お知らせ

 世の中の景気はおおむね順調で、就職は売り手市場、
 インバウンドの訪日外国人のおかげで不動産はバブル状態。
 加えて、人手不足なども影響して多方面で値上げラッシュです、
 少し前に「不況」だったこと、誰もが忘れかけてしまいそうになっていますね。

 好況に沸いている時は、誰もがその儲かった利益をもっと膨らませようと、
 不動産や株式などの利殖に走ります。
 逆に、景気が悪くなると本業に回帰して、儲かっている分野にお金を集中させて
 堅実に利益を生み出す事を考えます。
 ビジネスを長く続けていくコツは、この切り替えを上手することです。
 誘惑が付き物のビジネスの世界、誰もが失敗を経験しています。

 今や押すに押されぬ、大手食品スーパーのひとつ、
 ライフの創業者 清水信次氏も苦い経験をしています。
 戦後の闇屋から商売を始め、バナナやパイナップルの貿易で成功した
 資金を基にスーパーの道に進むのですが、
 スーパー開業時の資金不足や、オイルショック当時の融資差し止めなど
 いくつもの困難を乗り越えてきました。

 その中で、経営が順調であるが故の失敗があります。
 日本全体が活況に沸いていた「あの」80年代。
 会社が上場したのを契機に、自らが信頼を置く人物に
 社長の席を譲り経営を任せたのでした。 
 大証から東証、一部から二部へと右肩上がりの経営に
 いつの頃からか歯車が狂ってきました。

 当時、話に乗らないものは「バカ」と揶揄されるくらい
 当たり前の事だった「財テク」に、どっぷりと浸かってしまっていたのです。
 メインバンクから何十億という借金をして、同業者の株券を買い占め、
 また、中国進出と称して、物流センターへの事業に投資していたのです。

 その事を知り、本業からどんどんかけ離れていく社長へ問い詰めると、
 返ってきた答えはこうでした。
 「コンニャクや豆腐、大根を売って、一円二円の利益を争っている時代ではない」
 「お客さんに細かい注文をつけられ、小言を言われているようでは、
 今の時代はやっていけない、今は頭で金儲けする時代だ」

 その投資の実績からしても、社長の言い分の方が正しく映りました。
 やむを得ず、特別動議で社長を解任して、自らが社長席に戻ることにしたのです。
 この決断をしたのは、まだバブル景気の真っ最中であったので、
 本業に軸足を向ける余裕があったことが幸いでした。
 投資が続いていれば、今は無き大手スーパーの二の舞となっていた事でしょう。

 この10年の、景気の浮き沈みが現しているように、
 景気の波というのは、ある日突然「サッと」惹いてしまうのです。
 「利殖」の儲けというのは、その時限りのものでしかありません、
 どんなに儲かっていても、ずっと続く保証など無いのです。
 長期安定して利益を生み出し生き残ることが、
 本来のビジネスの姿であることを肝に命じておきましょう。

不動産登記名義人となる外国居住者の国内連絡先の登記について

今回は相談事例を通じて、海外に住む人が日本国内の不動産を相続した場合の国内連絡先の登記について、ご紹介します。

Q
今月のご相談

 私の父が亡くなりました。父の相続人は母と兄と私です。
 長男である兄が不動産を相続する予定ですが、兄は現在、アメリカに住んでいます。どの住所で登記がされるのでしょうか。

A-1
ワンポイントアドバイス

 お兄様が不動産の所有者となる場合、外国に居住をされているため、外国の住所で登記がされます。このとき、住民票の代わりとして、在留証明書を添付します。

A-2
詳細解説

 不動産の所有者となる方が国内に住所がない場合には、国内における連絡先となる者の氏名・住所等の国内連絡先事項を申請情報として提供する必要があります(国内連絡先となる者がないときは、その旨を申請情報とすることもできます)。

 この制度は、令和6年4月1日以降にする登記について、適用されています。

 また添付情報として、国内連絡先事項を証する情報、国内連絡先となる者の承諾情報及び国内連絡先となる者の印鑑証明書(又は電子署名及び電子証明書)を提供する必要があります。

 なお、国内連絡先事項は登記されますが、その内容は以下のとおりです。

(1)ア 国内連絡先となる者(一人に限る。)の氏名又は名称並びに国内の住所又は国内の営業所、事務所その他これらに準ずるものの所在地及び名称

イ 国内連絡先となる者が会社法人等番号を有する法人であるときは、当該法人の会社法人等番号

(2)国内連絡先となる者がないときは、その旨

 また国内連絡先は、親族でなければならないという規定はありません。

参考:
法務省「令和6年4月1日以降にする所有権に関する登記の申請について

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。
 本情報の転載および著作権法に定められた条件以外の複製等を禁じます。

弊事務所の年末年始休業日をご案内します。
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■ 年末年始休業日
 2024年12月28日(土曜日)~2025年1月5日(日曜日)

土地の分割と評価単位

土地を分割して相続しようと思うのですが、分割のしかたによって、評価額は変わるのでしょうか?

Q
今月のご相談

 父の名義で下の図のような土地(合計900㎡)を所有しております。この度父が亡くなり、この土地をどのように分割しようか相続人3名(A、B、C)で遺産分割協議中です。分割のしかたによって、相続税の計算上、相続財産としての評価額は変わるのでしょうか?

