追う立場には、環境の変化は絶好のチャンス

 気概に心惹かれるためか、情熱に感動するのか、
 ご紹介している事柄は、トップ企業が淡々と邁進することより、
 それに追いつこうと奮闘している姿が多くなっています。

 このほど、アメリカのハーバード大経営大学院の教材に、
 航空会社の全日本空輸(ANAホールディングス)の、
 国際戦略が選ばれることが決まったそうです。

 政府肝いりで設立された日本航空が地位を長年占める中、
 新たな発想の環境変化への対応で逆転する、
 2番手企業の物語として紹介される予定です。 

 かつては、国内の自動車会社としては後発であったホンダが、
 いち早くアメリカへ進出し、
 地位を確立するに至った経緯が掲載になったそうです。
 軽自動車の成功を足がかりに、自動車の分野に快進撃を続けていた
 ホンダの目の前に立ちはだかったのは「排ガス規制」でありました。

 それまでホンダは、先発の自動車メーカーに追いつけとばかりに
 「スピード」と「パワー」で勝負してきました。
 ところが、日本のマイカーの急速な普及から、
 自動車の排ガスによる公害が問題とされるようになっていました。

 時を同じくして、すでに公害が社会問題となっていたアメリカでは、
 5年以内に排ガスの有害成分を10分の1にするという
 「マスキー法」が成立して、自動車業界に衝撃が広がっていたのです。
 
 「たくさんのガソリンを使ってハイパワーを出す」ことから
 「少ないガソリンで、効率よく走る」ことへ、
 それまでやってきたこととは、真逆のことを要求されるようになったのです。

 このような環境の変化は、
 先発メーカーと同じスタートラインに立てることを意味しています。
 後発であるが故の技術や経験の差は、ほとんどなくなるのです。
 
 ホンダの創業者 本田宗一郎氏は、このチャンスに社運を賭けました。
 「マスキー法」をクリアできるエンジンを作ることが出来れば、
 国内に及ばず欧米の市場でも自動車メーカーの一つとして
 肩を並べることになるのです。
 
 ホンダは世界のどの自動車メーカーより早く
 この基準をクリアした「CVCCエンジン」を開発したのです。
 そして、このエンジンを搭載した自動車、
 シビックは20世紀を代表する車の一つとして選ばれ、
 ホンダは日本を代表する自動車メーカーとなれたのです。
 
 変化する環境へは、ホンダのケースのように技術で対応するケースと、
 ビジネスのスタイルそのものを見直す必要が出てくるものがあります。
 
 かつては「高くて当たり前」「高いことがステイタス」
 そんな贅沢の象徴であった飛行機の旅も、
 運賃とサービスのバランスが求められる時代になりました。
 ビジネスを続けていくうえで、
 時代の変化や突発的な環境の変化はつきものです。

 飛行機の燃料のように、
 距離に応じて従量的にコストが増減するような場合には、
 フライト1回あたりの収入を出来るだけ
 多く上げられるにしないといけません。
 そのためには、空席を少なくすることや、
 荷物をたくさん積み込めるように工夫する必要が出てきます。
 
 一方、飛行場の賃料が上昇するような場合では、
 一定期間で賃料が決められるので、
 フライト1回あたりの賃料が出来るだけ少なくなるように、
 フライトの本数を多くするように工夫する必要が出てきます。
 
 このように、コストが上昇する場合でも、
 従量的に変化するものと固定的なものかを見極め、
 対応するためのビジネスのスタイルを変えいかなくてはなりません。

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