今回は相談事例を通じて、所有権の登記名義人の死亡についての符号の表示制度をご紹介します。
不動産登記において、所有権の登記名義人が死亡した場合、登記簿にその旨が表示されるようになると聞きましたが、どのような制度でしょうか。
ご相談の制度は「所有権の登記名義人の死亡についての符号の表示制度」(改正不動産登記法第76条の4、以下、新制度)といい、2026年4月1日から施行されています。
従来は、所有権の登記名義人が死亡しても、相続人等による相続登記の申請がされない限り、登記記録上に死亡の事実は一切表示されませんでした。そのため、登記簿だけを見ても名義人が存命かどうかを判断することはできず、民間事業や公共事業における事業用地選定の際などに、所有者の特定に多大な手間とコストを要するという問題が生じていました。
新制度では、登記官が住民基本台帳ネットワークシステム(以下、住基ネット)等の他の公的機関から取得した情報を端緒として死亡の事実を確認した場合、職権により登記簿の所有権の登記名義人について「◇」(菱形)の符号を表示することができるとされています。
登記官が死亡情報を把握する経路としては、住基ネットへの照会による死亡情報の取得や、長期相続登記等未了土地解消事業等の法務局の事務の過程において、死亡情報の把握をすることなどが想定されています。
本制度により、登記簿を見れば相続登記が未了の不動産であっても名義人の死亡の事実を確認できるようになります。ただし、登記官が直ちにすべての死亡情報を把握できるわけではないため、符号の表示がないからといって、名義人が存命であることを保証するものではない点にはご注意ください。
なお、この符号の表示はあくまで死亡の事実の公示であり、それ自体が相続登記の義務を直接生じさせるものではありません。
もっとも、2024年4月1日に施行された相続登記の申請義務化(改正不動産登記法第76条の2)によって、相続により不動産の所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記を申請する義務がすでに課されています。正当な理由なく申請を怠った場合は、10万円以下の過料の対象となります(同法第164条第1項)。
「◇」の符号が登記簿に表示された場合、登記官が所有権登記名義人の死亡の事実を確知しただけでなく、公示されているその不動産の登記記録を第三者が見た場合も、その不動産の相続が未了であることが一目瞭然となります。相続登記の申請をしていない不動産がある相続人の方は、符号の表示を一つの目安として、速やかに相続登記の手続きを進められることをお勧めいたします。
相続登記の申請等については、個別の案件により必要となる手続きは異なりますので、お近くの司法書士へご相談ください。
[参考]
法務省「所有権の登記名義人への符号の表示の制度」
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相続税は、被相続人が相続発生時点で所有していた財産に対して課税されます。
不動産の相続というと、相続税対策に目が向きがちですが、実務上は相続前の対策に加えて、相続後の対策も重要です。
生命保険の場合、受取人をあらかじめ指定するため、大切な人に確実に資産を遺すことができます。法定相続人以外にも財産を遺せます。ただし、原則、死亡保険金受取人は被保険者の配偶者または2親等内の血族の範囲内で指定することになります。
所有不動産記録証明制度とは、相続登記の義務化に対応するため、被相続人名義の不動産を相続人が把握しやすくする制度です。
お父様が亡くなった時点で所有していた財産で、金銭的に価値のあるすべての財産に対して相続税が課税されます。具体的には、土地、建物、借地権(土地を借りる権利)、事業用(農業用)の財産、株式、公社債、投資信託、現預金、貸付金、家庭用財産(家電、家具など)、書画骨とう、貴金属、自動車、特許権、電話加入権、立木などが該当します。
同じ土地であっても、評価する目的や評価主体によって価格は異なります。一般に「実勢価格」「公示価格」「路線価」「固定資産税評価額」の4種類に分類され、これらを総称して「一物四価」と呼びます。



