お知らせ

 喫煙に対する規制が強くなったこともあり、
 タバコの自動販売機(自販機)はかなりの数が姿を消しました。
 郊外に行けば、自家野菜や玉子を売る自販機を目にすることもありますが、
 街中で見かけるのは、飲料水や缶コーヒーの自販機ばかりになりました。

 コンビニやフードコートが広がるまでは、
 街角や人が集まる場所で一風変った自販機を目にしたものです。
 そんな、レトロな自販機を集めた「自販機食堂」が群馬県にあり、
 ちょっとした観光スポットとなっています。

 道路を挟んだ向かいにコンビニがあるものの、
 物珍しさに惹かれて訪れる人、当時を懐かしんで来店する客が後を絶たず、
 平日で100食、休日は200食を超える売上があるそうです。  

 現在のように、街角のいたるところに自動販売機が設置でき、
 販売を支えているのが、硬貨、紙幣の認識技術です。
 この技術に早くから取り組んだのが、立石電機(現 オムロン)です、

 最初に開発を手がけたのは食券自動販売機でした。
 私鉄の路線延長に備えて、百貨店が新駅に通じる地階に、
 新しく食堂コーナーを作る計画をしたのです。
 その食堂に、食券の自動販売機を導入する構想が持ちあがります。

 3種類の硬貨を利用し、偽造を見分け、7種類の食券を販売するという、
 開発陣も尻込みするほど、とても高い性能を要求されましたが、
 見事に完成させ63年に7台の納入を果たします。

 自動制御装置にコンピュータを組み合わせた技術は、
 次々と新しい製品に開花していきます。
 アメリカのメーカーの依頼で、食券の自動販売機の技術を応用した、
 クレジットカード用の自販機システムを手がけることになります。

 現地では、食事をする前に前払いする習慣が無かったため、
 いわゆる後払い形式のクレジットカード方式に切り替えての開発でした。
 製品発表は大々的にマスコミに取り上げられ、
 新聞やテレビで報道されましたが、一方販売は伸びませんでした。

 しかし、その技術は無駄にされることなく、
 銀行の窓口無人化システムにつながります。
 66年に金融会社から入った、紙幣自動貸出機の開発依頼を皮切りに、
 銀行向けのCD(自動預金支払機)を手がけ、
 ATM(自動現金引き出し、預け入れ装置)に引き継がれたのです。

 30年、オムロンの創業者 立石一真氏が独立開業を決意したのは、
 折からの不況で、勤めていた会社の希望退職に応じたものの
 就職口がみつからず、再就職できなかったからです。

 最初は、自らが考案した、ズボン挟み器(ズボンプレッサー)や
 ナイフグラインダー(包丁研ぎ器)を売り歩き、
 細々と生計を立てていましたが、持っていたお金も底を尽き、
 その日の米代まで不自由するようになります。

 途方にくれ、周囲に仕事がないかと訪ね歩いていたところ、
 友人がレントゲン撮影用のタイマーの話を持ってきてくれます。
 鮮明な映像を撮るために、20分の1秒を計る必要があったのですが、
 それまではゼンマイ仕掛けで、正確に測定できなかったのです。

 立石氏は、2ヶ月掛かりで2台の試作品を完成させメーカーに持ち込みます。
 大阪の病院で行われた、タイマーの立会い試験では、
 合格の結果を受け、はじめて大口の注文を受けることが出来たのです。
 こうして、「継電器(リレイ)」の専門工場として
 立石電機の基礎が出来上がったのです。

2026年2月から始まった所有不動産記録証明制度とは

今回は相談事例を通じて、所有不動産記録証明制度について、ご紹介します。

Q
今月のご相談

 先日、父が他界しました。相続人は私と母、妹の3人です。

 父の遺言書により、父の所有する不動産すべてを私が相続することになりました。父は趣味で不動産をたくさん所有している(昔の仕事仲間と共有状態の土地が多数)と聞いており、実際、毎年実家に固定資産税の納税通知書や課税明細書が届いていました。今はその書類を整理しているのですが、数が多く途方に暮れています。

 私は遠方に住んでおり仕事をしていますし、できる限りスムーズに相続する不動産を把握したいのですが、何かよい方法はありますか。

A-1
ワンポイントアドバイス

 2024年4月1日から相続登記の申請が義務化され、相続によって不動産を取得した相続人は、その所有権の取得を知った日から3年以内に相続登記の申請をしなければなりません。

