お知らせ

 こちら京都は、3年ぶりとなる通常通りの祇園祭を前に、
 うだる蒸し暑さが始まっています。
 食欲も落ちるこんな時は、香辛料の効いたカレーに汗を流しほおばり、
 なんとか暑さを吹き飛ばしたいと思います。

 今では、様々な種類のカレーがレトルト・パックで出回っていて、
 本格的なカレーも手軽に食べられるようになっています。
 そんなレトルトカレーの元祖「ボンカレー」は、
 テレビCMなどのマス広告を止めてからも売上げが伸びているそうです。

 「ボンカレー」の他にも、「オロナイン軟膏」「オロナミンC」、
 「ごきぶりホイホイ]「ポカリスエット」などなど、
 ヒット商品を生み出してきた大塚製薬グループ、
 そしてその創業者の大塚正士氏。
 団塊の世代の方には、懐かしい商品名、
 あわせて当時のCMが記憶によみがえる方も多いはずではないでしょうか。

 これだけのヒット商品名を生み出し、
 また何十年もの永い間人気を保ち続けています。
 当然の事ながら、その人気は簡単に手に入れられたものではなく、
 大塚氏の手緩めない猛攻勢があったからこそ成しえたものなのです。

 最初のヒット「オロナイン軟膏」の発売の時には、
 損を覚悟で小学校の生徒全員に無料サンプルを配るという
 大胆な戦略に出たのです。
 その金額は売価で1億8000万円、
 「税金で持っていかれるよりも、商品の良さを知ってもらい、
 信用を高めたい」と言う気持ちがあったにせよ、
 常識を超えた力量が現れています。

 「オロナミンC」のときには、販売ルートを薬局から一般小売店へ
 方向転換し、朝昼問わず、夜のネオン街まで売り込みに回ったのです。
 栄養ドリンクの売上が減った薬局は猛反発して、
 お蔭で「オロナイン軟膏」の売上は半分になってしまったほどでした。

 このように、リスクを怖れない大塚氏の販売戦略は、
 先発の強豪商品を追い抜くヒット商品となったのです。

 大塚氏は苛立っていました、
 「会社をもっと、大きくしたい…、
 しかし三井や住友のような財閥のようになるには、時間が足りない」
 自分一人がどれだけ一生懸命働いても、たかだか50年ほど、
 早く大きくなるにはどうしたらいいのか…

 あるとき江戸時代に廻船業で富を築いた、豪商の経営手法にヒントを得て
 本格的にグループ経営に乗り出すのです。
 豪商は新しい船が出来上がると、その度に船長を雇って仕事を任せる。
 船長には売上に対して歩合が渡されるので、必死になって働き、
 当然船主にもたくさんの利益が残ることになる。

 これを会社経営に取り入れて、グループ会社の舵取りを、
 それぞれの会社の社長に任せるとして、
 10人の社長が30年働ければ、300年分になる。
 財閥にも決して引けを取らない歴史分の仕事が一生のうちに出来ることになる。

 その経営手法に則って、設立した会社のひとつが大鵬薬品です。
 大塚グループと問屋が共同出資して出来上がった会社の社長には、
 若干32歳の若手役員を抜擢したのです。
 こうして大塚製薬はグループ売上高1兆円規模の、
 大企業へと成長を遂げたのです。

 遺産分割に関係する民法の改正が行われたと聞きました。具体的には、どのような改正なのでしょうか。

 これまで、遺産分割については、相続開始(被相続人の死亡)時から何年経過した後に行っても、分割方法に違いが生じなかったことから、早期に遺産分割の協議または請求をすることにつき、インセンティブが働きにくい状態でした。
 しかし、遺産分割がされないまま相続が繰り返され、多数の相続人により遺産が共有されると、遺産の管理や処分が困難となり、そのような状態下で相続人の一部が所在不明となることが、所有者不明土地が生じる原因の一つとなっていました。そこで、所有者不明土地の解消に向けた民事基本法制の見直しとして、遺産分割に関する民法の規定が改正されることになりました。

 改正の最も重要なポイントは、具体的相続分(※)による遺産分割に時的限界が設けられ、相続開始時から10年を経過した後にする遺産分割は、原則として具体的相続分ではなく、法定相続分によることになったことです。

 すなわち、具体的相続分によれば、法定相続分による場合よりも多くの財産を取得することができると考える相続人は、他の相続人が得た贈与が特別受益に該当する、あるいは自分が被相続人に行った労務等の提供が寄与分にあたると主張することになりますが、遺産分割の合意ができず、そのような具体的相続分に沿った遺産分割の審判を求める場合には、相続開始時から10年以内に、家庭裁判所に遺産分割請求を行うことが必要となります(具体的相続分による遺産分割の合意は、相続開始時から10年を経過した後でも可能です)。

