お知らせ

 今回は相談事例を通じて、休眠預金等活用法の概要についてご紹介します。

 休眠預金等を使用するという法律ができたと聞きました。記帳だけは定期的にしており、しばらく入出金等はしていない預金があるのですが、それも休眠預金として活用されるのでしょうか。活用されてしまったら、預金を引き出そうと思っても引き出せないのでしょうか。制度について教えてください。

 民間公益活動を促進するための休眠預金等に係る資金の活用に関する法律(平成28年法律第101号)が成立し、2016年12月9日に公布、2018年1月1日に法律が施行されました。2009年1月1日以降に最後の入出金等の取引があった預金等が原則対象となります。

 「休眠預金等」とは、10年以上、「入出金等の取引」がない預金等のことを言います。休眠預金等になると、預金保険機構に移管され、民間公益活動に活用されます。(金融機関は、預金等の存在を預金者等に通知し、預金者等の所在が確認できない預金等については、HPで公告を行ったうえで、預金保険機構に移管します。)

「預金等」とは

 休眠預金等になりうる「預金等」は、預金保険法、貯金保険法の規定により預金保険、貯金保険の対象となる預貯金です。具体的には、普通預金、定期預金、貯金、定期積金等があります。
 一方で、財形住宅や財形年金などの特定の目的のための預貯金や、障がい者のためのマル優の適用となる預貯金、外貨預金等、預金保険制度の対象とならない預金は、「休眠預金等」の対象ではありません。  

「入出金等の取引」とは

 「入出金等の取引」とは、引き続き預貯金などを利用する意思表示をしたものとして認められるような取引などを言います。どの金融機関でも共通の取引事由と、各金融機関が行政庁から認可を受けて取引事由と認められるものがありますが、通帳の記帳についてはどの金融機関でも共通の取引事由として認められたものではありません。お預けの金融機関が取引事由として認可を受けている場合は、休眠預金として移管されることはありません。  

 また、休眠預金等として移管された後でも、取引のあった金融機関で引き出すことは可能です。引き出す期限についてもありませんので、いつでも引き出すことが可能です。休眠預金となっている期間の利子についても、元の預貯金契約どおりの利子相当額が支払われます。  

 ご自身の預金等が休眠預金等になっているか、制度の詳細については直接お取引先の金融機関にお問い合わせされると良いでしょう。またご自身の預金の管理をするうえでも、使用していない口座はご自身で閉鎖するなど、いま一度見直すこともお勧めします。

参考:金融庁「2018年1月より休眠預金等活用法が施行されます

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。
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 行き過ぎた相続対策による租税回避を防ぐため、小規模宅地等の特例の適用が厳格化されました。貸付事業用宅地等については、対象が3年を超えて貸付に供されている宅地等に限られることになりました。

 平成30年度の税制改正で、小規模宅地等の特例の一部が改正されると聞きました。

 そのなかで、不動産貸付として利用していた宅地等を相続により取得した場合に減額できる「貸付事業用宅地等」について対象が制限されたそうですが、具体的にはどのような改正でしょうか?

 原則として、相続開始前3年以内に貸付を開始した貸付事業用の宅地等が「貸付事業用宅地等」から除外されることとなりました。

[1]貸付事業用宅地等とは

 亡くなった方(被相続人)が生前所有していた宅地等を相続又は遺贈(以下、相続)により取得したときに、相続税の計算上、その宅地等の評価額を減額できる制度(小規模宅地等の特例)があります。このなかには、被相続人若しくは被相続人の同一生計の親族の賃貸事業(不動産賃貸業、駐車場業、自転車駐車場業等)に供されていた宅地等で、次の要件すべてに該当する場合(これを「貸付事業用宅地等」といいます)に、200㎡を上限として土地の評価額を50%減額することができる特例があります。

[2]改正により相続開始直前の相続税対策は難しく

 この貸付事業用宅地等は要件のハードルが低いこともあり、相続税の負担を軽減するために、いったん現金を賃貸不動産に換え、貸付事業用宅地等としての要件を具備した上で特例の適用を受け、その後数年以内に売却する、というケースが多々見受けられました。

 もともと小規模宅地等の特例は、相続開始後の相続人等の生活保障という側面があるため、このような相続税対策は趣旨にあわず、これを封じるために今回の改正が行われています。

 具体的な改正は、次の通りです。

 基本的には、上記《改正後》(1)のように3年縛りが加わりましたが、(2)のように3年を超えて事業的規模の貸付事業を行っている方に係る貸付事業用宅地等はこの改正の適用から除外されること、さらに(3)のような経過措置があります。

 これまでの要件に加え、どのような方がいつから貸付をしているのかの確認をする必要がありますので、ご注意ください。

<参考条文等>
 措法第69の4、措令第40条の2、措規第23の2、措通第69の4の4、措通第69の4の13

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