 従来の被相続人の不動産の調査には、

  • 権利証を探す
  • 固定資産税の納税通知書を確認する
  • 名寄帳を取り寄せる(その市町村で被相続人が所有するすべての不動産が確認できるもの)

などの方法があります。しかしながら、これらの方法の場合、非課税地や共有物件は一覧には載ってこないこともあることや、名寄帳も請求した市区町村内の不動産しか見つかりませんので、その他の“隠された不動産”を発見することができないリスクがあります。

 こうした状況の中、2026年2月2日より新しい調査の方法として、所有不動産記録証明制度が始まりました。

A-2
詳細解説

 所有不動産記録証明制度とは、相続登記の義務化に対応するため、被相続人名義の不動産を相続人が把握しやすくする制度です。

 登記官が、被相続人が所有者として登記されている不動産を一覧にまとめた証明書を交付することで、相続登記の手続負担を軽減し、登記漏れを防ぐことを目的としています。

 この証明を請求できる方は、所有権の登記名義人(法人を含む)及び登記名義人の相続人その他の一般承継人(法人を含む)で、ご相談者様もお父様の証明書を取得することが可能です。

 この証明書の請求は、すべての法務局・地方法務局に対して可能で、以下の必要書類を添付して行います(手数料が必要です)。

  • 印鑑証明書(請求書に実印を捺印するため)
  • 本人確認書類の写し
  • 戸籍など、所有権の登記名義人との相続関係・承継関係を証する情報(必要に応じて、過去の氏名や住所を検索条件とする場合、除籍謄本、除かれた戸籍の附票の写しなどの履歴を証する情報)

 請求をすると、

  • 氏名又は名称の前方一致、かつ、住所の市区町村までが一致している人
  • 氏名又は名称の前方一致、かつ、住所の末尾5文字が一致している人

 このルールに基づいて抽出された不動産から、検索条件と合致するものが選定され、記載された証明書が発行されます。なお該当する不動産がない場合には、その旨が記載された証明書が発行されます。

 そのため、検索する方が過去に氏名の変更をしていたり住所を移転していたりすると、検索の漏れを防ぐために、氏名住所の複数の組み合わせが必要となる場合がありますので、ご注意ください。

 ご相談者様も、この所有不動産記録証明制度を活用されてはいかがでしょうか。

[参考]
 法務省「所有不動産記録証明制度について

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返済が見込めそうにない貸付金も相続財産となるの?

返済が滞っている貸付金があります。このような貸付金は相続財産となるのでしょうか?

Q
今月のご相談

 夫が経営しているA社へ父がお金を貸しています。しかし、A社の業績が悪く、返済が滞っているようです。
 返してもらえるかどうか定かではないのですが、このような貸付金であっても、父が亡くなった場合、相続財産となるのでしょうか。
 また、生前に債権放棄した場合にはどうなりますか。

A-1
ワンポイントアドバイス

  お父様が亡くなった時点で貸付金が残っていれば、原則として相続財産に含まれます。また、生前の債権放棄にはさまざまなリスクがあるため、実行にあたっては慎重な検討が必要です。

A-2
詳細解説
1.本来の財産

 お父様が亡くなった時点で所有していた財産で、金銭的に価値のあるすべての財産に対して相続税が課税されます。具体的には、土地、建物、借地権(土地を借りる権利)、事業用(農業用)の財産、株式、公社債、投資信託、現預金、貸付金、家庭用財産(家電、家具など)、書画骨とう、貴金属、自動車、特許権、電話加入権、立木などが該当します。

 返済が滞っている貸付金であっても、回収が不可能または著しく困難と認められるなどの一定の場合を除き、相続財産に含まれます。

 この場合の「一定の場合」とされるものとは、以下のとおりです。

 債権金額の全部又は一部が、課税時期において次に掲げる金額に該当するとき、その他その回収が不可能又は著しく困難であると見込まれるときにおいては、それらの金額は元本の価額に算入しない。

(1)債務者について次に掲げる事実が発生している場合におけるその債務者に対して有する貸付金債権等の金額(その金額のうち、質権及び抵当権によって担保されている部分の金額を除く。)

