お知らせ

生命保険の受取人は誰でもいいの?

生命保険の死亡保険金について、受取人は誰でも自由に指定できるのでしょうか?

Q
今月のご相談

 生命保険の契約を考えています。
 死亡保険金の受取人を妻や子以外に指定したいのですが、可能でしょうか?

A-1
ワンポイントアドバイス

 生命保険の死亡保険金の受取人は、通常、戸籍上の配偶者、2親等内の親族又は血族の範囲内とされていますが、保険会社によっては個別事情の詳細を報告することで、内縁関係者や婚約者、その他一定の者を指定できる場合もあります。

A-2
詳細解説
1.受取人の指定と変更

 保険会社の多くは、生命保険の死亡保険金の受取人の範囲として、「被保険者の戸籍上の配偶者および2親等内の親族(血族)」と定めています。ただし、保険会社によっては個別事情の詳細を報告することで、内縁関係にある者、婚約者、共同経営者など一定の者の指定を認める場合もあります。

 今回のご相談のように、通常の範囲外の者を死亡保険金の受取人として指定したい場合は、まず個別にご契約の保険会社に確認するとよいでしょう。
 また、同一契約で2人以上を受取人に指定することもできます。その場合、受取割合は契約者が指定します。

 なお、受取人の指定は契約申込み時に契約者が行いますが、契約後も保険期間中であれば、原則として、被保険者の同意を得て途中で変更することが可能です。

2.税務上の取扱い

 ご契約の形態によって税務上の取扱いは異なります。
 ここでは、契約者=保険料負担者=被保険者=被相続人の契約において、死亡保険金受取人が誰かによって、相続税の計算上の取扱いが異なる点をご紹介します。

(1)死亡保険金受取人が戸籍上の配偶者や子など法定相続人の場合

 受け取った死亡保険金は、相続税の計算上、みなし相続財産として課税の対象となります。また、生命保険金の非課税制度(「500万円×法定相続人の数」を上限に相続税を非課税とする制度)を適用することができますので、上手く設計することでみなし相続財産として課税される金額を低く抑えることが可能です。

(2)死亡保険金受取人が(1)以外の者である場合

 受け取った死亡保険金は、相続税の計算上、みなし相続財産として課税の対象となります。ただし、生命保険金の非課税制度は適用することができず、全額が課税の対象となりますのでご注意ください。

 保険期間中、指定した受取人が死亡した場合や、氏名が変わった場合は、各社所定の変更手続きが必要ですが、契約者や被保険者の変更と比べ手続き漏れが多いようです。定期的に受取人が誰になっているか確認することはもちろん、環境の変化によって受取人を変更した方がよいこともあり得ます。状況に応じて、保障の見直しとともに適切な受取人を検討しましょう。

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 昔から、からだに良い野菜として重宝されているトマト、
 生活習慣病などに効果があるとして紹介されたこともあり、
 通常品に比べ何倍もする高級なものも店頭に並ぶようになり、
 トマトブームが過熱することにもなりました。

 その効果の中心として働いているのが「リコピン」という成分、
 活性酸素を除去して、がんや老化を防いでくれるというのです。
 食料品メーカー大手のカゴメでは、トマト等の自家栽培に取組み、
 高リコピンや中型サイズなど機能性の高いトマトの販売に力を入れています。

 もともと同社は、創業者 蟹江一太郎氏が西洋野菜に目を付け、
 玉ねぎ、キャベツ、レタス、パセリなどの栽培に着手し、
 儲けられる作物として、副業として取り組んだことに始まります。

 ところが、トマトは匂いや味が、日本人の舌にまったく合わず、
 作っても売れずに捨ててしまう日が続きました。
 たまたま紹介された、輸入品のトマトピューレがきっかけで、
 トマトを加工すれば商品化できることに気づき、
 輸入食品店経由での販売を始めることになります。

 そして、トマトの加工は順調に進み、
 ウースターソースやトマトケチャップへ手を広げていきます。
 蟹江氏は、トマト加工の比重が高くなってきても、
 農閑期を補う副業としての位置づけをなかなか変えませんでした。

