東京五輪に向け、訪日外国人の受け皿として、
首都圏をはじめとして各地の都心部では建築ラッシュに沸いています。
それを支えているのは、
ガテン系と呼ばれる建設現場で働く職人の面々です。
このところ、人手不足の影響もあり賃金は上昇の一途で、
懐具合も上々でファッションにもこだわる職人さんも増えているそうです。
上半身はコンプレッションウエア、パンツにデニム、
そして足元は、カラフルな作業靴という出で立ちで現場に向かいます。
驚きは、一般的な作業靴が2000円程度で売られているのに対し、
カラフルな作業靴は7000円台から1万円超と、
高価格なスポーツシューズと同じ価格帯となっています。
スポーツ用品メーカーのアシックスは、
いち早く作業靴に目をつけ、99年この分野に参入しました。
スポーツで培った快適性やデザインを売り物に、
需要を取り込もうと目論みましたが、見事に当てが外れます。
10年間は、全く売れない時期を過ごすことになりますが、
2010年からジワジワと売れ始め、
13年からは毎年2、3割のペースで売上げが伸びていったのです。
現在では、出荷ベースで70万足を超えるヒットとなっています。
アシックスはスポーツ用品メーカーとしては後発の参入でした。
ミズノをはじめとする、大手メーカーの勢力が、
野球、テニス、ゴルフの広範囲のアイテムに亘っており、
数名程度社員の会社には、到底太刀打ち出来ないと思われました。
そんな状況の中で、創業者 鬼塚喜八郎氏が決めたことは、
一点に集中して力を注ぐこと。
加えて、大手が取り組んでいない分野、それはバスケットシューズの生産に、
全精力を集中させることでした。
努力の甲斐もあり、創業の6年後には、
バスケットシューズがトップ商品に育っていました。
大手メーカーの倍の値段もする、オニツカ(アシックスの前身)の
バスケットシューズを、選手は競って買ってくれたのです。
その理由は、モノがよく、性能が飛びぬけていたからです。
選手は値段より、履き心地がよく、思うように動けることを望んでいたのです。
成功を受け、鬼塚氏はマラソンシューズの開発に挑戦します。
ひとつの商品分野で、市場シェア50パーセント以上になるまで、
持てる力を集中し、その分野でトップとなる商品を作り上げる。
次には、スポーツシューズに力を移していったのです。
こうして、オニツカはスポーツシューズの総合メーカーへと育っていきました。
「中小企業は、もてる力が小さい。ひとつの目標をはっきりさせて、
徹底して追及していかないと、大企業には勝てない」
「堅い板に穴を開けようとするとき、
大きな鉄の棒で、力をいっぱい入れてもダメだが、
キリを使って揉んでいけば、案外簡単に開けることが出来る」
その後、スポーツウエアメーカーと合併し、
総合スポーツ用品メーカーのアシックスとして出発するのですが、
その根底には、弱者の戦略が受け継がれていきます。
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発 行 元:シモヤマ会計事務所(下山弘一税理士事務所)
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