お知らせ

会社への貸付金と生命保険の活用

将来の返済請求に備えて、生命保険を活用することの有用性を教えてください。

Q
今月のご相談

 会社に貸付金がある親族外役員がいます。貸付金額は5,000万円です。その役員との関係性は良好とはいえず、過去に貸付金の返済を請求されたこともありますが、資金繰りに余裕がなく、まだ返済を行えていません。

 先日、付き合いのある生命保険会社の担当者から、その役員の万一に備え、生命保険の加入を勧められました。役員に万一が発生した場合、会社への貸付金はどうなるのでしょうか? また、生命保険の有効性についても教えてください。

A-1
ワンポイントアドバイス

 役員に相続が発生した場合、会社への貸付金は貸金債権として相続財産に加算されます。相続人の納税負担が増えることになりますので、貸付金の返済を請求される可能性も考えられます。このような事態に備える方法として、生命保険の加入は有効といえます。

A-2
詳細解説
1.役員に相続が発生した場合、貸付金はどうなる?

 役員に相続が発生した場合、会社に対する貸付金は貸金債権として相続財産に加算され、相続税の対象となります。相続財産とはいえ「債権」であるため、貸付金を相続した相続人の手元にすぐ現金が入るわけではありません。

 役員の相続人からすると、すぐに現金化できない財産に対して相続税が課税され、納税負担も増えることになるため、相続人が会社に対して貸付金の返済を請求する可能性も考えられます。

 その場合、資金面で会社に余裕があればよいのですが、返済が困難なケースや無理に返済を行った結果、資金繰りが悪化し、会社の存続が危ぶまれることもあるかもしれません。

2.生命保険の有用性

 上記1.のような事態に備える方法として、生命保険が有効です。【契約者=会社、被保険者=役員、受取人=会社】とした生命保険に加入します。生命保険に加入することで、役員に万一が発生した場合は、死亡保険金を原資に貸付金を返済することが可能です。

 死亡保険金は法人税の課税対象となるため、法人税を考慮した保険金額を設定するとよいでしょう。
 今回は保障重視ということで掛け捨て保険を想定し、保険料の損金は無視して試算すると、以下のとおりとなります。

例)法人実効税率30%、貸付金額が5,000万円の場合
5,000万円÷(100%-30%)≒7,143万円

 会社に対する貸付金がある場合、たとえ貸付を行っている役員との関係が良好であったとしても、相続人が会社に対して貸付金の返済を求めるケースは十分に考えられます。

 役員の万一に備え、生命保険への加入をご検討されることをお勧めします。

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 年度末、私たちにとっては、
 「確定申告」の季節という印象が強い3月です。
 一方、上場企業をはじめ日本では3月を期末としている会社が多く、
 経理や財務など、決算業務に追われる時期でもあります。
 
 滋賀県の琵琶湖の湖東にあり、古くは、城下町として栄え、
 大丸、高島屋、西武など、全国で活躍する近江商人を
 生み出した土地の一つに近江八幡市があります。
 古くは、W・M・ヴォーリズ氏が
 アメリカの会社から皮膚薬「メンソレータム」の
 日本での販売権を譲り受け、近江兄弟社を設立した土地であり。

 彼が私立の結核療養施設を開設することに始まり、
 幼稚園の開園、図書館の運営など医療、教育、文化事業を
 単に利益を目的としたものではなく、
 活動を通じてキリスト教精神を実践し、
 その精神が根ざしている土地柄です。

 そこに本店を置く菓子メーカー「たねや」、
 3代目となる山本徳次社長は、
 ユニークな経営理念を持ち、新しい発想で菓子作りに取り組み、
 会社を急成長させています。

 明治時代から続いた家業に安住せず、
 新しい事にチャレンジする傍ら、
 地元に根を張ったその経営は老舗の理想といえるでしょう。
 しかしその取り組みは、一朝一夕に出来上がったことではなく
 失敗の積み重ねに基づいたことであったのです。

 先代から「支店を出すな」という言いつけを破り、
 支店を出した時のこと。
 給与を払う必要の無い身内で、店を遣り繰りしたのですが、
 一号店も二号店も全く採算に乗りませんでした。

 念願のデパートのテナントに出店した時のこと。
 「売りたい」という気持ちが先にたち、
 すべてのアイテムの品揃えをして販売に挑んだのですが、
 その結果は無残なもの。
 日にひとつも売れない菓子がある程で、
 デパートの担当者からは、名指しで叱責される日が続きました。