イ 手形交換所(これに準ずる機関を含む。)において取引停止処分を受けたとき

ロ 会社更生法(平成14年法律第154号)の規定による更生手続開始の決定があったとき

ハ 民事再生法(平成11年法律第225号)の規定による再生手続開始の決定があったとき

ニ 会社法の規定による特別清算開始の命令があったとき

ホ 破産法(平成16年法律第75号)の規定による破産手続開始の決定があったとき

ヘ 業況不振のため又はその営む事業について重大な損失を受けたため、その事業を廃止し又は6か月以上休業しているとき

(2)更生計画認可の決定、再生計画認可の決定、特別清算に係る協定の認可の決定又は法律の定める整理手続によらない、いわゆる債権者集会の協議により、債権の切捨て、棚上げ、年賦償還等の決定があった場合において、これらの決定のあった日現在におけるその債務者に対して有する債権のうち、その決定により切り捨てられる部分の債権の金額及び次に掲げる金額

イ 弁済までの据置期間が決定後5年を超える場合におけるその債権の金額

ロ 年賦償還等の決定により割賦弁済されることとなった債権の金額のうち、課税時期後5年を経過した日後に弁済されることとなる部分の金額

 

(3)当事者間の契約により債権の切捨て、棚上げ、年賦償還等が行われた場合において、それが金融機関のあっせんに基づくものであるなど真正に成立したものと認めるものであるときにおける、その債権の金額のうち(2)に掲げる金額に準ずる金額

2.債権放棄した場合

 債権放棄した場合には、その分がA社の受贈益となります。

 これによってA社の株価が上がった場合は、株主への「みなし贈与」として贈与税の対象となる可能性が考えられます。

 さらに、他に相続人となる方がいらっしゃれば、もめる要素になりかねないため、慎重に進めていく必要があります。

 返済してもらえるかわからないからと安易に債権放棄してしまうと、トラブルに発展する可能性が考えられます。こういったお悩みがある場合は、当事務所までお気軽にご相談ください。

<参考>
相法9、相基通9-2、財基通205ほか

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 カップヌードルを販売する日清食品ホールディングス(HD)のCMが、
 このところ熱を帯びてきています。
 これまでには無かった、エスニック風味や超ジャンボサイズの
 カップヌードルを発売したかと思うと、
 倍近い価格の高級バージョンと、矢継ぎ早に登場させました。

 広告費大放出的な戦略の目的は、X(旧ツイッター)で注目にされること。
 加えて、ヤフーやLINEのニュースの上位に取り上げられることで、
 20、30代が関心を持ち、将来のヘビーユーザに育ってもらうことです。
 かつて、不可能を現実にした挑戦の魂は、世代を越えて受け継がれています。

 同社の創業者 安藤百福(ももふく)氏は、
 あと数年で50才というところで事業を失い、
 かろうじて自宅だけが残ったのでした。
 よくある話で、事業家として成功していた安藤氏が
 「名前だけでも」と頼まれて、就任した信用組合の理事長の職。
 その事業が失敗し、責任を取って自らの事業を手放して
 弁済することになってしまったのです。

 そんな挫折の最中、あるアイデアがきっかけで、
 安藤氏は自宅庭に小屋を建て、ラーメンの研究を始めるのでした。
 夫人が天ぷらを揚げている時のこと
 「高温の油で揚げられた小麦粉の衣は、
 時間が経つと水分を吸ってやわらかくなる」
 これが、油熱乾燥法を思いついた瞬間でした。
 どんぶりに入れて湯を注ぐだけで食べられる「チキンラーメン」。
 1958年、世界初のインスタント・ラーメンの発明だったのです。

 安藤氏が「麺」に執着しだしたのは、
 その発明からさかのぼること十数年前になります。
 終戦後の大阪梅田駅。
 空腹を満たすため、寒風に震えながらラーメン屋台に並ぶ
 長い行列を見て、人々の食に対する強い欲求を感じたのです。

 目指すものは見えていました、
 「こんな思いをしないでも、みんなにいつでも
 おいしいラーメンを食べてさせたい」
 安藤氏は、事業とするには具体的な目標を立てる必要があると
 開発前に5つの条件を決めました
 
 一、毎日食べても飽きないくらい、おいしいこと
 一、保存が効き、家庭の常備食と出来ること
 一、簡単に調理できること
 一、安くで手に入れられること
 一、安全であること
 
