 キャラクターとのコラボレーションで人気が高まっています。

 90年代までの右肩上がり成長の恩恵を存分に受けて、
 増え続けたテーマパークも、成長が止まったその後は閉鎖の一途です。
 その中でも、金余り現象で、投資する先がなくて無理やり作った、
 第3セクターのテーマパークなどの箱物施設は、
 いち早く経営破たんしてしまいました。

 2000年に入り閉園となったテーマパークに、
 長崎のオランダ村とハウステンボス(HTB)があります。
 両園は兄弟関係にあったことから、
 ハウステンボスが経営不振に陥るとオランダ村が閉園し、
 ついでHTBが経営破たんとなります。

 その後は、両園とも紆余曲折を経ながらも、
 HTBは(今のところ)順調な再建の道を歩んでいますが、
 オランダ村の方は、結局再建には至りませんでした。
 規模の大小はあるものの、両者の違いは、
 経営というのはアイデアだけでは成り立たないことを表しています。

 オランダ村の再建を引き受けたのは、
 飲食店の経営者でありテレビ番組で有名になった人物でした。
 食のテーマパークと銘打ち開業しましたが、
 改装に多くの費用をつかったものの集客につながらず、
 わずか半年余りであえなく閉園することとなります。

 一方、HTBは一旦、投資会社が運営を引き受けたものの、
 上手いかず、さじを投げてしまいます。
 その後を引き継いだのが、
 旅行事業を行うエイチ・アイ・エス(H.I.S.)です。
 時代遅れの施設に、手を焼きながらも、
 再建1年目にして黒字化を達成しています。

 膨大な広さゆえに、足かせとなる税金については、
 交付金という名目で10年間免除の約束を取り付けます。
 加えて、自社の営業網や知名度を多分に利用して、
 広告やイベントを行うと共に、地元経済界の協力を得て、
 あの手この手と集客の手を打ちます。

 赤字経営になるというのは、
 収入と支出の割合が上手くバランスできていないことが原因です。
 赤字になるのは売上が少ないからだと考えて、
 失敗しても取り戻しようのない、広告やイベント、店舗装飾などに、
 多くの費用を掛けてしまう経営者が少なくありません

 少ない売上でも、支出を少なくして、残る分を多くすれば、
 経営として十分成り立っていくのです。
 そのためには、企画、アイデアの良し悪しに固執するのではなく、
 実際の運営がスムーズに流れ、集客ができるかが、
 大事なことは言うまでもありません。

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