弊事務所では、下記期間を休業とさせて頂きますのでご案内いたします。
休業期間中は何かとご不便をお掛けすることと存じますが、
何卒よろしくお願い申し上げます。
■夏季休業日 8月11日(火)~8月16日(日)
2026年8月4日
弊事務所では、下記期間を休業とさせて頂きますのでご案内いたします。
休業期間中は何かとご不便をお掛けすることと存じますが、
何卒よろしくお願い申し上げます。
■夏季休業日 8月11日(火)~8月16日(日)
2026年7月27日
梅雨明け宣言が出された途端に、夏本場となった日本列島。
各地で猛暑日となり、暑さと反比例して食欲は落ちるばかりで、
温かいものに箸が進まない方も多いのではないでしょうか。
こういった時は、冷たい麺類でツルツルといきたいものです。
近畿圏では、夏の定番といえば「そうめん」が一番に挙げられるところですが、
困ったことに、めんつゆで食べることがほとんどで、
他の麺類に比べレパートリーの幅が狭いことが弱点でした。
食品メーカーの味の素では、販売する「丸鶏がらスープ」や
「コンソメスープ」を使ったレシピを紹介しています。
冷えたスープをかけた素麺に、野菜や玉子などのトッピングをのせ、
栄養不足を補うこともでき夏バテを防止しましょう。
味の素は二人の理念が合致して生まれた新しい商品です。
うまみ成分を発見した池田菊苗博士の、
「単なる科学の発見ではなく、世の中に役に立つようにしたい」
鈴木三郎助氏の「国民の栄養不良を矯救し、日本人の体位向上に貢献したい」
という思いから出発しました。
ヨード製品の製造を手がけていた実業家、鈴木三郎助氏のもとに、
昆布から抽出したうまみ成分による事業化の話が持ち込まれました。
しかし、今までに無い未知の製品であることに加えて、
商品化までに多額の研究費用と販売経費がかかることが予想されました。
米などの投機相場から足を洗い、ヨード製造の事業も軌道に乗り、
順調に事が運んでいた最中だったのです。
新しい事業に手を出し、積み上げてきたものが無くなる不安が頭をよぎります。
加えて、事業化するにはいくつか解決しなければならない問題があったのです。
製造については、昆布から抽出されるうまみ成分のグルタミン酸はわずかでしたが、
小麦タンパクには多くのグルタミン酸が含まれることがわかり。
原料に小麦粉を使うことによって、
安くて大量生産できることが可能になったのです。
商品化するとなれば、グルタミン酸ナトリウムが調味料として
一般大衆に受け入れられるのかどうかが大切です。
東京にある有名な料理店に頼んで試用してもらったり、試食会を開いてみます。
何より、連載小説『食道楽』の作者で食通として名高い、
村井弦斎がこの調味料を高く評価したことが大きな自信に繋がります。
販売を開始してからも、最初は全く売れませんでした。
当時の製品は不純物をとりきれず、色や匂いも良いとは言えなかったのです。
そのうち、「原料に蛇が使われている」というデマが流されることもあり、
順調に売上が伸びるまでには、大変苦労したのです。
経営者にとって、事業に対する理念を持つことは大変重要なことですが、
その理念が一方的な押し売りではビジネスとして成り立ちません。
第一にお客様に喜ばれること、次に経営として成り立つことが必要です。
2026年7月21日
不動産の分割方法として「代償分割」や「換価分割」があると聞きました。どのような分割方法なのか教えてください。
親が亡くなり実家などの不動産を相続することになりました。相続人が複数おり、遺言書もないことから、相続人で協議して分割方法を検討する予定です。その際に、「代償分割」や「換価分割」という方法があると聞きましたが、それぞれどのような方法なのでしょうか。メリットやデメリットについても教えてください。
「代償分割」や「換価分割」は、分けにくい不動産などを相続した際に使われる遺産分割の方法で、それぞれにメリットやデメリットがあります。相続人同士で円満に遺産分割を進めるためには、こうした方法の特徴を理解し、自分たちの状況に合った分け方を検討することが重要です。