 農家の副業から、近代的な工場への変換したのは、
 トマトの栽培に着手して23年後の事だったのです。
 蟹江氏の経営は、ひとことで言えば「危なげない経営」といえるでしょう。

 事業が拡大していっても、むやみに設備投資せず、
 地元の農家と共同栽培し原料を確保する一方、
 万が一のリスクに備えたのです。

 トマトの加工は、農業の遊休時間を生かしてする、
 副業的なものとして、利益の拡大より、
 農業経営の安定に重点を置きました。

 その後、生産過剰による価格の暴落の経験から、
 同業者が集まって共同経営の形態を採るのですが、
 それは無用の競争を避けるためでした。

 一過性の流行に流されることなく事業を続けて行くには、
 事業の拡大への取り組みは避けて通ることはできません。
 しかし、新しい事は失敗の確率が高いものです、たとえ事業が失敗しても、
 大やけどをしないための体制が必要になります。

 新規事業をする場合、拡大の目安となるのが、
 繁閑の差のバランスが取れる規模になっているかということです。
 そのためには、閑散期に埋め合わせする副業を作っておくことが大切で、
 ピーク期との受注の差が少なくなるほど安定経営が可能になります。

死後離縁

今回は相談事例を通じて、死後離縁について、ご紹介します。

Q
今月のご相談

 私の父(養父)が先日亡くなりました。私は母の再婚に伴う代諾養子縁組により、父の養子となりましたが、昔からずっと父方の親族から暴言や皮肉を言われてきました。以前までは父が守ってくれていましたが、父が亡くなった今、嫌がらせや暴言がエスカレートし、私は精神的に参ってしまいました。私は父方の親族と親族関係を終了させたいと思っていますが、何か良い方法はありませんでしょうか。

 また、母は父の遺産はすべて私に相続してほしいと言っておりますが、上記問題解決のため何かしらの対応をしたとしても、相続関係に影響はありませんでしょうか。法的にどのような扱いになるのかご教示いただけますと幸いです。

A-1
ワンポイントアドバイス

 「死後離縁」という手続きを行うことにより、お父様との離縁が成立すれば父方との親族関係を終了させることができます(民法729条)。ただし、死後離縁が認められるためには家庭裁判所の許可が必要となります(民法811条6項)。遺産を相続しながら扶養義務や祭祀を免れるためといった、明らかに不純な理由の場合、許可審判はされないので注意が必要です。

 なお、死後離縁をした場合でも、すでに生じた相続における相続人の地位に影響はなく、遺産を相続することができます。

A-2
詳細解説
1.「死後離縁」の手続きについて

  1. ① 養子であるご本人が、申立人の住所地を管轄する家庭裁判所に申立てを行います。
  2. (※)養子が15歳未満の場合は、法定代理人が申立てを行うことになります。
  3. ② 家庭裁判所による許可審判の確定後、「審判書謄本」と「確定証明書」を持参し、市区町村役場に養子離縁の届出を行います。
  4. (※)「確定証明書」は、審判をした家庭裁判所に申請書を提出することで交付を受けられます。
  5. (※)家庭裁判所の審判に不服があれば、審判結果の連絡を受けてから2週間以内であれば不服申立てをすることが可能です。
2.離縁後の養子の氏について

 原則、縁組前の氏に戻ることになりますが、離縁の日から3ヶ月以内に市区町村役場に届け出ることにより、引き続き縁組中の氏を称することができます。

 ただし、「縁組の日から7年を経過して以降の離縁の場合」という要件があるので、養子縁組の日から7年経過前の離縁の場合は、復氏することが原則となるので注意が必要です。

  1. (※)7年経過前の離縁の場合でも、家庭裁判所による「氏の変更」に関する許可審判がされれば、縁組中の氏に変更することは可能です。判断基準としては、「やむを得ない事由(氏の変更をしないとその人の社会生活において著しい支障を来す場合)」があるかどうかが基準となります。

 「死後離縁」は家庭裁判所や役所への届出、証明書類の取得など煩雑で時間のかかる手続きが多くあります。そのため、専門家に相談の上、進めていただくことをお勧めします。

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相続財産の寄附と税金 気をつけたいポイントは?

