お知らせ

 平成29年の「地価公示価格」が発表されましたが、相続税などへの影響はあるのでしょうか?

 先日、平成29年の「地価公示価格」が発表されたというニュースをみました。全用途の平均で地価は2年連続上昇したとありましたが、相続税などへの影響はあるのでしょうか?

 全体的な地価の動向としては、三大都市圏では地価の上昇にやや一服感がみられる一方、地方四市(札幌市、仙台市、広島市、福岡市)では三大都市圏を上回る上昇率を記録するなど、地価上昇は地方へ波及しています。そうはいっても、今回、41.3%の上昇率を記録した大阪・道頓堀を筆頭に大阪が全用途での上昇率トップ5を占めるなど、三大都市圏のもともと地価が高い場所がさらに上昇しているという傾向もありますので、7月に発表される相続税路線価についても、今回の地価公示の影響を受け、地価が大幅に上昇している地点の付近については相続税路線価も大幅に上昇し、相続税額にも影響を与える可能性があります。

 地価公示という制度は、地価公示法という法律に基づいて、国土交通省土地鑑定委員会が、適正な地価の形成に寄与するために、毎年1月1日時点における標準地の正常な価格を3月に公示しているもので、主な役割としては以下のようなものがあります。

  • 一般の土地の取引に対して指標を与えること
  • 不動産鑑定の規準となること
  • 公共事業用地の取得価格算定の規準となること
  • 土地の相続税評価および固定資産税評価についての基準となること
  • 国土利用計画法による土地の価格審査の規準となること  等

 上記にあるように、地価公示価格は相続税評価や固定資産税評価の基準になるとされています。相続税や贈与税の申告にあたっては一般的に路線価等(いわゆる相続税路線価)が用いられますが、相続税路線価は、地価公示価格の水準の80%程度で評価されており、その均衡化・適正化が図られています。なお、地価公示価格、相続税路線価ともに毎年1月1日が評価の基準日とされていますが、地価公示の発表は例年3月の中~下旬、相続税路線価の発表は例年7月初旬となっており時間差があります。

 今回の地価公示の概況をみてみましょう。全国平均では、全用途平均は2年連続の上昇となりました。用途別では、住宅地は昨年の下落から横ばいに転じました。商業地は2年連続の上昇となり、上昇基調を強めています。工業地は昨年の横ばいから上昇に転じました。三大都市圏をみると、住宅地は大阪圏が昨年の上昇から横ばいとなった以外、ほぼ前年並みの小幅な上昇を示しています。商業地は名古屋圏を除き上昇基調を強めています。工業地は総じて上昇基調を継続しています。地方圏をみると、地方四市(札幌市、仙台市、広島市、福岡市)では全ての用途で三大都市圏を上回る上昇を示しています。地方圏のその他の地域においては全ての用途で下落幅が縮小しています。

 国土交通省では、住宅地・商業地の用途ごとに地価の動向と背景を下記のように分析していました。ご参考ください。

  • (住宅地)
     継続する低金利環境や、住宅ローン減税等の施策による需要の下支え効果もあって、地価は総じて底堅く推移している。
  • (商業地)
     外国人観光客の増加などによる店舗、ホテル需要の高まり、再開発事業等の進展による繁華性の向上、主要都市でのオフィス空室率の低下などによる収益性の向上を背景とし、不動産投資意欲は旺盛で、地価は総じて堅調に推移している。

 

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 財産債務調書に記載する生命保険の価額は、どのように算定すればよいのでしょうか。

 確定申告時、顧問税理士から「財産債務調書を提出する必要があるかもしれないので、財産の価額を確認して欲しい」と言われました。生命保険についても確認するように言われましたが、生命保険の価額はどのように算定すればよいでしょうか?

 ご相談の生命保険の価額、具体的には保険に関する権利の価額、定期金に関する権利の価額については、基本的にはその年の12月31日に生命保険を解約する場合に支払われることとなる解約返戻金の額とされています。ただし、保険会社等からその年の12月31日前の日において生命保険契約を解約する場合に支払われることとなる解約返戻金の額が分かる場合には、その解約返戻金の額を財産の価額として差し支えありません。

 国税庁は、財産債務調書の提出制度(FAQ)(平成28年11月)の中で、次のように記しています。

【保険に関する権利の価額】
Q 生命保険に加入していますが、この生命保険の価額はどのように算定すればよいのですか。
 なお、加入している生命保険契約は満期返戻金のあるものです。

(答)
 保険(共済を含む。)に関する権利の価額は、その年の12月31日にその生命保険契約を解約することとした場合に支払われることとなる解約返戻金の額をその財産の価額とします(通達6の2-9(13)イ)。
 なお、加入している生命保険契約が、満期返戻金を定期金(年金形式)で受け取ることができる内容のものであっても同様の方法により価額を算定します。
(注)損害保険契約に関する権利の価額についても同様の方法で算定します。

 ただし、保険会社等から、その年中の12月31日前の日においてその生命保険契約を解約することとした場合に支払われることとなる解約返戻金の額を入手している場合には、その額をその財産の価額として差し支えありません(通達6の2-9(13)イただし書)。

【定期金に関する権利の価額】
Q 生命保険契約に基づく定期金(年金)を受け取っていますが、その価額はどのように算定すればよいのですか。

(答)
 給付事由が発生している生命保険契約に基づく定期金についても、保険(共済を含む。)に関する権利の価額は、その年の12月31日にその生命保険契約を解約することとした場合に支払われることとなる解約返戻金の額をその財産の価額とします(通達6の2-9(13)イ)。
(注)損害保険契約に関する権利の価額についても同様の方法で算定します。

 ただし、保険会社等から、その年中の12月31日前の日においてその生命保険契約を解約することとした場合に支払われることとなる解約返戻金の額を入手している場合には、その額をその財産の価額として差し支えありません(通達6の2-9(13)イただし書)。


 解約返戻金の額は、契約されている生命保険会社の担当者、コールセンター、取扱代理店に照会することになります。保険会社によって照会に時間を要する場合があるようです。期日に余裕を持ってご照会なさるとよいでしょう。
 また、保険会社から契約者へ年1回定期的に送付される「ご契約内容のお知らせ」には、解約返戻金の額が記載されていない場合がありますので、ご注意ください。  また、保険契約者向けのサービスとして、インターネットから解約返戻金の照会ができる生命保険会社もありますが、利用には登録が必要です。登録方法等は、保険会社から送付される案内や保険会社ホームページ等でご確認ください。

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