 赤字続きの運営に耐え切れず、遂に撤退を決め
 泣く泣く、売れない商品を引き上げました。
 すると面白いことが起こりました、
 初代から作り続けている菓子の売上が伸びたのです。
 出店当初の22品を最終的に3品に減らしたのですが、
 売上は変わらなかったのです。

 売上が芳しくない時に、ついつい手を出したくなるのが次のこと…
 「新商品の販売」
 「支店(営業所)の開設」
 「営業ルートの開拓」

 どれも、希望には満ちているのですが、
 すべてやってはいけない事ばかりです。
 確かに売上は上がるものの、そのために必要となる、
 直接、間接の支出はその金額をはるかに上回るでしょう。
 手を広げる前に、自信のある商品の売上を
 伸ばす方法を考えてみては如何でしょう。

停止条件付遺贈

今回は相談事例を通じて、停止条件付遺贈について、ご紹介します。

Q
今月のご相談

 私には孫がおり、この子が社会に出るまで見届けたいとは思いますが、年齢を考慮するとあまり現実的ではありません。せめて遺産を学費として使ってもらいたいと思っているのですが、私が死亡した際の相続人に孫は該当しない場合、どうしたら孫にお金を遺せるでしょうか。
 私としては学びに使ってほしいという思いがあるので、将来孫に進学の意思がないのであれば、本来の相続人間で分けてほしいと考えています。

A-1
ワンポイントアドバイス

 まず、相続人に該当しない方へ遺産を分けることは「遺贈」にあたりますので、遺言を書いておく必要があります。遺言がない場合は、法定相続人の共有財産となるため、お孫様へ渡すことはできません(民法第964条、第898条①)。
 遺贈にはいくつか種類がありますが、今回のケースであれば遺言に停止条件を設けることにより、相談者様のご意向に添えるのではないかと思います(いわゆる停止条件付遺贈)。

A-2
詳細解説
■停止条件とは

 将来発生することが不確実な事実や内容について、それらが成就したときに法律上の効果が発生する条件のことをいいます。(民法第127条①)

■停止条件を付けた遺言の効力

 民法第985条②には、「停止条件を付した場合において、その条件が遺言者の死亡後に成就したときは、遺言は、条件が成就した時からその効力を生ずる」とあります。
 例えば、「孫が大学生になったら、●円を遺贈する」と記しておくと、遺言の効力発生時にお孫様が大学へ進学されている場合、指定した額を遺贈することが可能です。

 なお、お孫様が進学されないことが確定した場合は、遺贈の効力は生じず、停止条件付に係る財産(●円)は相続人へ帰属するため、この点でもご意向どおりとなります(民法第995条)。

 条件を設ける際の注意点として、「生活に困っていたら」や「幸せなら」といったあいまいな表現は、解釈をめぐるトラブルを引き起こしかねないため、配慮が必要です。どのような条件を付けるか、トラブルの元にならないような遺言作成のためにも、専門家に相談するとよいでしょう。

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分譲マンションの相続税評価額は高くなったのか?

分譲マンションの相続税評価額が高くなったと聞きました。今後は分譲マンションを購入しない方がよいのでしょうか?

Q
今月のご相談

 現在、戸建てに住んでいますが、高齢になり自宅の維持も難しくなってきました。
 今後のことも考え、住み替えを検討しています。ある程度利便性の良いところと考えると分譲マンションが多いのですが、分譲マンションの相続税評価額が高くなったと聞き、購入を躊躇しています。分譲マンションであれば必ず相続税評価額は高くなってしまうのでしょうか?

A-1
ワンポイントアドバイス

 相続税を計算する際に用いる財産の相続税評価額のうち、居住用の分譲マンション所有に係る相続税評価額の評価方法が改正されました。特に高層階に影響があるといわれる改正ですが、分譲マンションであれば必ず相続税評価額が高くなったとはいい切れません。

A-2
詳細解説
1.従来の居住用の分譲マンションの相続税評価

 相続税法では、相続等により取得した財産の価額(相続税評価額)は、特段に定めるものを除き、「当該財産の取得の時における時価」によるものとされています。この時価による相続税評価額は、通常、財産評価基本通達の定めに従って算定します。

