昨年夏、大阪にアジア1号店を出店した、
北欧の100円ショップ「タイガー」、
今日、東京の表参道に新店舗をオープンさせます。
先月27日原宿に、新興の100円ショップ「ASOKO(アソコ)」が、
オープンしたばかりなので、今後の動向に関心が集まっています。
この「タイガー」、名前以上に「予想外の人気に、品切れを起こした」として、
記憶に残っている方も多いはずではないでしょうか。
当初は、欧米の会社がよく採る販売手法で、
品薄を装って客足を速める戦略かと思っていたところ、
本当に品切れを起こしていたそうですから、笑い事では済まされません。
「タイガー」は、世界各地のメーカーと直接取引し、
安い単価で大量仕入れ品揃えを行っているとのこと。
どんなに人気が出た商品でも、基本的には追加注文せず、
売り切ってしまうのが特徴です。
予備在庫を持たない為、効率的に経営ができるというものです。
このようなスタイルを、いわゆる「売り切れ御免」といいますが、
日本では、特売品以外の商品で、「売り切れ御免」を採る小売はほとんどなく、
スーパーやコンビニでは、一日の販売数を綿密に計画し、
品切れを起こさないことを至上命令としています。
しかし、100円ショップの多くは、安く仕入れる為一度に大量発注し、
売上状況をみて追加注文するというスタイルを採っているので、
定番商品以外は案外と「売り切れ御免」になる場合も多いのです。
遡ること半世紀ほど、各地に「安売り」を売り文句にスーパーが登場した頃に、
「売り切れ御免」は、当然のように行われていました。
その理由は、「一括仕入」「大量仕入」することが、
安売りの最大の武器だったからです。
仕入れた商品がある程度売れて、お金が溜まるまで、
したくても次の仕入は行えなかったのです。
安いが故の品切れは、お客の方も充分わかっていました。
安売りの元祖、(旧)ダイエーの創業者中内 功氏は、
最後まで「大衆の声」を追い続けた一人です。
「腹いっぱい食べたい」「大衆の手に届く値段」に応え続けて、
それまでの商慣習、政府の規制に立ち向かって戦ってきました。
「安売り哲学」を引っ提げ、真正面から物価に対抗して、
日本を引っ張ってきた経営者なのです。
中内氏の安売りの発想は、開業当時に遡ります。
戦後の闇市で薬の販売に始まり、
薬の現金問屋を手がけるようになります。
それは、中小メーカーから正規外のルートへ
流れ出た商品を現金で仕入れ、小分けにして販売するのです。
先に注文と前金を受け取りその後、仕入先を探しに回ります、
市価の半分位で販売できるため、「クチコミ」でうわさが広がり、
売上は次々と増えていきます。
しかし、「乱売の元祖」と新聞でも報じられ、
行政から営業停止を受けたこともありました。
やがて、世の中にスーパーが定着するにつれ、
武器はメーカーとの駆け引きに移っていきます。
メーカーの「継続購入」「安定供給」と引き替えに、
「安売り」が成り立つようになっていったのです。