代償分割とは、特定の相続人が不動産を取得し、その代わりに他の相続人へ現金などの「代償金」を支払って調整する方法です。例えば実家を長男が引き継ぎ、他の相続人には相続分に応じた現金を支払うといったケースがあります。
この方法のメリットは、不動産を手放さずに相続できることです。この方法であれば不動産は共有名義にならないため、将来の売却や建て替え、その次の相続の際に問題が起こる心配がありません。
一方でデメリットは、不動産を取得する相続人には代償金を支払うための資金が必要になることです。相続税の納税資金などを含めた資金計画が重要になります。
また、代償金の金額は不動産の評価額をもとに決定しますが、固定資産税評価額や相続税路線価、相続税評価額だけでなく、実際の市場価格(時価)も考慮して話し合うことが望ましいとされています。不動産は一物四価といわれ、上記の固定資産税評価額、相続税評価額、市場価格はいずれも違う価格になるため、どの評価額を基準にするかにより、後々のトラブルにつながる可能性があります。
換価分割とは、不動産を売却し、その売却代金を相続人で分ける方法です。不動産を現金に換えて分配するため、公平で分かりやすい方法といえます。例えば、実家を相続してもそこに居住する人がいない、相続人が遠方に住んでいる、不動産を管理する人がいないなど、不動産を利用することがない場合に適した方法です。
ただし、不動産は必ずしも希望どおりの価格で売れるとは限らず、市場の状況に影響を受けます。また、売却する際には仲介手数料や測量費、解体費、譲渡所得税などの費用がかかる場合があります。さらに、売却方法や価格について相続人全員で話し合う必要があるため、合意形成に時間がかかることもあります。
不動産の分割方法には、上記の他に「共有分割」もありますが、不動産の共有は将来的な紛争のもとになることが多いためあまり推奨されていません。分割方法は、不動産の性質や相続人の数、今後の利用予定などを踏まえて、相続人同士で十分に協議して決定することが重要です。
税務面も含めた総合的な観点から検討することで、より円満で納得感のある遺産分割につながります。必要に応じて、専門的な観点からのサポートを受けながら進めるとよいでしょう。
2026年7月8日
役員退職金は相続対策に本当に有効なのでしょうか?
私は中小企業の経営者です。25年前に会社を設立し、現在63歳です。長男が後継者として働いており、7年後をめどに長男に代表を譲る予定で事業承継の計画をしています。最近は相続についても考え始めました。
先日、取引のある金融機関の担当者から、相続対策の一つとして役員退職金の活用とその準備に生命保険を用いる方法について、提案を受けました。個人の流動資産は十分あり、これまでは相続財産を必要以上に増やさないために退職金は不要と考えていました。そのため、役員退職金規程は作成していません。役員退職金が相続対策に有効であれば検討したいと思います。このプランのポイントや注意点を教えてください。
妻、子3人(長男、長女、二女)
役員退職金は相続対策として有効なケースもありますが、生命保険の活用には注意点も多く、慎重な判断が必要です。会社の状況や保険の加入状況等によって注意点も異なりますので、専門家とよくご相談のうえ慎重にご判断ください。
まずは、役員退職金(※1)と税金の取扱いについて解説します。
役員退職金は在任期間中の功労として税務上一定範囲まで損金算入が認められており、役員退職金規程があれば、それを基準に、規程がない場合は、一般的に「最終報酬月額×在任年数×功績倍率」で算出される額や同業他社の水準、職位などを参考にして損金算入限度額が算出されます。なお従業員の退職金と異なり、支払額は会社の株主総会により決定されます。
生前に本人が受け取る退職金は退職所得として扱われますが、死亡による退職金は本来亡くなった本人が受け取るものを相続又は遺贈により相続人等が取得するものとして、みなし相続財産と扱われ相続税の対象になります。
相続人が受け取る場合、死亡退職金は全額が相続税の対象になるわけではなく、非課税となる金額(非課税限度額)が設けられています。この場合の非課税限度額は、「500万円×法定相続人の数(※2)」で計算します。