 たとえば、居住用の分譲マンション1室は、従来より以下の算式により相続税評価額を計算します。

居住用の分譲マンション(一室)の相続税評価額(自用の場合)
=区分所有建物の価額(①)+敷地(敷地権)の価額(②)
  1. ①区分所有建物の価額
    =建物の固定資産税評価額×1.0
  2. ②敷地(敷地権)の価額
    =敷地全体の価額(注)×敷地権の割合
  1. (注)路線価方式又は倍率方式により算定した評価額

 上記のとおり土地については、敷地権の割合で按分して算定されるため、敷地面積あたりの戸数が多いマンションは、一戸建て住宅より「相続税評価額」と「時価」との乖離が生じやすいといわれています。

 実際、財産評価基本通達改正のためのパブリック・コメント内で示された「御意見に対する国税庁の考え方」の中で、「相続税評価額と市場価格(売買実例価額)との乖離は、いわゆるタワーマンションに限らず、中低層も含め居住用の区分所有財産(いわゆる分譲マンション)全体について平均して2倍以上の乖離が生じており」と述べていることからも、お分かりいただけるかと思います。

 とりわけ戸数が多く高層階ほど時価が高くなるタワーマンションではその傾向が顕著で、富裕層が相続税対策のために高額なタワーマンションの高層階を購入する、いわゆる“タワマン節税”という言葉も一般的です。

2.財産評価基本通達の改正

 このタワマン節税に関する最高裁判決で国側勝訴が確定となり、これにあわせて、令和5年度税制改正大綱の中で評価の適正化の検討が示されました。その後有識者会議を経て、国税庁はパブリック・コメントを出しました。

 最終的な改正内容としては、上記1.で求めた相続税評価額が市場価格理論値の6割に満たない場合には、6割の水準まで評価額を引き上げるものとなり、2024年1月1日以後に相続、遺贈又は贈与により取得した財産について適用されます。

 つまり、6割に満たない場合に改正前よりも評価額が上がるのであって、必ずしも分譲マンションすべての評価額が上がるとまではいい切れません。

 また、評価額が上がったとしても6割程度まででおさまると考えれば、QOLも考慮に入れつつ、分譲マンションへの住み替えも候補の1つとして、継続してご検討されてはいかがでしょうか。

 なお、国税庁のサイトでは、改正後の評価額が算定できる計算ツールを用意しています。

 今回のご相談は今後の購入ですが、もしすでに所有されている場合には、どの程度の評価額になるのかこの計算ツールをご利用いただくのもよいでしょう。

 相続税に関するご相談は、お気軽に当事務所までお問い合わせください。

<参考>
相法22、e-GOV パブリック・コメント「「居住用の区分所有財産の評価について」の法令解釈通達(案)に対する意見募集の結果について」

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 こちら京都では現市長が引退を表明し、
 16年ぶりに新しい市長を選ぶこととなる選挙が行われています。
 舌戦では市西部に位置し、高齢化と人口減少が課題となっている
 ニュータウンの再生も注目のひとつとなっています。

 高度成長期に日本の住宅事情を支えた団地(公団住宅)。
 その大半は昭和40年から50年前半に建てられ、
 一定の役割は終え、現在も住み続けている家主も高齢化となり、
 建物自体も老朽化が進んでいます。

 そんな団地に、心惹かれる人たちが増えているそうです。
 愛好家たちのツアーが開催されるなど、
 様々なイベントも企画されています。

 幼少期に両親と一緒に暮らした経験のある、
 30~40歳の参加者が多いそうですが、
 当時の生活に思いを馳せたり、建築技術に感心しきりだそうです。

 先の大戦後、一面焼け野原となった都市部では、生きることが最優先。
 住まいに関することは、二の次、三の次のことで、
 雨風がしのげればそれで十分と、10坪にも満たない家に、
 3世代が同居するなんて事は、あたり前のことでした。

 1年経ち、2年経ち、少しずつ生活が安定してくると、
 人々の関心は、住まいにも向くようになります。
 戦争で焼け出された人々の心には、戦前のような広い間取りではなくとも、
 文化的な生活に戻りたいという気持ちが湧いてきます。

 住宅対策として政府が打ち出したのが、公団住宅の計画でした。
 それは、都市部のサラリーマン向けに、
 鉄筋コンクリート製の住宅を10年間で30万戸供給するというものでした。
 ただし、1戸あたりの面積は13坪、予算もごく低く抑えられ、
 役人が机の上ではじき出した、温かみの感じられないものだったのです。

