デフレによる低賃金で求人できることを武器に、
業績を伸ばしてきた外食業界ですが、一転の売り手市場に逆風が吹いています。
深夜営業時の一人配置を狙った強盗が多発した会社では、
人手が足りずオープンできない店が出てくる事態に。
「ブラック」との風評が広がった会社では、
新卒者の求人が定員割となってしまいました。
かつて業界の雄の地位を占めていた、ファミレス(ファミリーレストラン)も、
低価格を武器にした居酒屋や焼肉チェーンに客を奪われ、
自らの首をしめる、メニュー単価を切り詰めるところまで陥ってしまいました。
業績不振が続いていた、ファミレス大手の「ロイヤルホスト」は、
当然のものとなったドリンクバーや画一的なサービス、
セントラルキッチンありきのメニュー構成を改め、原点に戻ろうとしています。
足が遠のいていた女性客を取り戻す為、女性向けのメニューを増やしたり、
一人客でもくつろげるようドリンクメニューを充実させました。
まずは、節約疲れで美味しい味を求めるお客様を、
居酒屋チェーンなどから呼び戻す「脱ファミレス」を図っています。
日本人の外食に対するイメージが変ったのは「大阪万博」のことです。
アメリカンドック、ピロシキやボルシチなど、
それまで見たことも聞いたことも無い食べ物が一杯。
まるで外国がそのままやってきたみたいで、
日本にいながら、海外旅行をしている気分でした。
それに目をつけたのは、福岡でレストランや、
空港の食堂を経営していた江頭匡一氏でした。
万博に出店を予定していたアメリカの企業に協力する予定でしたが、
採算が合わないという理由で、その企業の出店が取りやめになったのです。
穴を埋めるため、江頭氏は急遽、単独で出店することになります。
ところが、試算では半年間で4000万円の赤字が出る見積り、
内外から反対意見が強く、思案に暮れてしまいます。
そんな時、尊敬する先輩から良いアドバイスがもらえます。
「赤字の分、儲かっている本業の利益の税金が少なくなるのだから、
実質2000万の欠損だ、半年間の授業料だと思えばいい」
蓋を開けてみると、その心配は吹っ飛んでしまうことになります、
初日から、レストランの前には開店前から長い列が出来ていたのです。
結局、期間中の売上は予想を大幅に上回り、
大きな利益をもたらすことになったのです。
このことで、地方の外食企業に過ぎなかった「ロイヤルホスト」は、
一気に知名度を高め、全国へファミレスを展開することになるのです。
いままで経験したことの無い分野には不安がいっぱいです。
予想もしない追加の出費が発生するなんて良くあることです、
こういうことに備えて、投資の計画はより慎重に練っておくことです。
大事なのは、事業に支出する金額のうちには、
すぐには戻ってこないお金が結構たくさんあることを頭に入れておくことです。
店舗や事務所の入居にかかる保証金や内外装費用、
機械や車両などの設備費用、商品や製品の在庫金額などがそれにあたります。
こういったものに使ったお金は、事業を続けているうちは、
相手に預けているようなものなのです。
このお金を、どのくらい自己資金で賄うのか、
銀行からいくら借金するのかを、きちんと決めておく必要があります。