故人の遺志を尊重して相続財産を寄附する場合に、気をつけたいポイントを教えてください。

Q
今月のご相談

 妻が他界しました。私たち夫婦には子供がおらず、相続人は私と甥姪たち(夫の兄、姉の子)です。遺言書はありませんが、生前に自分が亡くなった際は、財産の一部を社会に役立つ団体等に寄附したいと申しておりました。
 妻の財産を寄附したい場合には、手続きや税金などについてどのような取扱いになるのでしょうか?

A-1
ワンポイントアドバイス

 正式な遺言書がないと、奥様の遺志をそのまま実現することはできません。ご相談者様が奥様の遺志を尊重するには、ご相談者様が相続をした上で、寄附の手続きをとることになります。この場合の相続時の寄附について、方法や税金の取扱いなど、気をつけたいポイントを以下にご紹介します。

A-2
詳細解説
1.遺言がない場合の寄附について

 ご本人が亡くなったあとに財産を寄附したいと考えていた場合でも、正式な遺言書がないと、その遺志を実現することはできません。

 「どこに、何を、どれくらい寄附するか」という内容を、遺言書という形で残しておくことが必要です。

 今回のご相談では、奥様が遺言書を残していなかったとのことですので、奥様の遺志で寄附することはできません。

 このような場合は、まず相続の手続きを行い、財産を相続したあとで、相続人の判断で寄附をすることになります。

 たとえご本人が生前に「寄附したい」と周囲に話していたとしても、相続人にその意思がなければ、寄附は行われません。

2.相続税がかからない場合も

 相続した財産を寄附すると、条件を満たせばその寄附分について相続税がかからない(非課税となる)ことがあります。

非課税になるための主な条件:

  1. 寄附した財産が、相続や遺贈で受け取ったそのままの財産であること
    ※現金に換えてから寄附した場合は対象外ですのでご注意ください
  2. 相続税の申告期限(相続日から10ヶ月後の応答日)までに寄附すること
  3. 寄附先が、国や地方公共団体、または教育・科学などの分野で社会に大きく貢献していると認められた特定の公益法人等であること

非課税対象となる寄附先の例:

  • 日本赤十字社
  • 財団法人日本ユニセフ協会
  • 国境なき医師団
  • 公益法人がん研究会
  • 国際NGOワールド・ビジョン・ジャパン
  • 公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン

その他にも、学校法人や公益団体などが非課税の対象になることがあります。寄附を考えている団体が対象かどうか、事前に確認することをおすすめします。

3.所得税や住民税も確認を

 相続人が財産を受け取ったあとに寄附する場合は、「寄附金控除」という制度が使えるかもしれません。これは、寄附した金額の一部が所得税や住民税の計算で控除される制度です。

 寄附の内容等によって、受けられる所得控除や税額控除が変わります。また、対象となる範囲も異なりますので、どういった寄附であったら、どういった控除が受けられるかの詳細は、寄附先として検討している団体のホームページなどでご確認ください。

 なお、寄附をした財産が不動産や株式の場合には、寄附=譲渡として譲渡所得となり、税金がかかることがあります。ただし、この場合に一定の条件を満たして期限内に手続きをすれば、税金がかからない特例もあります。

 ご自身が亡くなったあとに確実に財産を寄附するには、遺言書が必要です。また、寄附名目であれば、財産の種類や寄附先に関係なく相続税等が非課税となる訳ではありません。特に相続人が寄附をする場合には、限られた期間の中で、相手方や財産の選定をした上で実行しなければなりません。慎重かつ迅速に行いましょう。

 相続と寄附と税金の関係について詳しくお知りになりたい方は、お気軽に当事務所までお問い合わせください。

<参考>
国税庁HP「No.4141 相続財産を公益法人などに寄附したとき」など

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 80年から90年代に大流行したタミヤの自動車模型「ミニ四駆」。
 当時、漫画やアニメにも登場し、夢中になっていた子供も今や父親となり、
 自分の子供と遊ぶ世代となり、人気が再燃しているそうです。

