一週間前の22日はカレーの日でした。
最近は、エスニックなタイカレーや、スパイスを効かせた鍋料理など、
手軽にスープの素を手に入れることができるようになりましたが、
国民食の名に恥じることなく、ここにもカレー鍋として地位を占めています。
日本に、初めてカレーが登場したのは1863年といわれており、
10年後には、陸軍食堂の昼食メニューに、
「ライスカレー」が登場したそうですから、当時の注目度合いが覗えます。
食材のバランスに加えて、簡単に調理できる事が支持された理由だったそうです。
ギネス世界一に認定されて、世界一のカレーチェーンとなったCoCo壱番屋は、
国内で全都道府県に店舗を構え、海外を含めて1300店以上を展開しています。
特徴的なのは、創業まもなくして始めた「のれん分け制度」が、
店舗拡大に貢献していることです。
多くの外食チェーンは、フランチャイズ制度を使って、
短期間に店舗数を増やす方法を選んでいます。
それに比べ、同社では希望者に2年以上の社員経験をさせ、
基準以上の成績を収めないと独立できない制度となっています。
誰でも真似が出来るはずのカレー専門店に、
屋台骨を揺るがすほどの強豪が登場しなかったことを、
創業者の宗次徳二氏は、ソフト(面)の質が影響していると語っています。
愛知県の小さな町で、カレーの専門店として創業したCoCo壱番屋、
真似るのは簡単と、大小様々な競争相手が現れましたが、
ついに肩を並べる相手は残れませんでした。
しかし、一度だけ、同社など一息で飛ばされそうな、
大手企業が参入してきた事がありました。
カレーやお米など、その気になればいつでも手に入れることができる材料です、
作り方も主婦のほうが上手なほどで、たいした技術は必要ありません。
メニューの構成や品揃え、価格設定、販促の仕方など、
大手ならばお手のものであるはずです。
更に、店舗の内外装についても、真似することはいとも簡単、
それ以上のデザインを考えることも出来なくはないのです。
お金さえかければ、表面的なことはそっくり真似することはできます。
どうしても競合が真似できないこと、それはソフトです。
宗次氏がカレー専門店を始める前に喫茶店を開いていた当時から、
長年にわたり培った「お客様第一主義」は一朝一夕には手に入りません。
カレー専門店を始める前に開いていた喫茶店では、
名古屋名物の(無料)モーニング・サービスの提供はしなかったのです。
トーストやサラダ、ピーナッツなども、全て「有料」としたのです、
その事に文句をつけるお客はいましたが、それでも店は繁盛しました。
また、一号店をオープンしてから長い間、
店を構えられるのは一流には程遠い、ほとんどが二流以下の場所でした。
さらに、良い場所が手に入らない代わりに、派手に宣伝をしたいと思っても、
先立つ資金のゆとりもなく断念せざるを得ませんでした。
無いない尽くしの苦肉の策として、
笑顔の対応や丁寧な言葉遣い、感謝を込めた接客態度など、
来店して下さったお客様に出来る限り満足してもらえるよう工夫を重ねたのです。
そのことがクチコミで伝わり、店を支えたのは言うまでもありません。
辛い思い、苦い経験を経て体で学んだ、接客サービスのノウハウは、
メニュー以上にCoCo壱番屋らしさとなっているのです。