今回のご相談の場合、想定される相続人は4人のため「500万円×4人=2,000万円」は非課税となり、相続人が受け取る場合にはメリットといえます。
(※1)役員退職金の定義
(※2)法定相続人の数
役員退職金の準備のために生命保険を活用することについては、メリットだけでなくデメリットもあります。メリットは金融機関から説明されているとおりで、主なデメリットは以下のとおりです。
個人の生命保険加入状況によっては、保険契約をそのまま個人へ引き渡す“現物支給”により終身保険を継続する必要性が低い場合もあり、今回、金融機関から説明されたメリットがすべての人にあてはまるわけではありません。会社を経営している方は、想定される財産総額や保険の加入状況を確認し、会社の財務状況、不測事態へのリスク管理を熟慮のうえ、専門家に相談しながら検討されることをお勧めします。
2026年6月29日
インターネットやスマートフォンの普及により、
様々な情報が手軽に手に入れることができるようになり、
雑誌や、いわゆるムック本の廃刊や休刊が相次いでいます。
そんな雑誌不況の中、Gakkenが2010年に休刊となった
「学研の学習」を復活させるそうです。
発売は7月なのですが、4月に予約開始が発表されると、
SNSで話題となり発売前の増刷となったそうです。
同社は、親会社にあたる学研ホールディングス(学研HD)の祖業にあたる、
出版事業を引き継ぐ会社で、
出版不況のなか、学習雑誌の再活躍の場を模索しています。
現在では考えられないことですが、昭和20年代の学校の教科書といえば、
薄っぺらで内容の乏しいものでした。
当時の先生達は、そんな内容であっても一生懸命、
教え子たちに理解してもらおうと、工夫を重ねていました。
そんな悩みを解消してくれるのが「副読本」でした。
先生達が、良い副読本を探していることに目をつけ、
ビジネスに結びつけたのが学研(現・学研HD)の創業者 古岡秀人氏です。
短いながらも教壇に立った経験が大いに役に立ちました。
教育の現場で教師たちが欲しているものが、何であるかが良くわかったのです。
その後は、戦争を挟んで職を転々と替えることとなります。
戦前には、生命保険の外交員、小学館の編集者、
兵役を免れるため、戦争中は戦争遂行協力会社である金属メーカー勤務、
戦後はいわゆる闇屋で生計を立てたのです。
闇市で儲けたお金を元手に始めたのが学習雑誌の出版です。
小さい頃からの母の教え、教職の経験、編集者の仕事、
いろいろなことが結び付いて出た答えでした。
人脈は、全くの新参者が販売ルートを開拓するのに大いに役に立ちました。
教師を辞めた人達を営業マンとして組織化して、
それぞれの人脈を通じて、学校に回ってもらったのです。
学研は、今や教育出版をはじめとして総合出版会社となっています。
教科書の副読本という、大手の出版社から比べると負け犬に近い分野でしたが、
少しずつ信用を高めていきました。
その信用が足がかりになり、教育関係の出版に乗り出すことが出来たのです。
このことは、新規事業を始める時にはとても役に立ちます。
大手が手掛けている、中心的な分野でビジネスを続けていて、
いっこうに成果があがらない場合。
手を付けやすい分野で、既存の業者よりも上手く出来ることが無いか探すことです。
狭い分野でもひとつずつ信用を築いていくことが、
新参者がビジネスを有利に進める近道になります。
2026年6月22日
今回は相談事例を通じて、所有権の登記名義人の死亡についての符号の表示制度をご紹介します。
不動産登記において、所有権の登記名義人が死亡した場合、登記簿にその旨が表示されるようになると聞きましたが、どのような制度でしょうか。
ご相談の制度は「所有権の登記名義人の死亡についての符号の表示制度」(改正不動産登記法第76条の4、以下、新制度)といい、2026年4月1日から施行されています。
従来は、所有権の登記名義人が死亡しても、相続人等による相続登記の申請がされない限り、登記記録上に死亡の事実は一切表示されませんでした。そのため、登記簿だけを見ても名義人が存命かどうかを判断することはできず、民間事業や公共事業における事業用地選定の際などに、所有者の特定に多大な手間とコストを要するという問題が生じていました。