 ものすごい速さでコース上を駆け抜けるミニ四駆のレースに加えて、
 新しいブームが起きています。
 イベントでは、メーンのコース会場とは別の場所で、
 車体をビーズなどで飾りつけ、見た目の美しさや改造度を競う、
 「デコ四駆」のコンクールも行われ人気となっています。

 日本のプラモデル・模型メーカーの代表格のタミヤ(田宮模型)、
 お父様方の頭に思い浮かぶのは、幼い時に作ったプラモデル。
 海外から押し寄せたプラモデルの波に押され、
 木製模型からプラモデルに転向することになりますが、
 世界でも屈指の模型メーカーとして発展することになります。

 初めて手がけるプラモデルの製作に四苦八苦している時に、
 経営を安定することができたのは、モーターで自走する模型のヒットでした。
 金型の作り易さと、設計の容易さから、戦車を題材に選びます。
 運の良いことに、有名イラストレーターに箱絵を描いてもらうことにも成功します。

 もう失敗はできないという思い一杯で、製作に取り掛かったものの、
 相変わらずの金型の納期遅れで、発売時期は1ヶ月、2ヶ月と遅れていきました。
 正月の商戦にはどうにか間に合わすことができ、年末ギリギリに問屋へ納品に回ります。
 年が明けると、仕事始の日に追加の注文で電話が鳴り響き、会社が沸き立ちます。

 子供たちの夢を叶える仕事をしているものにとって、
 実物に忠実な模型を作り上げることは、何物にも代えがたい喜びがあります。
 その思いに押されるまま、スポーツカーの代名詞であるポルシェの模型を、
 手がけたときのことです。

 製作の許可を得て、製造工程まで取材することができました。
 本物の車が、組み上げられていく姿を目の当たりにしていると、
 この行程をそのまま模型にしたい気持ちが、モクモクと湧き上がってきます。
 寸法などを忠実に再現するため、本物のポルシェを手に入れ、
 あらぬことかバラバラに解体してしまったのです。

 発売してみると、模型の人気はマニアだけに止まり、
 売れ行きは思ったほどではありませんでした。
 振り返ってみると、制作費がかかりすぎ小売価格が高くなりすぎたこと、
 世に出すタイミングが早すぎたことが原因でした。

 その後、ポルシェの模型はラジコンカーとして復活することになります。
 ラジコン好きの社員が、駐車場で自作のラジコンカーを走らせている姿を見て、
 エンジン音がしないので尋ねてみると、モーターで走らせていると応えるではないですか。
 エンジンが主流であったラジコンの世界に、電動カーが登場することになるのです。

 先立つこと2年前に、戦車型のラジコンカーを発売し、市場の反応を見つつ、
 ポルシェのラジコンカーを発売します。
 本体、送信機、受信機を揃えると3万円近くするのにも拘らず、大ヒットとなります。
 そして、電動カーは、オフロードカー、ミニ四駆へとつながっていくことになるのです。

 多くの場合、思い入れが強いとビジネスは上手くいかないものです。
 上手くいかなくて起死回生を狙い、新しいビジネスに手を出すものなら最悪です。
 大きな成果を願うなら、念入りに調査をし、テスト販売をするなど、
 確信を得てから、本格的に手をつけないといけません。
 はやる気持ちを抑えて、手順を踏むことで、成功の確率は格段に高まるのです。

2025年7月23日

夏季休業日のご案内

弊事務所では、下記期間を休業とさせて頂きますのでご案内いたします。

休業期間中は何かとご不便をお掛けすることと存じますが、
何卒よろしくお願い申し上げます。

■夏季休業日 8月13日(水)~8月17日(日)

老人ホームへの入所と空き家に係る譲渡所得の特別控除

老人ホームへの入所により空き家となっていた住宅を相続し、その後売却を行ったとき、被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例の対象となりますか?