 なお、上記改正部分の施行日は、令和5年(2023年)4月1日となっていますが、施行日前に被相続人が死亡した場合の遺産分割についても、改正法の適用がある点に留意する必要があります(但し、経過措置により、相続開始時から10年経過時または改正法施行時から5年経過時のいずれか遅い時までに、遺産分割請求がされた場合には、具体的相続分による分割は可能とされていますので、少なくとも5年の猶予期間があります)。

 他にも、現行法では、遺産共有と通常共有が併存する場合において、共有関係を裁判で解消するには、地方裁判所等での共有物分割訴訟と、家庭裁判所での遺産分割請求を別個に実施する必要がありましたが、改正法では、相続開始時から10年を経過したときは、遺産共有関係の解消も共有物分割訴訟において実施することができるようになります。

 また、相続により不動産が遺産共有状態となったものの、相続人の中に所在等の不明なものがいて、共有関係を解消できないようなケースについて、相続開始時から10年を経過したときは、裁判所の決定を得て、相当額の金銭を供託することにより、所在等不明共有者の不動産の持分を取得することができるようになります。

 このように、改正法では遺産共有関係の解消の促進、円滑化、合理化が図られていますので、有効に活用されることが期待されます。

(※)具体的相続分とは、民法であらかじめ定められている画一的な割合である法定相続分を、事案ごとに修正して算出する割合であり、特別受益や寄与分などを踏まえて算定されるものをいいます。

 

 

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 2022年4月から成年年齢が18歳に引き下げられましたが、相続時精算課税制度の適用はどうなりますか?

 いくつかの財産を今年(2022年)中に生前贈与しようと思います。受贈者のうち、今年4月に高校3年生になった孫を含めようと思っていますが、この孫は、相続時精算課税制度を適用することはできるのでしょうか。
 孫は2004年8月生まれです。

 2022年1月1日現在、お孫さんは18歳ではないため、2022年中の贈与について相続時精算課税制度を選択して適用することはできません。

1.相続時精算課税制度とは

 相続時精算課税制度とは、贈与を受けたときの贈与税の計算において、自ら選択することで適用することができる制度です。

 その特徴としては、主に以下のとおりです。

  • 通常の贈与税の計算(暦年課税による計算)とは違い、原則、この制度を選択して贈与を受けた財産の合計額が累積で2,500万円を超えるまで贈与税は課されず、超えた段階から一律20%の税率で贈与税が課されます。
  • この制度を適用することができるのは、原則、父母又は祖父母から贈与を受けた子又は孫であり、それぞれに年齢制限があります。
  • この制度を選択した場合には、その後の相続時精算課税に係る贈与者からの贈与については、相続時精算課税制度を適用して贈与税の計算をしなければなりません。
  • 相続時精算課税に係る贈与者が亡くなった場合には、相続時精算課税制度を適用した贈与財産の価額(贈与時の価額)の合計額を相続財産として他の相続等により取得した財産と合算して相続税を計算した上で、すでに納めた贈与税額がある場合には、相続税額から控除して相続税額を算出します。その際、控除しきれない贈与税額があるときは、相続税の申告をすることで還付を受けることができます。

 なお、贈与者と受贈者の年齢制限については、以下のとおりです。

  その年1月1日現在の年齢
贈与者 60歳以上
受贈者 20歳以上
(2022年4月1日以後は18歳以上)
2.成年年齢引下げに伴う改正

 これまで成年年齢が「20歳」であったため、受贈者の年齢について、贈与の年の1月1日現在において「20歳以上」か否かで判定をしてきました。

 これが民法の成年年齢が20歳から18歳に引き下げられたことに伴い、年齢要件が「18歳以上」と改正されて、「18歳以上」か否かで判定することとなりました。

 この改正は2022年4月1日以後の贈与から適用となるため、2022年中の贈与はこれまでの判定要素に加え、「何月の贈与」なのかも確認しないと判断できないこととなります。

3.ご相談のケース

 ご相談のケースは、2022年1月1日現在、お孫さんは17歳です。そのため、仮に2022年4月1日以後に贈与をしたとしても、受贈者の年齢要件を満たすことはできないため、相続時精算課税制度を選択適用することはできません。

 なお、仮に贈与を実行した場合には、暦年課税により贈与税を計算することとなります。その場合においても、2022年1月1日現在のお孫さんの年齢は17歳であることから、2022年中の贈与は「一般税率」を適用して贈与税の計算を行うこととなります。

 贈与税の計算に関するご相談は、お気軽に当事務所までお問い合わせください。

<参考>
 国税庁HP「No.4103 相続時精算課税の選択」、「民法の改正(成年年齢引下げ)に伴う贈与税・相続税の改正のあらまし」PDFなど

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。
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