お知らせ

 京都府福知山の高校生が考案した新メニューを、
 カレーハウスCoCo壱番屋の福知山店が期間限定で販売しています。
 共同開発メニューの販売は昨年から始まり、
 好評だったことから今年も行わることになったそうです。

 調理系列の2年生が一組数人で18グループを作り、
 ココイチのカレーに合う商品を2カ月かけて試作しました。
 店で実際に調理して従業員らが試食、
 味や見た目、コンセプトの面白さなどで審査し、
 「麻婆なすカレー」と「串カツカレー」が採用されました。

 誰でも真似が出来るはずのカレー専門店に、
 屋台骨を揺るがすほどの強豪が登場しなかったことを、
 創業者の宗次徳二氏は、ソフト(面)の質が影響していると語っています。 

 愛知県の小さな町で、カレーの専門店として創業したCoCo壱番屋、
 真似るのは簡単と、大小様々な競争相手が現れましたが、
 ついに肩を並べる相手は残れませんでした。

 しかし、一度だけ、同社など一息で飛ばされそうな、
 大手企業が参入してきた事がありました。
 カレーやお米など、その気になればいつでも手に入れることができる材料です、
 作り方も主婦のほうが上手なほどで、たいした技術は必要ありません。

 メニューの構成や品揃え、価格設定、販促の仕方など、
 大手ならばお手のものであるはずです。 
 更に、店舗の内外装についても、真似することはいとも簡単、
 それ以上のデザインを考えることも出来なくはないのです。

 お金さえかければ、表面的なことはそっくり真似することはできます。
 どうしても競合が真似できないこと、それはソフトです。
 宗次氏がカレー専門店を始める前に喫茶店を開いていた当時から、
 長年にわたり培った「お客様第一主義」は一朝一夕には手に入りません。

 カレー専門店を始める前に開いていた喫茶店では、
 名古屋名物の(無料)モーニング・サービスの提供はしなかったのです。
 トーストやサラダ、ピーナッツなども、全て「有料」としたのです、
 その事に文句をつけるお客はいましたが、それでも店は繁盛しました。

 また、一号店をオープンしてから長い間、
 店を構えられるのは一流には程遠い、ほとんどが二流以下の場所でした。
 さらに、良い場所が手に入らない代わりに、派手に宣伝をしたいと思っても、
 先立つ資金のゆとりもなく断念せざるを得ませんでした。

 無いない尽くしの苦肉の策として、
 笑顔の対応や丁寧な言葉遣い、感謝を込めた接客態度など、
 来店して下さったお客様に出来る限り満足してもらえるよう工夫を重ねたのです。
 そのことがクチコミで伝わり、店を支えたのは言うまでもありません。

 辛い思い、苦い経験を経て体で学んだ、経営のノウハウは、
 海外展開にも生かされています。
 成功体験があるからといって、自己流を無理やり進めるのではなく、
 顧客が求めているのは何かを、真剣に考えてこそベストなものが見つかるのです。

 今回は相談事例を通じて、株式の相続についてご紹介します。

 夫である甲が先日死亡しました。甲はA株式会社(以下、A社)の代表取締役兼A社株式を100%保有している株主でした。相続人は妻である私(乙)と長男の丙のみです。
 丙を後継者としてA社の代表取締役に選任したいと考えていますが、どのように手続きすればよいでしょうか。なお、遺言はなく、遺産分割協議も済んでおりません。また、甲はA社の唯一の取締役でした。

 まず、乙と丙で協議し、A社株式の権利行使者一人を定め、会社に通知します(会社法106条)。その後、権利行使者が株主総会に出席し、丙を取締役に選任します。


1.権利行使者について

 甲が死亡し、A社株式が相続人乙と丙に相続された場合、当然に法定相続分の割合で相続されるのではなく、準共有状態となります。準共有状態の場合、株式の権利行使者を一人定めて、株式会社へその者の氏名又は名称を通知しなければ、当該株式の権利行使ができないとされています。