Q
今月のご相談

 父の死亡により相続した空き家を売却することを検討しています。売却した儲け(譲渡所得)に対して税金がかかるそうですが、その譲渡所得を計算する上で、空き家だった場合には一定の控除(空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例)が受けられると聞きました。
 相続した空き家は、父が老人ホーム入所前に住んでいた家です。このような空き家であっても、この特例の対象となるのでしょうか。

A-1
ワンポイントアドバイス

 相続の開始の直前においてお父様の居住の用に供されていなかった家屋であっても、一定の要件を満たしていれば、その居住の用に供されなくなる直前までお父様の居住の用に供されていた家屋は、被相続人の居住用家屋として特例の対象になります。具体的な内容は詳細解説をご参照ください。

A-2
詳細解説
1.被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例とは

 相続または遺贈により取得した被相続人の居住用家屋または被相続人居住用家屋の敷地等を、平成28年4月1日から令和9年12月31日までの間に売却し、一定の要件に当てはまる場合には、譲渡所得の金額から最高3,000万円まで控除することができます。この制度を「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」といいます。

2.対象となる「被相続人の居住用家屋」とは

 対象となる「被相続人の居住用家屋」とは、相続開始の直前において被相続人の居住の用に供されていた一定の家屋である必要があります。

 ただし、要介護認定等を受けて老人ホーム等に入所するなど、特定事由により相続開始の直前において被相続人の居住の用に供されていなかった場合で、一定の要件を満たすときは、その居住の用に供されなくなる直前まで被相続人の居住の用に供されていた家屋は、「被相続人の居住用家屋」に該当します。

3.特定事由に該当する場合の「被相続人の居住用家屋」の要件

 被相続人の居住用家屋に該当するための要件は、以下のとおりです。

  1. 一定の要介護認定もしくは要支援認定または一定の障害支援区分の認定を受けて老人ホーム等に入所等していたこと(これを「特定事由」といいます)
  2. 次に掲げる要件を満たしていること
    1. ① 特定事由により、その家屋が被相続人の居住の用に供されなくなったときから相続開始の直前まで、被相続人の物品保管等の用に供されていたこと
    2. ② 特定事由により被相続人の居住の用に供されなくなったときから相続開始の直前まで、事業の用、貸付の用または被相続人以外の者の居住の用に供されていないこと
    3. ③ 被相続人が上記1.の入所等をしたときから相続開始の直前までの間において、被相続人が主としてその居住の用に供していたと認められる家屋がその老人ホーム等であること
  3. その家屋が次の3つの要件すべてに当てはまるもの(特定事由によりその家屋が被相続人の居住の用に供されなくなる直前において、主として被相続人の居住の用に供されていた一の建築物に限る)であること(被相続人の居住用家屋の条件)
    1. ① 昭和56年5月31日以前に建築されたこと
    2. ② 区分所有建物登記がされている建物でないこと
    3. ③ 特定事由により被相続人の居住の用に供されなくなる直前において被相続人以外に居住をしていた人がいなかったこと
4.ご相談のケース

 ご相談のケースにおいては、お父様の老人ホーム入所が特定事由に該当するかどうかが、まず注目すべきところとなります。特定事由に該当した場合には、その他の要件を満たすかどうかを判断いただき、すべての要件に該当する場合には、本制度の対象となる「被相続人居住用家屋」に該当すると考えられます。

 本制度は、原則「被相続人が相続開始直前に居住していた土地建物」を対象としているため、老人ホーム等に入所していた場合に本制度の適用を検討される際には、特定事由の判断をするための資料として、介護等の認定の書類や老人ホーム等の契約書等、揃える資料が通常より多く、適用の可否については慎重に確認する必要があります。

 不動産の売却に係る税金について、ご不明な点がありましたら、お気軽に当事務所までお問い合わせください。

<参考>
 国税庁HP タックスアンサー
 「No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例
 「No.3307 被相続人が老人ホーム等に入所していた場合の被相続人居住用家屋

