お知らせ

 ディーゼンエンジンをはじめとする発動機、
 農業・建設機器、船舶を扱うヤンマー(ヤンマーホールディングス)。
 同社は、全5話完結となるオムニバスストーリーとなる
 オリジナルアニメを制作し4月からテレビで放映しました。

 本格的なアニメ作品を作った理由のひとつは、
 売上が伸びている海外展開を進めるためです。
 「人の可能性を信じ、人の挑戦を後押しする」という価値観を発信し、
 グローバルなブランドプロモーションを図ります。

 また、アニメ作品のキャラクタービジネスを展開することです。
 関西地方では、ヤン坊マー坊が紹介する天気予報のCMが、
 長い間流れていました。
 今後、このようなキャラクターを活用し事業として成立させます。

 創業者である山岡孫吉氏が幼い頃から丁稚奉公に出る苦労をし、
 ガス会社の工事作業員に雇われたことがきっかけで、
 この道に進むようになります。

 時代は、大阪市内にガス管の敷設が進み、
 工場などはそれまでの蒸気機関から、ガスへ切り替えが進む最中でした。
 蒸気機関は、広い据付場所が必要なうえに、操作も難しいものでした。

 便利さから、ガスの普及が進むにつれて、
 小さな馬力の動力を使っていた町工場や、
 豆腐屋までガスに乗り換えるようになりました。

 たまたま、工事に出かけた会社の倉庫で、
 売れ残りのガス用ゴム管の山を目にします。
 理由を聞いてみると、海外から輸入されているゴム管が、
 輸送途中に劣化してしまい、ガス会社に納品を断られたというのです。

 そこで、売れ残りのゴム管を売りさばく手伝いをはじめたところ、
 在庫はきれいに処分できたのです。
 山岡氏は、その手数料として手にした資金をもとに、
 ゴム管の販売とガスレンジの修理業として商売を始めます。

 その後、動力用エンジンの販売などを行っていましたが、
 商品を右から左へ流すだけの商売には、嫌気がさしてきました。
 お客に誇れるような製品を作り、胸を張って値段をつけられるような、
 仕事がしたいと考え、発動機の製作を手がけるようになります。

 農業用の、もみすり機、動力精米機、
 水揚げポンプなどを製作して販売を始めます。
 ある時、ドイツで初めてディーゼルエンジンを目にし、
 あまりに優れた性能に、その虜になってしまいます。

 その後は、とりつかれた様にエンジンの研究に没頭していくようになります。
 2年がかりで、念願のディーゼルエンジンを完成させ、
 現在の礎を築くことになるのです。

 ヤンマーは、何処にも引けをとらない製品を作るという精神から、
 84年から南極にある昭和基地の発電機用として、
 ディーゼルエンジンを送り出しています。
 極寒のうえ、絶対に止めることは許されない使命を受ける姿勢は、
 その自信の表れといえます。

死後認知

今回は相談事例を通じて、死後認知について、ご紹介します。

Q
今月のご相談

 先月、私の夫が亡くなりました。私と夫は長年内縁関係にあったため、私は相続人にあたりません。また、私と夫の間には今年30歳になる娘が1人おりますが、夫が認知する前に亡くなってしまいましたので、娘も法的には夫の子とは認められず相続人にはあたらないと、先日、知人から伺いました。

 私は内縁だったので仕方がないと思っておりますが、娘は正真正銘の夫の子なのに相続ができないなんて、あまりに可哀そうでなりません。何かよい方法はないのでしょうか。
 また、現状、相続人は夫の兄と妹の2名ですが、遺産分割協議が整ってしまった場合、何かしらの請求ができるのでしょうか。

A-1
ワンポイントアドバイス

 「死後認知」という手続きを行うことにより、ご息女は法的にもご主人様の子として相続人になることが可能です。また、他の相続人による遺産分割協議後でも認知された者(被認知者)には、価額による支払請求権が認められています(民法910条)。
 本件でいいますと、現相続人は被認知者(ご息女)の出現により相続権を有しなかったことになりますので、ご息女は相続回復請求権(民法884条)による請求も可能だと考えます。

A-2
詳細解説

 死後認知について、「子、その直系卑属又はこれらの者の法定代理人は、認知の訴えを提起することができる。ただし、父又は母の死亡の日から三年を経過したときは、この限りでない。」と規定されています(民法787条)。

 そもそも「認知」とは、婚姻外に生まれた子(非嫡出子)について、父又は母が、その子を自己の子と認めることをいいます。「認知」をすることにより、非嫡出子にも法律上の親子関係が成立します。

