5月を迎え、上場企業をはじめとして法人の決算が集中する時期となり、
3月を決算としている会社の結果が続々と発表されています。
好業績で次年度の事業計画をホクホク顔で発表する会社もあれば、
業績不振の影響で社長交代を発表しなければならない会社もあります。
一方、1ヶ月早い2月を決算期としていることが多い小売業、
すでに決算発表を済ませている百貨店各社。
高額品販売やインバウンドの特需により、
前年増しの売上は維持できているものの、満面の笑顔となっていません。
その理由は、特需やデパ地下の売上が貢献しているものの、
婦人服の購入客などのボリューム層の需要が先細りしているのです。
かつては、最新ファッションを取り揃え、女性客の心を鷲掴みにし、
最先端の生活スタイルの発信拠点としての役割もその影も潜めています。
長い歴史を持ち、これまで幾多の波を乗り越えてきた百貨店には、
このような時こそ、信用をつけることが大事だと伝えられています。
日本のメガ百貨店のひとつ、
J・フロントリテイリング・グループの、
大丸創業者 下村彦右衛門正啓氏は、次のように言っています。
「先義後利」
…義を先にして利を後にするものは栄え、
利を先にして義を後にするものは辱められる
正啓氏が家業の古着商を継いだ頃は、商いは順調ではありませんでした。
店頭販売に加えて各地へ行商して回ることから、建て直しを図ります。
江戸時代後期には、顧客は富裕層から一般庶民に移ったことから、
それまでの掛売り販売から、現金販売に切り替え
商売を大阪、名古屋、東京と広げていきます。
時代は変わり、明治政府が誕生し紙幣が乱発され、
それによるインフレ、不況の波が押し寄せてきます。
その波に飲み込まれるかのように、経営は行き詰まり、
東京店と名古屋店を閉店することになります。
大正時代になると、それまでの呉服販売に加えて
洋服や食器、家具などの取り扱いが増え、
呉服店から近代的な百貨店に変わっていきました。
戦後は、戦後復興から続く高度成長の波に乗り、
人々は豊かになり、消費の中心は大衆へ移っていきます。
百貨店で取り扱う商品は彼らの憧れの存在であり、
買い物することさえ「豊か」になった証であったのです。
時代の追い風を受けることで、百貨店は急成長していきます。
その後、オイルショックなどが引き金になり不況がやってくると、
価格に敏感になった消費者の味方として、スーパーが台頭きます。
これまでの様な高収益を前提とした、
コストのかかる経営は行き詰まりを見せるようになります。
何百年にもわたる時代を乗り切ってきたからこそ、わかる経営の浮き沈み。
長くビジネスで生き残っていくには、調子の良いときに自惚れることなく、
信用をつけなければいけないということを教えてくれています
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発 行 元:シモヤマ会計事務所(下山弘一税理士事務所)
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