瞬発力と持久力、経営の違いを知る

 流通革命を率先して行い、スーパーマーケットという業態を
 日本に広げた立役者である「ダイエー」が姿を消すことになりました。
 このほど、親会社であるイオンから予定の発表があり、
 18年をめどに、創業以来60年足らずで名前が消えることになります。

 ダイエーは、高度成長期という言葉を旗印に、
 人々の懐が豊かになると共に規模を拡大してきました。
 「お腹いっぱい食べたい」「大衆の手に届く値段」に応え続けて、
 それまでの商慣習、政府の規制に立ち向かって戦いました。

 「安売り哲学」を掲げ、真正面から物価に対抗して、
 日本経済を引っ張ってきましたが、
 90年に入り、顧客の目線が質重視になると少しずつ力を失い、
 デフレの時代には保有資産が命取りとなり経営破たんすることになります。

 一方、イオン(旧ジャスコ)は、各地に分散していた
 地方スーパーがお互いに手を組んで、徐々に全国に広げた経歴をもちます。
 三重県の「岡田屋」と兵庫県の「フタギ」の2社が合併し、
 後に大阪府の「シロ」が加わり、引き続き、広島、山形、福岡、
 そして関東圏へと合併の輪が広げていきます。

 合併や買収を繰り返し、成長を続けてきた「イオン」が、
 次に手を伸ばしたのが、中国、四国に展開する地元大手スーパーです。
 先行組が優位に働くだけに、イオンといえども、食品、特に生鮮品については、
 地元大手スーパーには太刀打ちできませんでした。

 ダイエーは出店の度に、自前の資金で店舗を作り拡大していったので、
 そのため借金もどんどん膨れ上がることとなりました。
 イオンは店舗は増えても、もともとの会社が持っていた店舗を引き継いだだけ、
 多くの借金を抱える必要が無かったのです。

 そして、日本のスーパーの象徴ともいえるダイエーが、
 格下のイオン支援の下で再建されることになります。
 勢力を伸ばしてきた大手スーパーに対抗するため、
 力の弱い地方スーパーが手を組んできたところ、
 どういうわけか、大手スーパーを飲み込んでしまったのです。

 一つの店舗を作るには、莫大なお金と時間がかかります。
 そして、出来上がったお店が順調に利益を稼ぎ出してくれるには
 それから何年もかかることとなるのです。
 その資金を借金によってまかなうとなると、
 5年から10年の間は借金の返済に追い立てられることになります。

 「売上が多いけれど借金も多い経営」と
 「売上は少ないけれど借金の無い経営」
 さて、どちらが楽な経営といえるのでしょう。

 競争の最中にいるときには、規模を大きくすることに目が向きすぎ、
 手元に残るお金の事は二の次になってしまいがちです。
 「商売とはお金を残すこと」であることを肝に銘じておきましょう。

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