お客様目線で「価値」を考える

 今月初め、ソフトバンクが感情認識する家庭用(?)ロポットを発表しました。
 なんといっても驚くのが、20万円を切る価格です。
 ロボットといえば、ソニーが発売した子犬型ロポットの、
 AIBO(アイボ)を思い浮かべる方も多いのではないでしょか。

 この時の定価が25万円だったそうですから、
 今回のロボットの安さが際立ちます。
 一方、ロボットについて公表されているのは僅かで、
 全貌はつかめないままです。

 世間の動向を見極め、少しずつ詳細を明らかにするつもりでしょうか、
 いかにもソフトバンク流と言ったところです。
 また、時期を計ったように、政府が発表した新成長戦略の素案では、
 ロボット技術の活用が示され、メディアを使って盛り上げが図られています。

 かつて、エンターテイメントを前面に押し出したイメージ戦略を上手く使い、
 AIBO他、数々の製品を世に送り出してきたソニーでありましたが。
 現在といえば、有名ブランドの売却や規模の縮小で息をつなぎ、
 出口の見えない暗いトンネルに入り抜け出せないままです。

 ソフトバンクは、製品的な完成度よりも、メディアを通しユーザー、
 「使いやすさ」「愉しさ」「面白さ」を提供することを優先しています。
 有名なテレビCMでご存知のとおり、各種メディアを上手く使い、
 製品を何倍にも魅力的に見せる工夫をしています。
 「高く」ても売れるには、どうすれば良いのでしょう。
 
 ラジカセ(ラジオ付きカセットレコーダ)が全盛だった当時、
 室内、屋外問わず、音楽はみんなで聴いて楽しむものでした。
 (カセット)ウォークマンは、音楽好きな学生にターゲットを絞り、
 屋外でも音楽を(気兼ねなく?)楽しめる様に企画されたのです。

 「屋外で周りを気にせず音楽を楽しむ」という大胆な試みは、
 些細なことが始まりでした。
 それは、発売されていた小型のカセットレコーダ「プレスマン」を改造して
 ステレオで聴けるようにしたことがきっかけだったのです。

 音楽はステレオで聴くのは普通のことです。
 そのためには、スピーカーが2つ以上必要になって、
 ラジカセのスタイルになってしまい、
 小型化には不向きだと考えられていました。

 それならば、不要な機能は思い切って削ってしまえばいいのではないか、
 という発想に切り替えて、録音機能やスピーカーを取り除き、
 ステレオの再生機能を加えて、ヘッドフォンで聴けるようにしたのでした。

 しかし、新しいカセットレコーダの社内での評判は最低でした。 
 「再生機能しか付いていない、中途半端なカセットレコーダを誰が買うのか」
 新しい技術に基づき新製品を開発するソニーを自負する社員にとって、
 子供騙しにしか思えなかったのです。

 発売当初は、全くと言っていいほど売れなかたものの、
 流行に敏感な若者を刺激するような広告や
 ファッション性に重点を置いた宣伝活動が功を奏し、
 発売の年の秋から年末にかけては、爆発的な大ヒットとなるのです。

 その後、ウォークマンは携帯型のカセットプレーヤーの
 代名詞となる程のロングセラー商品となります。

 ヒットのもうひとつの要因は、価格の設定にあります。
 ウォークマンの場合、若者、特に学生をターゲットとしたため、
 お小遣い程度の金額で買える必要がありました。
 売る側の立場からすると、出来るだけ早くコストを回収したいため、
 原価や経費に基づいて販売価格を決めてしようとします。

 製造に掛かるコストや開発、改良の費用などを基にして、
 販売価格を決めると製品のイメージに反して高くなりがちです。
 「いいけど、高すぎる」と思われると、それは失敗で、
 「高いけど、さすがだ」と思ってもらわないといけないのです。

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