(※)母との親子関係は分娩の事実により当然生じるため、母子関係の成立に認知は不要とするのが通説です。

 「死後認知」は、本件のように父親が生前中に「認知」をすることなく亡くなってしまった場合に有効となる法律です。子もしくはその法定代理人が認知の訴えを提起することができますが、請求期間が父親の死亡後3年以内になるため注意が必要です。

 「死後認知の訴えの提起」やその先の「他相続人への請求」等、ご自身ですべてを対応するのは難しいと思われるため、早い段階で専門家にご相談されることをおすすめします。

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。
 本情報の転載および著作権法に定められた条件以外の複製等を禁じます。
孫養子と相続税

家名を残すために孫と普通養子縁組を行います。相続税はどう影響しますか?

Q
今月のご相談

 私の子は娘ばかりで、このまま私が死ぬと家名が途絶えてしまいます。家名を残すため、娘Aの息子D(私にとって孫)と普通養子縁組をし、家名を継いでもらうことになりました。Dを私の養子とすることで、相続税の計算に何等か影響を及ぼしますか?

 なお、配偶者には先立たれており、相続人となるのは娘のA・B・Cと孫のDの予定です。

A-1
ワンポイントアドバイス

 ご相談のケースではDは孫養子となり、相続税の負担を一世代飛ばす結果となりますので、一定の場合はDの相続税額が2割アップすることになります。その他、養子がいる場合の相続税の計算の注意点については、詳細解説にてご確認ください。

A-2
詳細解説
1.普通養子縁組

 普通養子縁組とは、実際の血縁(いわゆるDNA)上の親子関係がない間柄において、法律的に親子関係を成立させる手続きの1つです。

 普通養子縁組は、養親と養子(又は養子の実の親)の合意があれば成立します。そして、養子は「子」として血縁のある実子と同じ立場となり、養親が死亡した場合には相続する権利を有することとなります。

 また、普通養子縁組が成立しても、実親と養子との親子関係は存続します。

 今回のご相談は普通養子縁組によるものですので、以下、養子、養子縁組とあるのは、すべて普通養子縁組を前提として説明をします。

2.相続税の計算

 基本的には上記1のとおり、実子と同じ立場で相続税の計算を行います。ただし、次の点に注意します。

(1)養子の数の制限

 相続税を計算する過程において、次の計算を行う際には民法上の相続人ではなく、相続税法上の法定相続人を基礎として、「法定相続人の数」や「法定相続分」を計算することになります。

  • 基礎控除額の計算
  • 相続税の総額の計算
  • 生命保険金等の非課税限度額の計算
  • 退職手当金等の非課税限度額の計算

 この相続税法上の法定相続人は、たとえば被相続人に養子がいる場合には、実子の有無に応じて含めてよい数が決められています。具体的には、実子がいる場合には1人まで、実子がいない場合には2人までしか認められません。

 これは、安易に養子を増やすことによる節税を防ぐ意味があります。

 ご相談のケースでは実子がいますので、養子は1人までしか認められません。

(2)相続税額の2割加算

 養子が今回のご相談のような「孫養子」である場合には、本来なら一度Aが相続し、Aが死亡してからDが相続するところを、相続税及び相続手続きを一世代飛ばすことができるため、このような節税の横行を防ぐ意味で、Dの相続税額を2割加算するという制度(相続税額の2割加算)が用意されています。

 この制度は、Dが相続等により財産を取得した場合に適用されるものです。また孫養子であっても、Aが死亡したことによりAの代襲相続人となった場合には、この適用を受けることはありません。

3.留意点

 今回は家名を継ぐことが前提ですが、養子縁組を行うことで本来の相続人以外の方に相続権が発生することになります。他の相続人にとっては自身の取り分が少なくなるなどの不利益を被ることもあり、実際にはトラブルも少なくありません。

 ご相談者様がご存命のうちに、親族間でしっかり話し合われておいた方がよいでしょう。

 また、相続税対策を行ったつもりが、相続税法の理解不足により、結果的に生前に贈与した財産が加算され、さらに相続税額の2割加算が適用され、想定していなかった相続税を納付することになってしまった例もあります。

 養子がいる場合の相続税対策について、ご不明な点がありましたら、事前に当事務所へご相談ください。

<参考>
法務省HP「養子縁組について知ろう
国税庁HP「税大講本 相続税法(基礎編)令和7年度版

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