お知らせ

 都市の市街地など、近くに大きなスーパーが無い地域では、
 衣料品や雑貨を取り扱わない、いわゆる食品スーパーの支持は根強いものです。
 また、古い町並みが残る地域では、必然とお年を召した方も多くなり、
 遠くまで買い物に出かけることが一苦労で、
 歩いて行ける距離にスーパーがあると非常に便利なものとなっています。

 最近では、大手の総合スーパーもこのことに目を向けるようになり、
 ミニスーパーと呼ばれる、コンピニ程度の広さで、
 都心部を中心に、食料品に品揃えを絞った店舗が増えてきました。

 これまでは、売上に見合う規模の候補地が見つからないことと、
 効率を優先するためには、小さな店舗を構えることを避けたいところ。
 食品スーパーに対する需要の高さと高齢者の増加を見越し、
 方針を転換し、隙間をミニスーパーで埋めていくようになりました。

 この点に、斜陽化している百貨店業界も目を付け、
 阪急オアシスと関西スーパーマーケット、イズミヤが統合して、
 エイチ・ツー・オー(H2O)リテイリングの子会社となる、
 関西最大のスーパーとなる関西フードマーケットができました。

 そのひとつ、関西スーパーマーケットの
 創業者 北野祐次氏はこう言っています。
 お客様の食生活に密着した「普段のおかず屋」になることによって、
 店舗を出店できる可能性がある。
 その思いには、北野氏の恩師が経営するアメリカのスーパーが辿った、
 不幸な運命に大きな影響を受けています。
 
 その会社は、フィラデルフィアで果物と野菜を扱って成功を収めていました。
 しかし、やってきた不況に、品揃えを増やし売上を伸ばす必要に迫られます。
 多額のお金をかけ設備投資し、生鮮食品の取扱いを始めたものの、
 近くに大手チェーン店が出店し、値引き販売をしてきたのです。

 対抗しようと、客寄せに目玉品を原価以下の値段で販売し始めましたが、
 すぐさま仕入先に手を回され、商品の仕入が出来なくなります。
 その後、アメリカにもスーパーマーケットが各地で出来始め、
 やむなく、業態をスーパーマーケットに変えることになります。

 お客の足をこちらに向かせるため、
 次から次へと新しいサービスを導入するのですが、
 上手く行ったものはすぐに真似をされる事になってしまいます。
 また、値引きは日常的なものとなり、
 どちらかが倒れるまでの消耗戦となってしまいました。
 
 売上を保つために闇雲に出店を続け、
 競合が現れると値引き販売で対抗するということを繰り返し、
 結局、破産してしまうことになったのです。

 規模の小さな店舗を運営する場合に足かせとなるのは、
 割高になる運送費と人件費の問題です。
 小さな店舗の場合、少ない分量を1台のトラックで運ぶことになりため、
 商品あたりの運賃が高くなります。

 人員も、広さが半分になったからといって人数が半分になるかといえば、
 そうはならないので、交代や管理のための人が余分に必要となります。
 こうしたことを解決するため、出来るだけ早い時期に2店目、
 3店目の店を近くに作る必要があるのです。

 近くに店舗があれば、数店分の荷物を1台のトラックで運べることになり、
 一店だけに運ぶ時と比べて運賃が高くなることはありません。
 また、一人が複数店を掛け持ちで見ることが可能になり、
 余分に係る人件費を少しでも抑えることができるのです。

市街化区域内の農地の売却

市街化区域内の農地を売却する際に必要な手続きを教えてください。

Q
今月のご相談

 相続した財産のうち、市街化区域内の農地(田)があります。利用しないため、不動産業者へ売却依頼をしました。
 しばらく経った後、不動産業者から購入希望者が現れたと連絡がありましたが、その際に購入希望者は住宅用地として利用するとのことで、「農地の転用の届出」が必要だといわれました。これはどういった手続きなのでしょうか。その他注意すべき点について、教えてください。

A-1
ワンポイントアドバイス

 「農地の転用の届出」とは、農地を農地以外の用途に変更するための届出をいいます。今回のご相談は売却前提ですので、農地の所有者が売却前に届け出る必要があります。併せて、対象地を管轄している土地改良区の有無の確認を行います。場合によっては土地改良区の手続きが必要となりますので、ご注意ください。

A-2
詳細解説
1.農地の転用の届出

 農地の転用とは、農地を住宅用地、工場用地、駐車場等に用途変更することをいいます。農地の転用にあたっては、対象地を管轄する自治体のホームページで届出方法や必要となる書類等を確認でき、提出書類の様式をダウンロードすることも可能です。