 安藤氏は、この条件を一つずつ確認しながら、
 毎日、コツコツと、開発を進めていきました。
 こうして、インスタント・ラーメンは開発から完成まで
 約1年を経て誕生したのです。
 
 執念の賜物…と、言ってしまえばそれまでなのですが、
 しかっりと目標を捉えてから、事業に取り掛かる。
 このことが、事業を成功させるためのポイントなのです。
 「走り出したら、如何にかなるさ…」
 こんな気持ちに流させそうになったら、
 まずは、カップ・ラーメンにお湯を注いで
 じっくり考えてみてはどうでしょうか。

相続した土地はいくらで売れる? 知るべき“4つの価格(一物四価)”

相続した土地を売却する際に知っておくとよい「一物四価」について、詳しく教えてください。

Q
今月のご相談

 今回、相続した土地を売却するにあたり、土地の価格について調べていたところ、土地には複数の異なる価格が存在し、それらを称して「一物四価」ということを知りました。「一物四価」とは、それぞれどのような違いがあるのでしょうか。また、実際に売却価格を考える際のプロセスについて教えてください。

A-1
ワンポイントアドバイス

 一般的に「実勢価格」「公示価格」「路線価」「固定資産税評価額」の4つを総称して「一物四価」と呼びます。それぞれの違いや売却価格を考える際のプロセスについては、詳細解説をご確認ください。

A-2
詳細解説
1.一物四価とは

 同じ土地であっても、評価する目的や評価主体によって価格は異なります。一般に「実勢価格」「公示価格」「路線価」「固定資産税評価額」の4種類に分類され、これらを総称して「一物四価」と呼びます。

 さらに「公示価格」は、国土交通省が毎年公表する「公示地価」と、都道府県が毎年公表する「基準地価」の2種類に分けられます。この2つを区別して扱う場合は、価格の種類が5つになるため、「一物五価」と呼ばれることもあります。

 それぞれの土地の価格には、評価の目的や算定主体、算定方法、利用用途や特徴などの違いがあります。

2.価格の特徴
  1. ① 実勢価格
    理論上の評価額や公的な価格ではなく、実際の市場において取引されている価格を指します。つまり、実際の売買時に用いられる価格です。公示地価などの公的な価格とは異なり、市場の需給や時期、条件などで変動しやすい価格となります。
  2. ② 公示地価
    毎年1月1日時点の土地価格を、1平方メートルあたりの単価で示したものです。国土交通省の土地鑑定委員会が、地価公示法に基づいて標準地を選定の上、価格を判定し毎年3月に公表しているものです。一般の取引価格の指標となるものであり、不動産鑑定や公共事業用地の取得価格算定、税務評価の基準などに用いられています。
  3. ③ 基準地価
    毎年7月1日時点の土地価格を1平方メートルあたりの単価で示したものです。国土利用計画法に基づき都道府県が取りまとめて、毎年9月に公表しています。「公示地価」が都市計画区域内に存する土地のみを対象としている一方で、「基準地価」は都市計画区域外に存する土地についても対象としています。
  4. ④ 路線価
    毎年1月1日時点の路線(道路)に面する標準的な宅地の1平方メートルあたりの価格のことであり、国税庁が公表しているものです。毎年7月に公表される「路線価図」にて確認できます。主に相続税や贈与税の申告時に用いられます。上記の公示地価の8割程度の水準で設定されているといわれています。
  5. ⑤ 固定資産税評価額
    市区町村が土地・家屋などの固定資産に対して課税するために定める価格で、固定資産税・都市計画税・不動産取得税・登録免許税などの算定基準として用いられます。固定資産税評価額の算定は、毎年1月1日時点の所有状況・価格を基準とし、原則として3年ごとに評価替え(価格の見直し)が行われます。上記の公示地価の7割程度の水準で設定されているといわれています。なお、固定資産税評価額は、市区町村から毎年4月頃に送付される「固定資産税課税明細書」や「評価証明書」で確認できます。
価格の種類 主な用途 評価主体 評価時期 公表時期 特徴
実勢価格 実際の売買 取引当事者間 市場の需給や時期、条件で変動しやすい
公示地価 土地取引の指標、公的評価 国土交通省 1月1日時点 3月 公的で透明性があり、市場価格に近いが必ずしも一致しない
基準地価 土地取引の指標、補完評価 都道府県 7月1日時点 9月
  • 公示地価の補完、年中間の市場動向を反映
  • 公示地価の評価対象が都市計画区域内であるのに対し、基準地価は都市計画区域外も含む
路線価 相続税・贈与税の計算 国税庁 1月1日時点 7月 公示価格の約8割が目安
固定資産税評価額 固定資産税等の課税 市区町村 1月1日時点 4月
  • 公示価格の約7割が目安
  • 3年に一度、評価替えが行われる

