身も心も「ぶらぶら」がアイデアを生む

 奇抜な発想を上手くマーケティングに活用して、
 業績を伸ばしているのは食品メーカーの永谷園です。
 「生姜部」という活動が有名なとこですが、
 夏場のオフィスで、クーラーの効きすぎに悩むOL向けに作った
 生姜入りのカップスープがヒットしたのが始まりです。

 その後も、キャラメル、紅茶、クッキー、炭酸飲料など
 続々と生姜が入った食品が次々と登場しました。
 目先の利益を追うのではなく、生姜のプロを目指すことが、
 ヒット商品へのアイデアに繋がっていきます。

 一方、主力である「お茶づけ海苔」のシェアは8割を超え、
 食品スーパーには必ず置かれている程です。
 しかし、購買客の中心は高齢層に移り、
 若者への知名度はいまひとつだそうです。

 そこで、「日本の上に何のせる?」と銘打って、
 各地の特産品を使ったお茶づけレシピを作りPRしています。
 同商品デザインのラッピングカーを用意し、
 全国津々浦々、スーパーを巡り「お茶づけ」普及作戦を展開します。

 創業者 永谷嘉男氏は、緑茶の製法を始めて開発した
 祖先をもつ家系に育ちます。
 父親が営んでいたお茶屋で売っていた、のり茶を参考にして考えだした、
 お茶づけ海苔が出発点となります

 調味料の粉と、刻んだ海苔を缶入りにした簡単なものでしたが、
 美味しい飲み物として喫茶店などに売れたのです。
 これを一人前ずつ、袋に入れて売れば簡単にお茶漬けが
 味わえるのでないかと閃きました。

 元来の酒好きであった永谷氏は、赤提灯へ通うのが日課でした。
 たっぷりお酒を飲んだ後、少し寂しくなったお腹を満たすため、
 シメに食べるのは、お茶漬けと決まっていたのです。

 こんな経験から、永谷氏は「ぶらぶら社員制度」を考え出します。
 開発力のある人材が通常の業務から外れ、
 一年間自由にして、新しい商品のアイデアを出すというものです。
 使う経費も無制限という、奇抜な内容は世間を驚かせました。

 消費者のニーズは複雑になり、既存商品の延長線で
 新商品を考えるには限度があります。
 「生姜部」では、食品を原点から見つめることにより
 アイデアの芽を育てようとする試みです。

 永谷園では「ぶらぶら社員制度」のような精神が脈々と受け継がれて、
 会社として発想を活発にする風土が出来上がっているのでしょう。
 数々のユニークな商品を発売し、
 多くのロングセラー商品を育ててこられたもの、
 地道な活動が支えているからでしょう。

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