新制度では、登記官が住民基本台帳ネットワークシステム(以下、住基ネット)等の他の公的機関から取得した情報を端緒として死亡の事実を確認した場合、職権により登記簿の所有権の登記名義人について「◇」(菱形)の符号を表示することができるとされています。
登記官が死亡情報を把握する経路としては、住基ネットへの照会による死亡情報の取得や、長期相続登記等未了土地解消事業等の法務局の事務の過程において、死亡情報の把握をすることなどが想定されています。
本制度により、登記簿を見れば相続登記が未了の不動産であっても名義人の死亡の事実を確認できるようになります。ただし、登記官が直ちにすべての死亡情報を把握できるわけではないため、符号の表示がないからといって、名義人が存命であることを保証するものではない点にはご注意ください。
なお、この符号の表示はあくまで死亡の事実の公示であり、それ自体が相続登記の義務を直接生じさせるものではありません。
もっとも、2024年4月1日に施行された相続登記の申請義務化(改正不動産登記法第76条の2)によって、相続により不動産の所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記を申請する義務がすでに課されています。正当な理由なく申請を怠った場合は、10万円以下の過料の対象となります(同法第164条第1項)。
「◇」の符号が登記簿に表示された場合、登記官が所有権登記名義人の死亡の事実を確知しただけでなく、公示されているその不動産の登記記録を第三者が見た場合も、その不動産の相続が未了であることが一目瞭然となります。相続登記の申請をしていない不動産がある相続人の方は、符号の表示を一つの目安として、速やかに相続登記の手続きを進められることをお勧めいたします。
相続登記の申請等については、個別の案件により必要となる手続きは異なりますので、お近くの司法書士へご相談ください。
[参考]
法務省「所有権の登記名義人への符号の表示の制度」
2026年6月5日
会社を所有している場合でも、会社の財産そのものが相続税の対象になるわけではありません。小規模な会社を例に相続税との基本的な関係を解説します。
父は現在、自ら出資して設立した小規模な株式会社を経営しておりますが、後継者はおらず、将来的には父の相続発生後に会社を解散することも視野に入れております。
なお、現時点での会社の財産は、預貯金50万円、在庫商品50万円、機械などの設備が200万円で、借入金はありません。
将来の相続税の申告を見据えた場合、このような会社の資産も父の相続財産として課税対象になるのでしょうか。
会社の財産は相続財産には含まれませんが、お父様が保有している株式は相続財産として評価の対象となります。たとえ、お父様の相続発生後に会社を解散する可能性がある場合であっても、相続発生時点における会社の価値(株式の評価額)に対して相続税が課される点を踏まえておきましょう。
相続税は、被相続人が相続発生時点で所有していた財産に対して課税されます。
株式会社は個人とは別の“法人”であるため、会社名義の財産は会社の所有物となります。
したがって、ご相談にある
といった資産はお父様個人の財産ではなく、これら自体が直接相続財産として課税されることはありません。
一方で、お父様は会社のオーナーとして株式を保有しています。
このため、基本的には会社の資産そのものではなく、株式の評価額が相続財産となります。
相続発生時点において会社に資産があれば、その価値は株式の評価に反映されるため、結果的に相続税へ影響を与えることになります。
中小企業の株式は市場価格がないため、会社の規模(大、中、小)、経営状況などに応じて、
などにより評価されます。
本件のように小規模といわれるような会社では、純資産価額方式を基礎として評価が行われる場合があり、資産内容等に応じて評価額が変動し、想定より高くなることもあります。
また、後継者がいない場合でも、相続発生時点に会社が存続していれば、その時点の会社の状況が株式の評価額に影響する点に注意が必要です。