 公示地価や基準地価は国土交通省が運営する「不動産情報ライブラリ」で、路線価は「国税庁のホームページ」で、それぞれ誰でも簡単に確認できます。また、不動産情報ライブラリには不動産の売買価格などの情報もある程度掲載されていますので、ぜひご自身で調査されることをお勧めします。

 ただし、売買事例の豊富な情報を持っているのは、やはり不動産業者です。不動産業者は「レインズ」と呼ばれる国土交通省が運営する業者専用のデータベースを使い、より詳しい情報を入手しています。

 相続した土地の売却価格を検討する際は、不動産情報ライブラリや国税庁のホームページなどの公的な情報を参考にしながら、信頼できる不動産業者に相談して価格査定を依頼することが大切です。こうしたプロセスを踏むことで、納得のいく売却価格を把握できるでしょう。

<参考>
 国土交通省「不動産情報ライブラリ
 国税庁「路線価図・評価倍率表

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死亡保険金とともに受け取る積立配当金と未経過保険料

死亡保険金と一緒に受け取った、積立配当金と未経過保険料について教えてください。

Q
今月のご相談

 母が亡くなり、A生命保険会社から死亡保険金を受け取りました。受け取った金額が、保険証券に記載されている金額より多かったため明細を確認したところ、死亡保険金に加えて積立配当金と未経過保険料が一緒に支払われていたことが分かりました。積立配当金や未経過保険料とは何でしょうか?
 死亡保険金の相続税の取扱いについては、理解しています。積立配当金や未経過保険料も、同じように考えてよいのでしょうか?

【契約内容】
  • 保険種類:5年ごと利差配当付終身保険
  • 契約者:母
  • 被保険者:母
  • 死亡保険金受取人:私(子)
  • 保険料払込方法:保険料払込期間10年、契約時に全期前納
【保険会社からの支払内訳】
  • 死亡保険金2,000万円
  • 積立配当金30万円
  • 未経過保険料戻し180万円
A-1
ワンポイントアドバイス

 積立配当金と未経過保険料は、死亡保険金と同様、「みなし相続財産」として相続税の対象となります。詳しい内容は、詳細解説をご参照ください。

A-2
詳細解説
1.積立配当金とは

 積立配当金とは、契約期間中に配当金(※)が積み立てられたものです。

(※)保険会社が決算の状況に応じ、保険種類や契約内容によって契約者に還元するお金

2.未経過保険料とは

 未経過保険料とは、支払期間が到来していない将来の保険料を、前納または年払等によりまとめて支払った契約において、死亡保険金請求や解約時点で支払期間が到来していない前納分を指します。支払期間が到来していないため保険料に充当されておらず、保険会社が預かっている状態です。

 そのため、このような未経過保険料がある場合は、保険金請求もしくは解約など、契約が消滅する際に戻ってきます。

3.積立配当金と未経過保険料の税の取扱い

 死亡保険金とともに支払いを受ける積立配当金や未経過保険料は、相続税法基本通達3-8に基づき、死亡保険金にこれらを含めた額が「みなし相続財産」として相続税の対象となります。

 今回のご相談のケースであれば、2,210万円がみなし相続財産となります。

死亡保険金2,000万円+積立配当金30万円+未経過保険料戻し180万円=2,210万円

 また、今回ご相談の契約形態で相続人である相談者様が受け取る場合は、この2,210万円について、死亡保険金の非課税枠「500万円×法定相続人の数」を適用することができます。

 保険金の受け取り時は、積立配当金や未経過保険料のように保険金以外のお金が支払われることもあります。また、保険会社等の表記方法によっては、支払明細が読み解きづらい場合も多くあります。専門家に確認しながら相続財産全体を整理されることをお勧めします。