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受給中の個人年金保険と相続税

受給中の個人年金保険と相続税の関係について教えてください。

Q
今月のご相談

 先月、母が亡くなり、財産関係の資料を整理したところ、受給中の個人年金保険が見つかりました。保険会社に手続きについて相談したところ、誰が受け取るか決めて請求手続きをするように案内されました。相続人は兄と私の2人です。この契約は私が引き継ぐ予定ですが、相続税への影響が心配です。個人年金保険と相続税の関係について教えてください。

【契約内容】
  • 年金種類:15年保証期間付終身年金/受給中(保証期間 残5年)
  • 契約者(保険料負担者):母
  • 被保険者:母
  • 年金受取人:母
A-1
ワンポイントアドバイス

 今回のご相談の場合、保証期間の残期間分の年金受給権があり、相続税の対象となります。保険会社や保険の種類によっては、年金に代えて一時金で受給できる場合もあります。受取方法によって取扱いが異なる点にご留意ください。

A-2
詳細解説
1.個人年金保険と相続税

 個人年金保険は、相続発生時の年金受給権の有無により、財産として評価すべきか否かが異なります。
 相続発生時、年金受給権がある場合、年金受給権はその種類等に応じて相続税法24条に基づいて評価することとなります。

 一方、被保険者が亡くなると同時に年金受給権が消滅する契約は、相続人は何も取得しないため、財産として評価する必要もありません(死亡保険金が支払われる契約を除く)。

 今回のように、保証期間付終身年金で保証期間中に被保険者が亡くなったときは、保証期間の残期間分の年金受給権があります。そのため、財産として評価する必要があります。評価した年金受給権は、他の相続財産とあわせて相続税の対象となります。

 また、保険会社や保険の種類によっては、年金に代えて一時金で受給できる場合もあります。引き継いだ相続人が年金で受け取るか一時金で受け取るか、受取方法によっても異なります。

2.受取方法の違いによる相続税

(1)残期間分の年金を相続人が引き継いで年金形式で受け取る場合

 年金受給権は、「みなし相続財産」として相続税の対象となります。また、年金受給権の評価額は、①②③いずれか多い金額となります。

  1. ① 解約返戻金の金額
  2. ② 年金に代えて一時金を受け取ることができる場合には当該一時金の金額
  3. ③ 給付を受けるべき金額の1年間当たりの平均額×残存期間に応ずる予定利率の複利年金現価率によって算出される金額

(2)年金に代えて残期間分を相続人が一時金で受け取る場合

 受け取る一時金は、「みなし相続財産」として相続税の対象になります。

 なお、残期間分を年金で受け取る場合、その年金は受け取る人の雑所得として所得税、住民税の対象になります。ただし、雑所得を計算する際は、相続税の課税対象となった部分と課税対象となっていない部分に振り分けられ、相続税との二重課税がないよう、相続税の課税対象となっていない部分のみが所得税、住民税の課税対象になります。1年目は非課税です。

 相続税は、財産総額によってかかる税率が異なります。また、相続後に年金形式で受け取るときにかかる税金は、受け取る人の他の所得等の状況によって負担が異なります。
 個人年金保険の相続について受取方法等でお悩みの場合には、当事務所までお気軽にご相談ください。

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 ディーゼンエンジンをはじめとする発動機、
 農業・建設機器、船舶を扱うヤンマー(ヤンマーホールディングス)。
 同社は、全5話完結となるオムニバスストーリーとなる
 オリジナルアニメを制作し4月からテレビで放映しました。

 本格的なアニメ作品を作った理由のひとつは、
 売上が伸びている海外展開を進めるためです。
 「人の可能性を信じ、人の挑戦を後押しする」という価値観を発信し、
 グローバルなブランドプロモーションを図ります。

 また、アニメ作品のキャラクタービジネスを展開することです。
 関西地方では、ヤン坊マー坊が紹介する天気予報のCMが、
 長い間流れていました。
 今後、このようなキャラクターを活用し事業として成立させます。

 創業者である山岡孫吉氏が幼い頃から丁稚奉公に出る苦労をし、
 ガス会社の工事作業員に雇われたことがきっかけで、
 この道に進むようになります。

 時代は、大阪市内にガス管の敷設が進み、
 工場などはそれまでの蒸気機関から、ガスへ切り替えが進む最中でした。
 蒸気機関は、広い据付場所が必要なうえに、操作も難しいものでした。