 従いまして、ご相談のケースでは乙と丙の協議のもと、権利行使者一人を定めて会社へ通知する必要があります。また、権利行使者の指定は共有物の管理に該当するとされているため、持分価格の過半数をもって決するとされています。よって、乙と丙どちらか一方の独断で権利行使者を指定し会社へ通知することはできませんのでご留意ください。

 遺産分割協議が完了しましたら、別途、株式の名義書換が必要になってきますので、忘れないようにご対応ください。

2.株主総会の招集手続きを経ていない株主総会の開催について

 ご相談のケースでは、甲が唯一の取締役であるため、株主総会の招集決定及び株主総会の招集通知を行うことができません。

 この場合、株主総会の有効性に疑義が生じますが、判例の考え方として、株主総会の招集手続きを欠く場合であっても、株主全員がその開催に同意して出席した株主総会は有効に成立するとされています(最判昭和60年12月20日)。

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 遺産分割の民法改正に伴い、相続税の申告期限は改正されましたか?

 遺産分割について「10年」を経過すると、基本的には法定相続分とする民法改正がありましたが、これに伴い相続税の申告期限が改正されましたか?

 ご相談の民法改正に伴う相続税の申告期限の改正は、行われていません。

1.遺産分割に関する民法改正

 これまで、遺産分割については、相続開始(被相続人の死亡)時から何年経過した後に行っても、分割方法に違いが生じなかったことから、早期に遺産分割の協議または請求をすることにつき、インセンティブが働きにくい状態でした。

 しかし、遺産分割がされないまま相続が繰り返され、多数の相続人により遺産が共有されると、遺産の管理や処分が困難となり、そのような状態下で相続人の一部が所在不明となることが、所有者不明土地が生じる原因の一つとなっていました。そこで、所有者不明土地の解消に向けた民事基本法制の見直しとして、遺産分割に関する民法の規定が改正されることになりました。

 たとえば、具体的相続分(※)による遺産分割に時的限界が設けられ、相続開始時から10年を経過した後にする遺産分割は、原則として具体的相続分ではなく、法定相続分によることになりました(合意があれば、10年経過後でも具体的相続分による遺産分割は可能です)。この改正は、経過措置を除き、令和5年(2023年)4月1日に施行されます。

 (※)具体的相続分とは、民法であらかじめ定められている画一的な割合である法定相続分を、事案ごとに修正して算出する割合であり、特別受益や寄与分などを踏まえて算定されるものをいいます。

2.相続税の申告納税期限

 相続税の申告は、被相続人が死亡したことを知った日(通常の場合は、被相続人の死亡の日)の翌日から10ヶ月以内に行うこととされています。

 たとえば、10月10日に死亡した場合には、翌年8月10日が申告期限となります(この期限が土曜日・日曜日・祝日の場合には、これらの日の翌日が申告期限です)。

 この「10ヶ月」という期限は、上記1.の民法改正が行われても変わりません。

 なお、相続税の納税期限は、上記申告期限と同一です。

3.未分割の場合の相続税の申告納税期限

 相続税の申告に際して、遺産分割協議が調わない場合(いわゆる「未分割の場合」)であっても、申告納税期限に変更はありません。未分割のまま申告納税を行います。

 未分割での申告納税とは、相続財産を法定相続分で相続したものとみなして申告納税を行うことを指します。

 その際には、相続税が減額できる「小規模宅地等の特例」や「配偶者の税額の軽減」を適用することができません。

 その後に分割が行われた場合は、実際に相続した財産、かつ、これらの減額を適用した後で相続税を計算し直すため、結果的には相続税を減額することはできますが、一時的にしろ未分割の状態での納税は、かなりの納税資金が必要となる場合があります。

 その点も良く考えて、遺産分割をお考えいただければ幸いです。

 相続に関するご相談は、お気軽に当事務所までお問い合わせください。

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