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 私が住む京都では「地方都市」でありながら、
 技術や経営に関するセミナーが盛んに行われています。
 古くから、伝統産業が続いたせいか、
 機械、電気、電子といった分野の会社が多く誕生しています。

 そのなかでも、京セラの創業者である、
 稲盛和夫氏の「アメーバ経営」は有名です。
 会社が大きくなってくると、「大企業病」というか、
 どんどん個人の役割、重要性が曖昧になり、
 「自分、一人が…しても」というような考え方が強くなってしまいます。

 社員が数十人の頃には、みんなが仲間同士で団結していたものが、
 100人そして何百人という規模になると、
 個々の顔も見えず、いくら頑張っても日の目を見ない者も出てきます。

 そんな時、一人ひとりの能力を、十分に発揮してもらえるには
 体制をどうしたらいいのか考えました。
 考え抜いた末、創業時代に戻ってしまえば、良いことに気づいたのです。
 「小さな会社」「周りの事を気遣う」「大家族のような経営」
 創業当時の会社の良い所を生かし、
 社員みんなが「小さな会社の経営者」になるようにしたのです。

 京セラは「小さな会社」の寄せ集まり、
 当然の事ながら自分の会社の利益を上げないといけませんが、
 メンバー(社員)や他のセクション(仕入先、売上先)のことも
 忘れるわけにはいきません。
 自分が前面に出すぎると、いずれみんなからそっぽを向かれてしまいます。
 稲盛氏は「利他の心」を持つことを、社員に説いて回ります。

 京セラは、「セラミック」を武器にして成長を遂げていきますが、
 いくら良い武器を持っていても、それを使いこなせる「人」がいなくては、
 経営は成り立っていかなかったはずです。
 「アメーバ経営」にも見られるように、
 日本の経営には「家族主義」的な発想が流れています。

 戦後の経営に多大な影響を与えた人物に、
 安岡正篤(まさひろ)氏がいます。
 安岡氏は、政界、財界を問わず、日本を率いていく人達に、
 いわゆる「帝王学」を叩き込んだのです。
 その教えを請うた人の中には、
 吉田茂、佐藤栄作、田中角栄などの総理大臣経験者や
 平岩外四、牛尾治朗、江戸英雄の名経営者が名前を連ねます。

 「家族主義」のもととなる儒学の考え方に立ち、
 中国の長い歴史に生きた指導者や思想家の生き方、
 考え方から原理原則となる「帝王学」まとめ、
 その時代の解釈を加えて、日本のトップに伝えたのです。

 その安岡氏の考え方には、中国の儒学者 王陽明(おうようめい)が
 興した哲学が流れていています。
 陽明は、学問であった儒学を、実践に対応できるものとして
 「陽明学」を作り上げたのです。

 彼は、若くして高級官僚の試験に受かったのですが、
 上司の批判をして、僻地に左遷されてしまいます。
 しかし、彼はこの時期を好機と思い、自らの思考を重ねながら、
 新しい学問「陽明学」を誕生させたのです。
 彼のこのような経験があったからこそ、
 実践的な考え方が生まれたといえるのでしょう。

 弱音を吐きたくなるとき、
 勉強しなければならないとき、
 スランプのとき、挫けそうになったとき。
 「陽明学」には、人生色々な場面で直面する事態に対して、
 どのような心構えでいれば良いのかを教えてくれます。

 「陽明学」から「帝王学」、
 このように永く積み重ねらねられた「哲学」があったからこそ、
 京セラの「アメーバ経営」が作り上げられたのではないでしょうか。

遺産分割協議ができない場合の相続登記

今回は相談事例を通じて、遺産分割協議ができない場合の相続登記の方法について、ご紹介します。

Q
今月のご相談

 私の父は10年前に亡くなりました。相続人は私と母と姉の3名で、遺産は自宅の不動産と預貯金100万円でした。父の遺産はすべて私が引き継ぎたいと思っています。
 しかし、亡くなった当時から現在まで、不動産の名義変更をすることなく、不動産の名義は父のままとなっています。

 相続登記義務化が始まったと聞き、早急に対応をしたいのですが、私の母は認知症のため、遺産分割協議をするには後見人の選任が必要といわれました。後見人を選任するには費用も時間もかかると聞きましたので、どうしたらよいか悩んでいます。相続登記の義務違反とならないための方法はありますでしょうか。