 プロジェクトに集められたメンバーには、この限られた条件の中で、
 どうにかして文化的な生活を提案できないかと知恵を出し合います。
 最も関心が集まったのは、台所だったのです。
 これまでの公営住宅よりも、わずか1坪増えただけのスペースに、
 台所と食卓を合わせた「ダイニングキッチン」を構えることでした。

 「ダイニングキッチン」とは、この時に出来上がった和製英語で、
 公団住宅のセールスポイントとなります。
 水周りは北側にというこれまでの考え方を覆し、
 家の中心となる、日当たりの良い南側に配置することにします。

 ステンレスの流し台を採用して清潔感のある台所を演出。
 食器棚をおかなくて済む様、吊り下げ式の収納棚、
 その下には水きり棚を、考案しました。
 この時の間取りは、公団住宅の標準となり、以降の建築に採用され続け、
 キッチンのスタイルも、定番となり一般家屋にも普及していったのです。

 満足な条件の中で、ビジネスを行えることは稀なことです、
 金銭的にも時間面でも制約された中で、
 新しいことにチャレンジしていくことが、
 ビジネスといえるのではないでしょうか。

 理想を固持していては、一歩も前に進めないし、
 妥協ばかりでは、今までと何も変わりません。
 こんな時には、「上手に妥協」するコツを身につけることが大事です。

売却が難しい土地とは

売却が難しい土地とは、どのような土地ですか。

Q
今月のご相談

 知り合いが相続で土地を取得し、利用予定がないため売却しようとしたところ、買い手がなかなか見つからず苦労したと聞きました。私も親から複数の土地を相続する予定ですが、自身で利用する予定はありません。そのため、事前に対策を講じたいと思っているのですが、そもそも売却が難しい土地とは、どのような土地のことなのでしょうか。

A-1
ワンポイントアドバイス

 売却が難しい土地とは、歪な形状の土地や建物を建築することができない土地、建物を建築するための土地の整形等に高額の費用がかかる可能性がある土地など、一般的にそのままでは活用しづらい土地のことを指します。具体的には詳細解説をご参照ください。

A-2
詳細解説

 売却が難しいと考えられる土地としては、たとえば以下のような土地が該当します。

(1)不整形地

 不整形地とは、正方形や長方形といった四角形(整形地)ではない土地のことをいいます。
 L字型や三角形など、建築できる建物の規模・形状が限られる土地の場合、同じ面積の整形地の土地と比較して活用が難しくなります。
 また建物の敷地は、道路と2m以上接していなければなりませんが、古い既成市街地など道路との接地幅が2mに満たない土地では、建物の再建築ができません。

(2)がけ地や急傾斜地

 建物を建築することが不可能なくらいの急傾斜地や、擁壁工事が必要な土地の場合、安全性の高い土地にするために造成費用がかかります。また急傾斜地の場合、法令により土砂災害警戒区域等に指定されていることもあります。

(3)前面道路の幅員が狭い土地

 建築基準法により、建物の敷地は幅員4m以上の道路に接していることが求められます。これを満たしていない土地に建物を建築するには、道路の中心線から敷地を2m以上後退(セットバック)させなければならず、活用できる敷地面積が減少します。また、車の出入りが難しいというデメリットもあります。

(4)極端に面積の広い(もしくは狭い)土地

 あまりにも面積が広い(もしくは狭い)土地になると、利用用途が限定(もしくは無い)されてしまい、買い手が見つかりにくくなります。

(5)市街化調整区域内の土地

 都市計画法により市街化調整区域に指定されている区域は、市街化を抑制すべき区域とされており、建物の建築が制限されています。建物を建築できない土地では用途が限定されるため、買い手が見つかりにくいでしょう。ただし例外的に建物が建築できる場合もありますので、必ず専門家にご確認ください。

 上記に該当する土地の場合、お知り合いの方同様、売却しようとしても買い手がなかなか見つからない可能性が高くなります。相続する予定の土地が該当するかについては、不動産業者に物件調査や価格査定を依頼することで判明しますので、一度調査等を依頼してはいかがでしょうか。

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生命保険の失効と相続

失効してしまった生命保険はどうなるのでしょうか?