 便利さから、ガスの普及が進むにつれて、
 小さな馬力の動力を使っていた町工場や、
 豆腐屋までガスに乗り換えるようになりました。

 たまたま、工事に出かけた会社の倉庫で、
 売れ残りのガス用ゴム管の山を目にします。
 理由を聞いてみると、海外から輸入されているゴム管が、
 輸送途中に劣化してしまい、ガス会社に納品を断られたというのです。

 そこで、売れ残りのゴム管を売りさばく手伝いをはじめたところ、
 在庫はきれいに処分できたのです。
 山岡氏は、その手数料として手にした資金をもとに、
 ゴム管の販売とガスレンジの修理業として商売を始めます。

 その後、動力用エンジンの販売などを行っていましたが、
 商品を右から左へ流すだけの商売には、嫌気がさしてきました。
 お客に誇れるような製品を作り、胸を張って値段をつけられるような、
 仕事がしたいと考え、発動機の製作を手がけるようになります。

 農業用の、もみすり機、動力精米機、
 水揚げポンプなどを製作して販売を始めます。
 ある時、ドイツで初めてディーゼルエンジンを目にし、
 あまりに優れた性能に、その虜になってしまいます。

 その後は、とりつかれた様にエンジンの研究に没頭していくようになります。
 2年がかりで、念願のディーゼルエンジンを完成させ、
 現在の礎を築くことになるのです。

 ヤンマーは、何処にも引けをとらない製品を作るという精神から、
 84年から南極にある昭和基地の発電機用として、
 ディーゼルエンジンを送り出しています。
 極寒のうえ、絶対に止めることは許されない使命を受ける姿勢は、
 その自信の表れといえます。

死後認知

今回は相談事例を通じて、死後認知について、ご紹介します。

Q
今月のご相談

 先月、私の夫が亡くなりました。私と夫は長年内縁関係にあったため、私は相続人にあたりません。また、私と夫の間には今年30歳になる娘が1人おりますが、夫が認知する前に亡くなってしまいましたので、娘も法的には夫の子とは認められず相続人にはあたらないと、先日、知人から伺いました。

 私は内縁だったので仕方がないと思っておりますが、娘は正真正銘の夫の子なのに相続ができないなんて、あまりに可哀そうでなりません。何かよい方法はないのでしょうか。
 また、現状、相続人は夫の兄と妹の2名ですが、遺産分割協議が整ってしまった場合、何かしらの請求ができるのでしょうか。

A-1
ワンポイントアドバイス

 「死後認知」という手続きを行うことにより、ご息女は法的にもご主人様の子として相続人になることが可能です。また、他の相続人による遺産分割協議後でも認知された者(被認知者)には、価額による支払請求権が認められています(民法910条)。
 本件でいいますと、現相続人は被認知者(ご息女)の出現により相続権を有しなかったことになりますので、ご息女は相続回復請求権(民法884条)による請求も可能だと考えます。

A-2
詳細解説

 死後認知について、「子、その直系卑属又はこれらの者の法定代理人は、認知の訴えを提起することができる。ただし、父又は母の死亡の日から三年を経過したときは、この限りでない。」と規定されています(民法787条)。

 そもそも「認知」とは、婚姻外に生まれた子(非嫡出子)について、父又は母が、その子を自己の子と認めることをいいます。「認知」をすることにより、非嫡出子にも法律上の親子関係が成立します。

(※)母との親子関係は分娩の事実により当然生じるため、母子関係の成立に認知は不要とするのが通説です。

 「死後認知」は、本件のように父親が生前中に「認知」をすることなく亡くなってしまった場合に有効となる法律です。子もしくはその法定代理人が認知の訴えを提起することができますが、請求期間が父親の死亡後3年以内になるため注意が必要です。

 「死後認知の訴えの提起」やその先の「他相続人への請求」等、ご自身ですべてを対応するのは難しいと思われるため、早い段階で専門家にご相談されることをおすすめします。

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