A-1
ワンポイントアドバイス

 令和6年4月1日から相続登記が義務化され、不動産を相続した人は、3年以内に登記をしなければなりません(不動産登記法76条の2)。しかし、ご相談の事例のように、相続人の中に認知症の方がいらっしゃる場合等には、遺産分割協議ができずに相続登記ができないといったことが考えられます。

A-2
詳細解説

 ご相談の場合、1つ目の方法として、ご相談者様とお姉様は「相続人申告登記」(不動産登記法76条の3)という手続きをとることで、義務を果たすことができます。ただし、お母様は、この手続きをすることができない状況と思われます。

 2つ目の方法として、「法定相続分での相続登記」をすることで相続登記の義務を果たすことができます。

 ご相談の場合、お母様が2分の1、ご相談者様とお姉様が4分の1の法定相続分となりますので、その内容で相続登記(所有権移転登記)をすることになります。この手続きは、相続人の1人からでも手続きができるため、お母様が認知症であっても登記をすることが可能です。

 ただし、ご相談者様のご希望である、ご相談者様がおひとりで所有者となる登記は、この時点ではできません。後日、お母様の成年後見人が選ばれ、成年後見人とご相談者様、お姉様との話し合いがまとまり、遺産分割協議が整った場合に、「所有権更正登記」をして、遺産分割協議のとおりの内容に「更正」することができます。

 従来から、法定相続分での登記の後、遺産分割の登記をすることは可能でしたが、令和5年4月1日より登記手続き方法が簡略化されました。

 例えば、ご相談者様が単独で不動産を取得するという内容の遺産分割協議が行われた場合、従来は、不動産を取得する方だけでなく、不動産を取得しない他の相続人の協力(登記申請書または委任状への実印の押印、印鑑証明書の提出)が必要でしたが、現在は、不動産を取得する方(ご相談者様)からのみの申請でよいということとなりました(令和5年3月28日法務省民二第538号通達)。

 また、登録免許税についても、従来は不動産の固定資産税評価額の0.4%により算出されましたが、不動産の個数1個につき1,000円となり、金銭的な負担も軽減されました。

 具体的なご事情により、どの方法を選択された方がよいかは異なりますので、詳細はお近くの専門家(司法書士)にご相談ください。

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。
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まだ間に合う? 贈与税がかからない孫への教育資金の一括贈与

小学校へ入学する孫に、教育資金の一括贈与を2026年中に行おうと思います。教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度は適用できますか?

Q
今月のご相談

 孫の小学校入学を機に、教育資金の一括贈与を検討しています。
 一度に渡しても一定額までであれば贈与税が非課税となる、と聞いています。これが今年(2026年)の3月末までと聞いていましたが、令和8年度税制改正で延長はされますか?

A-1
ワンポイントアドバイス

 令和8年度税制改正の大綱によれば、現行の適用期限である2026年3月31日について、延長せずに終了することが記載されています。つまり、適用するには、2026年3月31日までに信託契約に関する手続きを終えておく必要があるでしょう。

A-2
詳細解説
1.教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度とは

 教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度とは、子や孫などの教育資金に充てるために父母あるいは祖父母から一定の方法で資金の贈与を受けた場合に、1,500万円を限度(学校等以外の支払は500万円が上限)として贈与税がかからない制度です。

 主な特徴は、以下のとおりです。

① 金融機関等との一定の契約に基づく贈与であること
(具体的には、教育資金口座の開設等を行った上で、教育資金非課税申告書をその口座の開設等を行った金融機関等の営業所等に提出等するなど所定の手続きが必要となります)
②受贈者について、上記①の契約締結日において年齢が30歳未満、かつ、前年の合計所得金額が1,000万円以下であること
③非課税として認められるには、支払に充てた領収書等を金融機関等に提出する必要があること
④非課税として認められる支払使途は、学校等に対して直接支払われる一定のもの、学校等以外の者に支払われる教育を受けるための一定のものに限られていること
⑤年齢が30歳に達したなど、契約期間が終了した時点で残額がある場合には、その残額は贈与税の対象となること
⑥契約期間中に贈与者が死亡した場合で残額がある場合には、一定の場合を除き、相続税の対象となること
2.令和8年度税制改正の大綱