そのため、ご相談のようなケースでは、
といった点を事前に把握しておくことが重要となります。
会社を所有している場合、相続は単なる個人資産の問題ではなく、株式という形で会社の価値が反映される点が大きな特徴です。
将来を見据え、現時点での状況を把握しておくことが、無理のない相続対策につながります。
2026年5月29日
ぼんやりとSNSのおすすめ表示を流し見していると、
有名人や偉人の名言、格言の投稿が繰り返し表示されることがあります。
つい最近も、任天堂の山内溥氏について投稿があったので、
珍しいな思っていたところ、
5月24日は、2002年に社長の退任会見を行った日でした。
山内氏は、現在の任天堂の基礎を築き上げ、
ゲームコンテンツの枠を超えて、世界中に新たな楽しみを与え続けました。
半面、そこに至るまでの道のりは平たんではなく、
紆余曲折があったのも確かで、
その失敗は、今を生きる経営者の教訓として活きるものではないでしょうか。
大企業が、人やお金をどんなにつぎ込んでもファミコンは作り出せなかった。
新しいものは、たくさんの人の知恵で作り出せるのではなく、
優秀な社員の発想と、それを見極められる経営者トップの目利きにあるのです。
商品を仕入れて販売する業種の小売業や卸売業では
想像もつかない20%を超える経常利益率。
そして、製造業や外食産業などの労働集約型の会社では、
真似のできない社員の少なさです。
それを維持できているのは、ハード、ソフトともに、
ほとんどを自社では作っていないからなのです。
ゲーム機の本体はというと、
自社で工場を持たず外部に委託して生産させています。
ゲームソフトも自社で開発するものはごく一部で、
大半はライセンス契約をしたうえで、
ソフトウエア・メーカーが開発しています。
ライセンス契約の中身は、任天堂にとって有利になっています。
販売を許可したソフトは、カートリッジ1本について数千円、
規定の本数以上注文しなければならないのです。
この契約により任天堂は、そのソフトが全く売れなくても
数千万円の売上が計上されることになるのです。
当然、作品がヒットすると、その本数に応じたロイヤリティーが
任天堂に入ることになります。
若干22才で会社の跡継ぎとなったのが山内氏でした。
家業である花札の普及を土台にして、
トランプカードへ事業拡大し、日本一のカードメーカーとなるのですが。
その将来に希望を持てず、様々な事業に手を染めます。
脱カードを目指し、ホテル経営、タクシー会社、
インスタント食品に手を出すが、ことごとく失敗。
簡易コピー機、文房具、学生用の教材、運動具、育児用品など
多角化を図るのですが、ことごとく失敗、
借金で何時潰れてもおかしくない状態となってしまします。
光線銃が空前の大ヒットし、エレクトロニクスの分野に
足を踏み入れることになり、その後の礎を築くことになります。
成功と失敗を繰り返し試行錯誤の末、たどり着いた会社の基盤。
数々のヒット商品の陰には、無名な社員の発想があり、
それは会議の中から生まれることが無いことを、経験を持って学んだのです。
この、金のなる木も、業界のパイオニアであったからこそ
築くことが出来た方法だったのでしょう。
その根底には、古都の老舗が受け継いできた
「細く永く、商いを続ける」経営精神が流れているのかも知れません。
2026年5月20日
相続した不動産は、「保有する」だけでなく「売却する」ことも含めて検討することが大切です。相続税と売却時の税負担を見据えた対応が、財産を守るうえでのポイントとなります。
相続で取得した不動産の売却を検討しています。相続税はすでに納めていますが、売却時にも税金がかかると聞き、不安に感じています。こうした負担を抑える手段として「相続税の取得費加算(以下、取得費加算)」があると聞きましたが、どのように考えればよいのでしょうか。
不動産の相続では、相続後にどのように活用・処分するかという視点も重要になります。売却を選択する場合には、取得費加算のような制度を活用することで、税負担の調整が可能となる場合があります。
不動産の相続というと、相続税対策に目が向きがちですが、実務上は相続前の対策に加えて、相続後の対策も重要です。
