お知らせ

相続した不動産の売却に必要な書類

相続した不動産の売却手続きに必要な書類を教えてください。

Q
今月のご相談

 先日、父が亡くなり、空き地を相続しました。私は遠方に住んでおり、特に使う予定もないので売却することを考えています。不動産の売却は初めてなので、何を準備すればよいのかわかりません。不動産の売却にあたって、必要な書類等を教えてください。

A-1
ワンポイントアドバイス

 不動産の売却に必要な書類は、一般的に7種類あります。今回のご相談は相続した土地の売却ですが、不動産の種類や売却方法によって必要な書類が異なりますので、ご注意ください。

A-2
詳細解説

 相続した不動産の売却手続きには、一般的に以下の書類が必要になります。

(1)相続登記完了後の登記識別情報通知

 不動産の所有者であることを公的に証明する書類です。買い手への所有権移転登記をする際に必要になります。故人名義のまま売却することはできないため、必ず相続登記を済ませておく必要があります。
 なお、売買に限らず、相続登記は2024年4月から義務化されています。その点もご注意ください。

(2)土地の確定測量図・境界確認書

 土地を売却する際には、隣接地との境界の確定や法務局に登録されている面積に相違がないかなどを調べるために、確定測量図や境界確認書が必要になります。
 確定測量図とは、道路を含む隣接するすべての境界が確定していることを証明しており、正確な面積が示されている書類です。境界確認書は、隣接地所有者が境界について確認し署名押印した書類です。

(3)本人確認書類

 物件の所有者であることを証明するために運転免許証やマイナンバーカード、パスポートなどの写真付き本人確認書類が必要です。写真付きのものがない場合、国税・地方税・社会保険料・公共料金の領収書や住民票の写しなど2つの本人確認書類が必要になります。

(4)固定資産税納税通知書・都市計画税納税通知書

 納税額を証明する書類であり、売主と買主の間で税金の精算をするために必要になります。

(5)実印・印鑑証明書

 印鑑証明書とは、実印が役所に登録されたものであることを証明する書類です(不動産引渡し時に発行してから3ヶ月以内のものが必要です)。

(6)住民票

 登記上の住所と現住所が異なる場合に必要な書類です。また2回以上住所の変更がある場合、これまでの住所変更がすべて記載されている戸籍の附票が必要になります。住民票には、印鑑証明書のように期限はありませんが、あまり古く発行されているものであれば、手続きをする司法書士へ確認の上、取り直しましょう。

(7)相続された不動産の購入当時の売買契約書

 被相続人が購入した際の売買契約書は、取得費用を算出する際に必要な書類です。売買契約書の有無によって、税金負担額が変わる可能性があります。

 このように不動産を売却するためには必要な書類が多くあり、その不動産の状況によってはさらに増える可能性もあります。今回は土地の売却の際に必要な書類を紹介しましたが、マンションや一戸建てを売却する際には他にも必要な書類がありますので、事前に専門家に確認しておくことをお勧めします。

 なお、相続した不動産の売却については、売却時期によっては税金が安くなる特例が適用できる可能性も秘めています。相続した不動産の売却に関するお悩みは、当事務所へお気軽にご相談ください。

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。
 本情報の転載および著作権法に定められた条件以外の複製等を禁じます。
「相続人」と指定された死亡保険金受取人

死亡保険金の受取人が「相続人」と指定されていた場合、受取人と受取額はどうなりますか?

Q
今月のご相談

 先日、夫が亡くなりました。夫が生前に加入していた生命保険契約を確認したところ、以下のような内容でした。保険金は、誰がどのように受け取ればよいのでしょうか?

【契約内容】
  • 保険種類:終身保険
  • 契約者(保険料負担者):夫
  • 被保険者:夫
  • 死亡保険金受取人:相続人
  • 保険金額:1,000万円
【家族構成】
 夫(死亡)、私(妻)、長男、次男
【夫の相続における法定相続人】
 私(妻)、長男、次男の3人
A-1
ワンポイントアドバイス

 ご相談の場合、被保険者である旦那様の法定相続人である奥様、ご長男様、ご次男様の3人が保険金受取人となります。それぞれの保険金受取額については、詳細解説をご確認ください。

A-2
詳細解説
1.保険金受取人は誰になる?

 生命保険は、契約時に契約者が特定の人を受取人に指定するのが一般的です。
 しかし、契約者と被保険者が同じ契約で、特定の人が指定されず、死亡保険金受取人が「相続人」と指定されていた場合、死亡時における被保険者の法定相続人が受取人となります。

 よって、ご相談の場合は、旦那様の法定相続人である、奥様、ご長男様、ご次男様の3人が死亡保険金を受け取ることになります。
 ただし、ご契約の約款により、受取人の順位が定められている場合は、約款指定の順位に従い受け取ることになります。

2.各人の保険金受取額

 死亡時に被保険者の法定相続人が複数名いる場合、特段の事情がない限り、各保険金受取人が受け取るべき権利割合は、法定相続分の割合になります。また、相続人であるため、相続放棄などをされていない限り、相続税における生命保険の非課税枠が適用できます。

 各人の保険金受取額は、以下となります。

【奥様】1,000万円×1/2(※)=500万円
【ご長男様】1,000万円×1/4(※)=250万円
【ご次男様】1,000万円×1/4(※)=250万円

(※)法定相続人が配偶者と子である場合の法定相続分の割合

  • 配偶者:1/2
  • 子:1/2(複数人いる場合には、1/2を均等に分割)
3.注意点

 生命保険の死亡保険金は、受取人の固有財産とみなされるため、基本的には遺産分割協議の対象外となります。
 受取人が相続人と指定されている場合、相続時に権利者となる人の特定が複雑になる、請求時の手続き書類が煩雑になることがあります。
 相続人同士のトラブルに発展する可能性もありますので、可能な限り、特定の人を受取人に指定しておく方がよいでしょう。

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