 上記1の制度(以下、本制度)は、2025年12月26日に閣議決定された「令和8年度税制改正の大綱」によれば、「延長せずに終了することとし、同日までに拠出された金銭等については、引き続き本措置を適用できる」と記載されています。
 つまり、本制度の適用期限である、2026年3月31日をもって本制度が廃止されることとなります。この場合、適用期限までに拠出された金銭等については(つまり、同日までに契約締結をしていれば)、4月1日以降も本制度が適用できます。

 自由民主党から公表されている「令和8年度与党税制改正大綱」によれば、制度を延長しない理由として「これまでの利用実態や格差固定化の懸念、教育費の無償化や負担軽減の進展、NISAの拡充等も踏まえ」と述べられています。

 また、この廃止により確保された税収については、「高校教育等の振興方策の財源に充てる」とも記載されています。

 ちなみに、財務省の試算による本制度の減収見込額は、「令和8年度税制改正の大綱」によれば、170億円とされており、廃止されることでこの減収効果が将来的に消失するものと見込まれています。

 なお、家族などの扶養関係にある人同士で、生活に必要なお金や物をその都度渡した場合、それが普通に必要な範囲であれば、贈与税はかかりません。この点も考慮に入れながら、本制度の適用期限が迫っていることから、早急に利用を検討されるとよいでしょう。

 贈与税について詳しくお知りになりたい方は、お気軽に当事務所までお問い合わせください。

<参考>
国税庁HP「祖父母などから教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし」「No.4405 贈与税がかからない場合
財務省HP「令和8年度税制改正の大綱
自由民主党HP「令和8年度与党税制改正大綱(PDF)

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 お正月の前後1ヶ月の間、テレビ番組を見ていると、
 日ごろ見たことのない会社のCMを目にすることが無いでしょうか。 
 この時期は、CMの放映料金が安いからかなと思っていましたが、
 理由はそれだけではないようです。

 大変失礼ですが、会社の規模に関係なく、これまで知らなかった社名ばかり。
 そして、一般消費者には日頃接することが少ない、
 製造業や建設業が多いのです。
 そんな、村田製作所のCMもずいぶん長く放送されています。

 どうして村田製作所が正月にCMを多く流すかというと。
 過去に、社員が帰省した際、「○○製作所」という社名から、
 町工場に勤めていると勘違いされ、気まずい思いをしたことが多くあり。
 知名度を上げることを考慮してのことだそうです。

 京都にある電子機器メーカーの村田製作所は、
 セラミックコンデンサーの分野では世界に屈指のシェアを誇る会社です。
 創業者である村田 昭氏が家業の陶磁器類の焼き物製作を引き継いだ時には、
 一般的な陶磁器や絶縁体に使う碍子を作っていました。

 戦時下における政府の統制により、同業者を集めてひとつの会社とする
 企業合同体制を敷かれていたときのことです。
 財閥系のメーカーから、特殊陶器を製作する依頼が入ってきたのですが、
 業界が伸びるチャンスと見る村田氏に対して、
 他の同業者は首を縦に振る気配がありませんでした。

 そこで、手持ちのお金をはたいて工場を借り、
 単独でその注文の製作に取り掛かったのです。
 しかし、陶器を焼くための燃料の調達に手をこまねいている間に、
 メーカーから返ってきたのは「別に工場を作ってしまった」とツレナイ返事でした。
 その代わりに紹介されたのが、セラミックコンデンサーの製作だったのです。

 その時に知り合ったのが、京都大学のある助教授でした。
 終戦後の混乱期の中で、売れるものは何でも作り、
 その日を食いつなぐのが精一杯の時期でした。
 助教授も研究費を捻出するため、
 簡単な電気製品を作るアルバイトのようなことをしていたのです。

 そこで、研究応援する代わりに、セラミックコンデンサーの開発に
 協力してもらう様申し入れをします。
 まもなくして民間ラジオ放送の開始により、
 コンデンサーを多く使うラジオが普及し、
 村田製作所は電子機器メーカーへと礎を築いたのです。

 企業の草創期における出会いは、事業が大きく変化するきっかけとなります。
 出会というのは、人の結びつきもそうですし、手がける商品の場合もあります。
 特に、人との出会いは、お互いの良さを引き出す「触媒」の役割を果たし、
 決して一人では成し得なかった、大きな実りをもたらすことになるのです。

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