笑いに貪欲なのは、ずっと変わらない

 「お笑い」という、きっちりとした形がないものを商品として扱う吉本興業、
 漫才、コメディー、一発芸、その幅も広くなっていますが、
 お笑いによってコンテンツが支えられているのは間違いないようです。

 一度は上場したものの10年に非上場会社に戻ってからは、
 その悪ふざけの幅は広がっています。
 現在の社長からしても、数百億円という売上規模を誇りながら、
 お笑いコンビのダウンタウンの元プロデューサーという、
 経歴をもつ大崎洋氏が務めています。

 若いころは出世に遅れ窓際で過ごしていたと、
 ご自身も語っている個性派です。
 さらに、どんなに大物のタレントとも契約書は作らず、
 マネージャーはいるけど契約書はない。

 また、「お笑い」の海外進出に乗り出し、
 そのひとつが、「住みますアジアプロジェクト」です。
 アジアの国に移住し、現地で人気者になるまで帰国できない過酷な企画です。
 給料は最低限の生活が出来る金額しか保証されていなく、
 言葉の壁を乗り越え、現地人の心を掴まえてブレークを目指します

 所属タレントがトーク番組で、吉本の事を愚痴ります。
 「ケチ」の代名詞のような「吉本興業」ですが、
 「ケチ」であったからこそ成し得た「笑い」の大量生産なのです。
 常に新しい「笑い」を作り出し、安く大衆に提供する。
 どんなことでも商売に結びつける、大阪商法の見本です。
 
 浮き沈みの激しい「興行」の世界、
 それをチェーン経営まで育て上げたのは、
 吉本夫婦(泰三、せい)でありました。

 格下の寄席では、有名な落語家は出てくれない。
 それではと、木戸銭(入場料)を1/3にして、
 出し物もその当時は低俗視されていた、
 物まね、曲芸、剣舞を中心に、「笑い」の大安売りをはじめたのです。
 木戸銭の安い分は、せんべいや焼きイカなど、
 のどの渇くものを販売して飲み物の売上で補いました。
 
 当時、農村から都市に働きに出かけてきた、
 労働者のニーズとうまく合致して、寄席は大繁盛することになります。
 夫婦は共同して、名門である寄席をはじめとして、
 次から次と寄席を買収して、創業わずか10年で大阪の
 目ぼしい寄席を傘下に収めてしまいます。
 
 また、芸人に月給制を導入して、安定した収入を約束しました。
 そのことによって寄席の高座の掛け持ちをさせ
 「笑い」の大量供給が出来るようになったのです。

 ラジオ放送の普及も手伝って、吉本興業は波に乗り事業拡大していき、
 その勢いは、大阪の象徴である「通天閣」を買い取るほどでした。
 しかし、迫り来る戦争による空襲により、
 60館近くあった寄席や演劇場のほとんどを焼失してしまいます。
 生き残った芸人を前にして、林氏は吉本興業の解散を告げたのです。
 
 戦後は、演劇場の跡地を利用して、当時ブームとなった
 洋画を中心とした、映画館チェーンを営むこととなります。
 もう、そこには戦前の吉本の面影は、残っていませんでした。
 
 しかし、テレビ放送の登場と共に、「笑い」の吉本の復活は訪れるのです。
 59年に本放送をはじめることとなる、
 毎日放送と組んで吉本の舞台をテレビに流すことになったのです。
 大阪梅田にある映画館を演劇場に変え、人でも金も時間も無いなかで、
 頼みの綱は戦前から人気のあった「アチャコ」でありました。

 時代の変化が最も早く現れるのが「大衆文化」なのではないでしょうか。
 品の良し悪しは別として、「流行」や「ブーム」を生み出す
 大きな原動力になっています。
 大手メディアとタッグを組む吉本興業、
 どのように変わっていくのか楽しみです。

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発 行 元:シモヤマ会計事務所(下山弘一税理士事務所)
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