A-1
ワンポイントアドバイス

 ご相談者様がご懸念のとおり、相続税の計算上、誰がどのように相続するかによって、土地の評価額が変わる場合があります。

A-2
詳細解説
1.土地の評価単位

 土地の評価は、①地目ごと、②利用単位ごと、③取得者ごと、に1つの土地として評価することになっています。したがって、必ずしも地番ごと(1筆ごと)に評価することにはなりません。

 ご相談の土地について当てはめて考えてみますと、次のとおりです。

①地目ごと
3筆ともに地目は宅地であるため、全体を1つの土地として評価
②利用単位ごと
3筆ともに空き地(未利用地)であるため、全体を1つの土地として評価
③取得者ごと
1人の相続人が3筆すべて相続する場合や3筆すべてを共有で相続する場合には、全体を1つの土地として評価

 仮に21番地は相続人A、22番地は相続人B、23番地は相続人Cがそれぞれ相続する、という場合には、取得者ごとに相続することになるため、3筆を別々に評価します。

2.評価額の計算

 ご相談のケースで、仮に①全体を1つの土地として評価した場合と、②3筆別々に評価した場合とで、評価額がいくらになるか計算してみましょう。

①全体で評価

200千円×0.91(※)+100千円×0.91(※)×0.02(※)×15m÷30m=182,910円

182,910円×900m=164,619,000円

②別々で評価

21番地:

200千円×1.00(※)=200,000円

200,000円×300㎡=60,000,000円

22番地:

200千円×1.00(※)=200,000円

200,000円×300㎡=60,000,000円

23番地:

100千円×1.00(※)=100,000円

100,000円×300㎡=30,000,000円

合計:150,000,000円

(※)普通住宅地区…奥行価格補正率0.91(40m以上44m未満)・1.00(20m以上24m未満)、二方路線影響加算率0.02

 上記のとおり、評価額の差額が14,619,000円も生じる結果となりました。適用される税率が20%の場合では、納付する相続税額に300万円弱の差が生じます。

3.不合理分割の場合

 ただし、利用の単位が同じ土地について取得者を分けて相続する場合には、その分割の合理性に配慮しなければなりません。例えば、下図のように高い路線価に面した部分のみをAが、その他をBが相続したような場合には、「不合理分割」と判定され、取得者ごとに別々に評価することは認められません。相続した部分が、それぞれ独立して有効利用できるか否かが判断のポイントとなります。

 評価額の高い低いの判断のみでは分割協議はまとまりませんが、分割協議の内容によって納付する相続税額が大きく異なる結果となります。十分に検討する必要があるでしょう。

 相続税の計算における土地の評価については、お気軽に当事務所へご相談ください。

<参考>
国税庁HP「二方路線影響加算の方法」、財基通7、7-2など

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。
 本情報の転載および著作権法に定められた条件以外の複製等を禁じます。

 スーパーやショッピングセンターの一角に売り場を構え、
 日常的な買い物はすべて済むのではないかと思える充実ぶりの100円ショップ。
 最近では、生鮮品も扱っていたりお洒落な雑貨が中心だったりと、
 チェーン店によって工夫を凝らした品揃えで目移りしてしまいます。

 バブル崩壊後のデフレの波に乗り急成長してきましたが、
 当時は、ショッピングセンターのテナントスペースの穴埋めや、
 スーパー内の売場縮小による空きスペースのピンチヒッター役として、
 テナント側にとっても無くてはならない存在でした。

 そんな100円ショップの代表格、ダイソーの創業者 矢野 博丈氏は、
 現金仕入による、廉価販売からスタートして、
 現在の会社の基礎を作り上げたのです。

 最初に始めた事業に失敗して、その後セールスマン、古紙回収など、
 仕事を転々とした後、雑貨の移動販売、いわゆる「バッタ屋」を始めます。

 スーパーの店頭や催事場、公民館などを1週間ごとトラックで回り、
 倒産した会社や資金繰りの苦しくなった会社から買い取った商品を、
 ディスカウント価格で売りさばいていく商売です。
 現金仕入であるため、商品は安く仕入れるのですが、
 品出しから、陳列、精算まで、全て一人でこなさなくてはならないのでした。

 その後、均一価格で商品を販売する商売をはじめ、
 事業の規模を大きくしていきます。
 しかし、「催事場が汚くなる」という理由から、
 主な納入先であった大手スーパーから取引を断られることになります。

 どうしたらいいかと、思いあぐねた末に考え付いたのが、
 スーパーに出入りするお客に来てもらえる場所に、
 催事場の代わりとなる店舗を作ることだったのです。
 これが今日の100円ショップの始まりとなりました。

 いわゆる「バッタ屋」の特徴は、現金支払いをすることで、
 安く品物を仕入れることです。
 どうして現金支払いであると安く仕入れられるのでしょう。

 経営に行き詰った会社や経営が上手く行っていない会社は、
 今日、明日のお金を必要としています。
 たとえ、その売値が商品の仕入れた価格の何分の一になろうとも、
 とりあえずのお金が欲しいのです。

 売れ行き不振の商品や大量の返品を受けた商品は、
 その商品を次に買ってくれる会社を探すことはとても難しくなります。
 返品無しで買ってくれる会社があれば、「廃棄するより、マシ」とばかりに、
 価格のことは、二の次で売ってしまいたくなるのです。

 このように、商売が上手く行っていないところがあるからこそ、
 現金仕入というメリットが生きてきます。
 そこには、掛であれば、仕入れてから1ヶ月以上遅く支払えばいいはずの
 仕入代金を、仕入と同時に現金で支払っても有り余るほどの、
 儲けが隠されているのです。

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