「山あり谷あり」経営も人生も同じ

 週明け、突然の訃報が入ってきました、
 地元企業である任天堂の岩田社長が急逝されました。
 株主総会から二週間足らず、出席された関係者の方にとっては、
 寝耳に水な事だったでしょう。

 ここ数年、業績の低迷が続いていましたが、
 やっと糸口を見つけ出せそうな時期であっただけに残念で仕方ありません。
 また、前社長の山内溥(ひろし)氏に請われ、
 若くして社長に抜擢されただけに、一昨年に山内氏が亡くなられてからは、
 思うように運営が出来きず苦労が重なったのかも知れません。

 次いでは、社長の人選に話題が集まるものと見られますが、
 任天堂の経営について紹介される際に、
 注目されるのは、利益率の高さと、社員の人数の少なさです。

 商品を仕入れて販売する業種の小売業や卸売業では
 想像もつかない20%を超える経常利益率。
 そして、製造業や外食産業などの労働集約型の会社では、
 真似のできない社員の少なさです。

 それを維持できているのは、ハード、ソフトともに、
 ほとんどを自社では作っていないからなのです。
 ゲーム機の本体はというと、
 自社で工場を持たず外部に委託して生産させています。

 ゲームソフトも自社で開発するものはごく一部で、
 大半はライセンス契約をしたうえで、
 ソフトウエア・メーカーが開発しています。

 ライセンス契約の中身は、任天堂にとって有利になっています。
 販売を許可したソフトは、カートリッジ1本について数千円、
 規定の本数以上注文しなければならないのです。

 この契約により任天堂は、そのソフトが全く売れなくても
 数千万円の売上が計上されることになるのです。
 当然、作品がヒットすると、その本数に応じたロイヤリティーが
 任天堂に入ることになるのです。

 若干22才で会社の跡継ぎとなった、前社長の山内氏。
 家業である花札の普及を土台にして、
 トランプカードへ事業拡大し、日本一のカードメーカーとなるのですが。
 その前途に希望を持てず、様々な事業に手を染めます。

 脱カードを目指し、ホテル経営、タクシー会社、
 インスタント食品に手を出すが、ことごとく失敗。
 簡易コピー機、文房具、学生用の教材、運動具、育児用品など
 多角化を図るのですが、ことごとく失敗、
 借金で何時潰れてもおかしくない状態となるのです。

 光線銃が空前の大ヒットし、エレクトロニクスの分野に
 足を踏み入れることになり、その後の礎を築くことになります。
 成功と失敗を繰り返し試行錯誤の末、たどり着いた会社の基盤。
 数々のヒット商品の陰には、無名な社員の発想があり、
 それは会議の中から生まれることが無いことを、経験を持って学んだのです。

 この、金のなる木も、業界のパイオニアであったからこそ
 築くことが出来た方法だったのでしょう。
 その根底には、古都の老舗が受け継いできた
 「細く永く、商いを続ける」経営精神が流れているのかも知れません。

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