お知らせ

 

 相続した実家を売却する際に必要となる費用や注意点を教えてください。

 親が亡くなり、実家を相続しました。私には持家がありますので、実家は売却することを考えています。実家を売却する際の諸費用や注意事項について教えてください。

 ご実家を売却する際に必要となる費用は、主に次の4種類です。それぞれの概要や注意事項は、詳細解説にてご確認ください。

  • 登記に要する費用
  • 収入印紙代
  • 確定測量に関する費用
  • 不動産仲介手数料

 不動産を売却する際にかかる費用として、主に次の4つが挙げられます。

1.登記に要する費用

 登記に要する費用とは、売却対象となる不動産の登記の手続きにかかる登録免許税や、手続きを司法書士へ依頼した場合の手数料のことを指します。

 売却対象となる不動産の登記手続きにかかる登録免許税としては、当該不動産に抵当権が付されていれば抵当権抹消登記が必要となる他、ご相談のケースは「相続」であるため、相続登記が必要となります。

 その費用ですが、抵当権抹消登記は不動産1個につき1,000円です。また、相続登記は原則、固定資産税評価額の0.4%となります。

 これらの登記手続きは自分で行うこともできますが、専門家である司法書士へ依頼するとスムーズに行うことが可能です。なお、司法書士へ依頼した場合には別途手数料がかかりますので、ご注意ください。

 物件の内容次第では、手続きの完了までに想定以上の時間がかかる場合もありますので、司法書士へ手続きを依頼する場合には、早めに相談されるとよいでしょう。

 ちなみに、売買に伴う所有権移転登記の手続きは、買手側が行います。

2.収入印紙代

 収入印紙代とは、不動産の売買契約書に貼付する収入印紙の費用のことを指し、収入印紙は郵便局などで手に入れます。

 当該費用は、契約書に記載された売買代金によって異なります。具体的な金額は、国税庁のホームページに掲載されている【印紙税額一覧表】などで、ご確認いただくことができます。

 今回のご相談のケースでは不要ですが、売却する不動産が事業用の場合、売買代金等の領収証にも収入印紙を貼付する必要があります。

3.確定測量に関する費用

 確定測量に関する費用とは、売却対象となる土地と隣接地との境界を確定させる費用のことを指し、土地家屋調査士へ支払います。

 ご実家の土地と隣接地との境界が確定していない場合は、当該費用の負担が生じる可能性が高いといえます。また、境界が確定している場合でも、境界確定日からの経過年数や隣接地所有者の変更等によって、確定測量を行う必要が生じることがあります。

 当該費用は、土地の大きさ・形状(境界点の数)及び隣接地所有者の人数等によって異なります。参考までに、土地家屋調査士に対して実施した報酬に関する実態調査の結果が、日本土地家屋調査士会連合会のホームページに掲載されていますので、URLをご紹介します。地積更正登記報酬が目安になります。■日本土地家屋調査士会連合会HP:「業務報酬統計資料」https://www.chosashi.or.jp/association/disclosure/reward/

4.不動産仲介手数料

 不動産仲介手数料とは、不動産の売買が成立した際、仲介を行った不動産業者へ支払う費用のことを指します。仮に売買代金が税抜で400万円超であれば、『売買代金(税抜)×3%+6万円+消費税』が不動産仲介手数料の上限となります。

 不動産業者に直接売却する場合、不動産仲介手数料は不要となりますが、当該売却代金が市場価格より低額となることがありますので、諸費用控除後の手残り額を考慮した上で、慎重にご判断ください。

 今回は売却時のコストのご相談でしたが、譲渡益があれば、売却後において確定申告が必要となります。取得費が分かる書類の有無や、ケースによっては最高3,000万円まで譲渡益から控除できる特例(空き家の3,000万円特別控除の特例)の対象となるかもしれないなど、実際の税金計算をするには事前に確認すべき事項が多数存在します。最終的にお金がいくら手元に残るのか、試算されたい場合にはこの税金も考慮に入れる必要があるでしょう。

 様々な要件の詳細その他税金に関するご相談は、当事務所までお気軽にお問い合わせください。

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。
 本情報の転載および著作権法に定められた条件以外の複製等を禁じます。

 

 遺言で生命保険金の受取人を変更することは可能でしょうか。

 下記の生命保険について、仮に妻が先に亡くなった場合には、世話になっている姪に受け取って欲しいと思っています。
 妻が先に亡くなった時点で、私が死亡保険金の受取人を変更できればよいのですが、そうでない状況を想定して、遺言で受取人を姪に変更しておきたいと思っています。これは、可能でしょうか?【生命保険の契約内容】

  • 契約者(保険料負担者):私
  • 被保険者:私
  • 死亡保険金受取人:妻

 遺言で生命保険金の受取人を変更することは可能ですが、諸条件を満たしている必要があります。

1.保険法改正により可能となった遺言による保険金受取人の変更

 2010年4月1日に施行された「保険法」で、遺言による保険金受取人の変更が可能となりました。

 原則、保険法施行後の契約が対象となりますが、保険会社によってその取扱いは異なります。2.留意点

 遺言によって保険金受取人を変更するときの、主な留意点は以下の通りです。(1)変更の可否を確認

 多くの保険会社は「法律上有効な遺言であれば、受取人に指定できる方の範囲に定めはない」としているようですが、変更可能な受取人の範囲を約款で決めている保険会社もあります。遺言書を作成する前に、必ず受取人として指定できるかどうか、確認するようにしましょう。(2)遺言書の記載内容

 遺言によって保険金受取人を変更するときは、どの保険契約か特定できるような情報を遺言書に記載します。

 この場合の「情報」とは、保険会社、証券番号、契約者、被保険者、保険種類、契約日などが該当しますが、特定できれば複数の情報の記載は必要ありません。

遺言書の例文

第〇条 私は、私が契約者となっている次の生命保険契約における死亡保険金受取人として、姪◇◇を指定する。(保険契約の表示)
①〇〇生命:証券番号00000000000
②■■生命:証券番号11111111111
③▼▼生命:証券番号22222222222(3)遺言による保険金受取人の変更手続き

 遺言による保険金受取人の変更手続きを行うには、保険契約者の相続人が遺言による保険金受取人変更について保険会社に申し出なければなりません。その際に、一定の書類の提出が必要な場合があります。

 必要となる主な書類は以下のとおりですが、保険会社によって異なるため、予め約款などで確認したり、保険会社へ問い合わせをしたりするとよいでしょう。

  • 申し出をするための書類
  • 遺言書の写し
  • 検認済証明書の写し(遺言が公正証書遺言でない場合)
  • 保険契約者の戸籍謄本
  • 相続人もしくは遺言執行人の印鑑証明書

 これらの他にも、被保険者の同意が必要であること、保険会社の取扱要件を満たすことや、遺言書自体が法律上有効でなければならないなど、遺言による保険金受取人の変更には留意点があります。

 相続に関するご相談は、当事務所にお気軽にお問い合わせください。
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