相続した不動産については、
といった選択肢があり、どの方法を選ぶかによって、その後の負担や手取りが変わってきます。
特に、
には、売却を視野に入れた検討が行われることも少なくありません。
相続した不動産を売却した場合には、譲渡所得に対して所得税・住民税が課税されます。
そのため、
「相続時に相続税を納めているにもかかわらず、売却時にも税金がかかる」
という点に、負担を感じる方もいらっしゃいます。
相続税と所得税は、それぞれ異なる目的の税金として課されるものですが、こうした負担も踏まえて検討することが重要です。
こうした場合に活用が検討される制度の一つが、「取得費加算」です。
この制度は、相続や遺贈により取得した不動産を一定期間内に売却した場合に、支払った相続税の一部を取得費に加算できる仕組みです。
取得費加算は、相続税そのものを軽減する制度ではありませんが、相続後の売却まで見据えた対策として活用が検討される制度といえます。
相続税を納付した方が、相続した不動産を売却するケースでは、取得費加算の適用により譲渡所得が圧縮され、その結果として売却時の税負担が軽減される場合があります。
もっとも、その効果は、取得した財産の種類や不動産の評価額、相続税額、売却価格や取得費などによって異なるため、制度の活用にあたっては個別に試算を行うことが重要です。
■ 適用期限がある
取得費加算は、相続税の申告期限の翌日から3年以内の売却が要件となります。
■ 売却には一定の期間を要する
不動産の売却には、
などの手続きがあり、一定の期間を要することが一般的です。
■ 全体での判断が重要
不動産の相続では、
などを総合的に踏まえて判断することが重要です。
不動産の相続においては、相続時点の対応だけでなく、その後の活用や売却も含めた検討が求められます。取得費加算は、こうした相続後の対応において、売却時の税負担を調整する手段の一つとして活用が検討される制度です。相続した不動産の取り扱いについては、状況に応じた判断が重要となるため、専門家へご相談いただくことをおすすめします。
2026年5月7日
相続対策になるからと、生命保険への加入を勧められましたが、本当に対策になるのでしょうか?
今年で70歳を迎え、相続について真剣に考えるようになりました。生命保険に加入していないため、推定相続人である子ども2人から、余剰預金があるのなら相続対策として生命保険に入ったらどうか、と提案されたのですが、本当に相続対策になるのでしょうか? なお、私の財産は自宅マンションと預金を合わせて5,000万円程度です。
生命保険は預金等よりも有効とされるポイントがいくつかあり、相続対策において有効と考えられます。
生命保険への加入は相続対策として有効と考えられ、「相続財産の評価」「遺産分割」「流動性資金の準備」の3つの面で、メリットがあります。
現預金は100%相続税の課税対象になりますが、死亡保険金には以下の非課税枠があります。ただし、契約者・保険料負担者・被保険者が同一人で、死亡保険金受取人が相続人の場合に限ります。
生命保険の場合、受取人をあらかじめ指定するため、大切な人に確実に資産を遺すことができます。法定相続人以外にも財産を遺せます。ただし、原則、死亡保険金受取人は被保険者の配偶者または2親等内の血族の範囲内で指定することになります。
保険会社によっては配偶者や2親等内の血族以外の人を受取人として認める場合もありますので、事前に保険会社へ確認されるとよいでしょう。
相続が発生して銀行口座が凍結された場合、預金は容易に引き出せなくなります。しかし、死亡保険金は受取人からの請求により速やかに支払われますので、葬儀費用や入院費用、当面の生活費等に充てることができます。
このようにメリットはあるものの、保険料として支払った分だけ預金残高は当然減ります。どういった資産の種類をどのような割合で保有しておくことが最適かは、その方のライフスタイルに応じて異なります。また、一度決めたとしてもその後の年齢や住環境の変化により変わる場合もありますので、定期的に見直すことが重要となります。相続対策に関するご相談は、当事務所にお気軽にお問い合わせください。