Q
今月のご相談

 父が亡くなりました。色々と整理していたところ、父の生命保険契約が見つかりました。保険会社に現状を確認すると、「しばらく保険料を支払っていなかったので、『失効』しています」と言われました。また、「死亡保険金は支払われないが、解約返戻金があるので、受け取りの手続きをしてください」とも言われました。亡くなった父の生命保険はどうなってしまうのでしょうか。

【契約内容】
  • 保険種類:終身保険
  • 保険金額:1,000万円
  • 契約者(保険料負担者):父
  • 被保険者:父
  • 死亡保険金受取人:母
A-1
ワンポイントアドバイス

 生命保険契約は、保険料が支払われずにしばらく放置されると失効します。失効すると、死亡保険金は受け取れませんが、解約返戻金があれば生命保険会社に請求することができます。今回のご相談の場合、解約返戻金があるとのことですので、受け取りの手続きを進めましょう。

A-2
詳細解説
1.生命保険契約の失効

 生命保険契約は、払込方法に応じた期日までに保険料を支払う必要があります。保険料を支払わずにしばらく放置すると、自動振替貸付(生命保険会社が解約返戻金の範囲内で保険料を立て替える制度)が適用されない限り、生命保険契約は失効します。失効すると、保険金の支払事由が発生したことにより保険金受取人が請求しても、当該保険金を受け取ることはできません。

2.保険料の払込期月と払込猶予期間

 保険料の払込方法は主に、月、半年、年などに分かれ、それぞれ保険料を支払う月(払込期月)が定められており、その期間に保険料を支払います。ただし払込期月に支払わないとすぐに契約が失効するわけではなく、それぞれ猶予期間(払込猶予)が設けられています。

 ここでは主な払込方法別の払込期月と払込猶予の一例を、以下にまとめました。

【月払】
  • 払込期月:月ごとの契約応当日の属する月の1日から末日まで
  • 払込猶予:払込期月の翌月の1日から末日まで
【半年払】
  • 払込期月:半年ごとの契約応当日の属する月の1日から末日まで
  • 払込猶予:払込期月の翌月の1日から翌々月の月単位の契約応当日まで
【年払】
  • 払込期月:年ごとの契約応当日の属する月の1日から末日まで
  • 払込猶予:払込期月の翌月の1日から翌々月の月単位の契約応当日まで
3.解約返戻金の受け取り

 契約が失効した場合でも一定の期間内であれば契約を復活できる場合もありますが、今回のケースは、失効中に被保険者がお亡くなりになっていますので、復活はできないものと思われます。現に、生命保険会社から解約返戻金の受け取りの手続きをとるようお話がされているようですので、死亡保険金の請求ではなく、解約返戻金の手続きとなります。
 解約返戻金は、保険会社の案内に従って法定相続人が受け取ることとなります。死亡保険金の受取人ではない点に注意しましょう。

 なお、この解約返戻金は、死亡保険金のようなみなし相続財産ではなく本来の相続財産になります。相続税法上の非課税枠「500万円×法定相続人の数」は適用できませんので、ご注意ください。

 今回のように、契約が失効している生命保険契約を、契約者かつ被保険者死亡後にご遺族が発見し、死亡保険金が受け取れないケースを見受けます。生前であれば、契約を復活させるなどの対処ができる場合があります。こういった生命保険契約がないかどうか、何かの折に確認しておかれるとよいでしょう。

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 肌に感じる寒さよりも、懐の寒さが堪える今年の年末。
 「今年のボーナスこそは…」と、
 心待ちにしていた方も多かったはずなのに、
 物価高の穴埋めには足らずと「期待」はお預け。

 「蟻とキリギリス」のお話ではありませんが、
 豊かな時にも、無駄遣いせず「蓄え」の大切さを痛感させられます。
 くれぐれも、厳冬の歳末、懐が吹雪にならないようご用心!

 冷える日が続くと、本能的に体が温まる食べ物に、
 食欲を感じるようになっているのでしょうか。
 そんなわけで、体を心から暖めてくれる「鍋」料理が、
 定番になっているご家庭も多いはずです。

 鍋料理には欠かせない調味料といえばポン酢です。
 古くは関西地方で多く使われていた調味料だったそうですが、
 CM等でお馴染の、調味料メーカーのミツカンが積極的に宣伝を行ったことにより、
 全国的に使われるようになったそうです。

 酒粕を原料として醸造酢を作ったのは、ミツカンが最初なのです。
 驚くことに、ミツカンは酢作りを始める前は、造り酒屋を営んでおり、
 ミツカンの初代 中野又左衛門氏は、酒造りの規制が解かれるため、
 競争が激しくなると予想して新しい事業を模索していました。