 今回のご相談の場合は、市街化区域内の農地を転用目的で第三者に売却することに該当するため、あらかじめ農業委員会へ農地法第5条第1項第6号の規定による届出が必要となります。

2.土地改良区の有無の確認

 該当する土地が土地改良区の土地に該当するか否かを確認します。
 土地改良区とは、土地改良法に基づき設立された農業を営む人たちの組織をいい、農地の整備や農業用水路の新設工事、土地改良施設の維持管理等を行っています。
 そのため、該当する場合には、土地改良区に対して、まず、地区除外申請が必要かどうかの確認を行います(すでに地区除外申請が行われていることが稀にあるためです)。

 なお、市街化区域内の農地の場合、必ずしも土地改良区が管轄しているとは限りません。管轄の有無は農業委員会で確認することができます。

3.地区除外申請(必要な場合)

 地区除外申請が必要になると、申請書の届出とともに申請者に対して地区除外決済金が賦課されます。この決済金は土地改良区ごとに㎡単価が決まっているため、所有する農地面積に応じて賦課金が異なります。また、土地改良区によっては事務手数料が発生するため、支払うべき合計額を確認しておくとよいでしょう。

 地区除外申請においては、①対象地の組合員の名前、②総代(組合員の代表)の印鑑の有無の確認も必要です。

①組合員の名前

土地改良区では組合員名簿を管理していますが、土地所有者が組合員として名簿に登録されているとは限らず、土地所有者の親や、過去に耕作していた農地利用者が組合員として登録されていることがあります。

土地所有者と組合員が異なる場合、農地転用の申請人(土地所有者)と地区除外申請の申請人(組合員)を同一人とするため、組合員名義を土地所有者へ変更する「組合員資格得喪通知書」の届出も必要となってきます。

②総代の印鑑が必要か否か

地区除外申請書に地区の総代の印鑑を求める土地改良区があります。この場合、印鑑をもらうため総代の自宅等に出向く必要が出てきます。

 市街化区域内の農地の転用は、必要書類を農業委員会や土地改良区等に届出さえすれば、受理通知書が交付されます。ただし、一般の人からすれば、煩雑で手間のかかる作業が伴うため、売却を依頼した不動産業者に対応方法を相談し、進められることをお勧めします。

 将来において相続人が利用しない不動産に関しては、生前のうちから処分しておくなどの対策も必要に応じて行っておくとよいでしょう。生前対策についてご不明な点は、当事務所へお問い合わせください。

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。
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契約者貸付制度の利用と税金

死亡保険金受け取りの際に契約者貸付金が控除されました。この契約者貸付金は、相続税の債務控除の対象となりますか?

Q
今月のご相談

 夫が亡くなり、夫が加入していた契約の死亡保険金を私が受け取りました。
 しかし、夫は生前、保険会社から契約者貸付を受けていたようで、私が受け取った死亡保険金から夫の借入金(契約者貸付金)が相殺されて支払われました。このような場合、夫が受けていた借入金(契約者貸付金)は相続税の債務控除の対象となるのでしょうか。契約内容は以下のとおりです。

【契約内容】
  • 契約者(保険料負担者):夫
  • 被保険者:夫
  • 死亡保険金受取人:私
A-1
ワンポイントアドバイス

 死亡保険金から相殺された借入金(契約者貸付金)は、相続税の債務控除の対象にはなりません。

A-2
詳細解説
1.契約者貸付制度

 保険契約者は、その保険契約の解約返戻金の一定範囲内で保険会社から貸付を受けられるという制度があります。これを「契約者貸付制度」といいます。保険会社や保険種類等により制度の対象となるか否かが異なり、限度額や利率等の条件も契約によって違いがあります。

 また、保険契約の失効を防ぐために保険会社が保険料を自動的に契約者に貸し付け、払込に充当することがあります。これを「保険料の自動振替貸付」といいます。この契約者貸付には、保険会社ごとに定められた所定の利息を支払う必要があります。

 このような契約者貸付がある状態で保険金の支払事由が発生すると、保険約款により保険金から控除されます。なお、発生時に未払保険料がある場合も同様です。

2.契約者貸付金と死亡保険金の取扱い

 今回のように相殺された借入金(契約者貸付金)は、相続税の債務控除の対象にはなりません。他方、相殺された死亡保険金部分も、相続税の「みなし相続財産」とはなりません。どちらもなかったことになります。
 奥様は、相殺された後の死亡保険金(=受け取った保険金額)が「みなし相続財産」となります。

 今回のご相談では、「被相続人=契約者(保険料負担者)」のケースでした。契約形態の違いによって税金の種類が異なる場合があるため注意しましょう。
 死亡保険金の受け取りに関してのご不明な点は、当事務所までお気軽にお問い合わせください。

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