 しかし、造り酒屋が「酢」を作るなんて、考えられないことでした。
 酒桶に酢酸菌が入ってしまうと、お酒が全部「酢」になってしまうからです。

 現在の握りずしの原型は、江戸から広まったとされる、早ずしです。
 それに使われていた酢は、高価で醸造に時間がかかる米酢だったのですが、
 又左衛門氏は、これを安価な粕酢に代えてもらうことで、
 寿司をもっと手軽に味わってもらえるのではないかと考えます。

 その目論見は、見事に的中し、握りずしのブームと共に、
 ミツカンの粕酢は欠かせないものとなっていったのです。
 初代から続くチャレンジ精神は、その後も絶えることなく現在に至っており、
 匂いの少ない納豆でヒットした
 「金のつぶ」を代表とする納豆事業に受け継がれています。

 反面、成功の影には、苦い経験も数多く残されています。
 明治中期、日本に入ってきたビールに強い関心を持った、
 四代目 又左衛門氏は、一気にビール醸造事業に傾倒していきます。
 独自ブランドの「カブトビール」は、
 全国5位のシェアを占めるまでになりますが、
 その後の統合政策により、事業としては終えることになります。

 70年代、外国から外食チェーンが入ってくるようになると、
 その先進性に着目し、ハンバーガーショップを展開するようになります。
 見よう見真似で、東京都内を中心に店舗を展開していったのですが、
 外国勢の力は強く競争が厳しくなるにつれ、
 10年後に事業撤退することになります。

 赤字であった事業が、少しずつ利益が上がるようになり、
 ようやく黒字に転換していった時の喜びは、経営の醍醐味といえるでしょう。
 そして、確実に利益を蓄えられるようになった時に、
 経営者が考えておくことは、「引当(ひきあて)」することです。

 「引当」とは、将来に発生するべき支出に対して、
 予め貯蓄等をして資金を残しておくことです。
 店舗や工場の設備の修繕や更新、従業員の増員や退職金など、
 数え上げると、何年かごとに発生する支出が結構あるはずです。

 黒字と思っていたけれど、「引当」を実行してみると、
 そうでもなかった場合もあるはずです。
 大切なのは、一時(短期)の利益ではなく、
 大きな周期で利益を出せているかどうかということなのです。

自筆証書遺言における財産目録の作成方法

今回は相談事例を通じて、手書き以外の財産目録作成の注意点について、ご紹介します。

Q
今月のご相談

 自筆証書遺言を作成する際に、財産目録を使用したいと考えています。作り方に関して、気を付けるべきことはありますか。

A-1
ワンポイントアドバイス

 2019年の相続法改正により、手書きによらない財産目録が作成できるようになりました。この手書きによらない財産目録の作成あたっては、各葉(各ページ)に署名と押印を行う必要があります。

A-2
詳細解説
1.財産目録の作成方法

 従前から自筆証書遺言の作成の際に財産目録(財産の一覧表)が活用されること自体はありましたが、その際、自筆で作成しなければなりませんでした。しかし、2019年の相続法改正により、手書きでの作成を求められなくなりました(改正法第968条2項前段)。

 その結果として、財産目録の作成にあたっては、Excelシートの活用や第三者の代筆、(不動産であれば)登記事項証明書のうち不動産の特定に要する部分をキャプチャし印刷する等の方法を活用することが可能となりました。
 ただし、手書きによらない財産目録を作成するにあたっては、各葉(各ページ)に署名と押印を行う必要があります(同条同項後段)。

2.財産目録の修正方法について

 財産目録の加除変更にあたり、通常の自筆証書遺言と同様に、修正する箇所を指示した上で、これを変更した旨の付記・署名及び修正箇所への押印が必要となります(同条3項)。

 また、目録自体を差し替える場合には、旧目録の全葉に斜線を引き、各葉に押印の上、「目録〇ページ全部を削除」等と付記の上、署名します。他方、新目録には上記「1.財産目録の作成方法」のとおりに各葉に署名と押印をし、加除訂正による目録であることを明示するため、新しい目録の表題を「訂正目録」等として脇に押印し、さらにその欄外に「訂正目録を追加」等と付記しその脇に署名を行うといった方法が考えられます。

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 2023年12月29日(金)~2024年1月4日(木)

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