昨年7月、若くして岩田社長が急逝し、一年ぶりに迎えた株主総会を終え、
一息ついた任天堂に嬉しいニュースが飛び込んできています。
それは、アメリカで配信を始めたスマートフォン用ゲーム
「ポケモンGO(ゴー)」の大ヒットです。
自社のハードを利用しないスマホ向けソフトの第二弾、
アメリカのベンチャー企業と手を組んで開発したものです。
ヒットのニュースが広がると同時に、
同社の株価は、配信前の約2倍近く値上がりしているそうです。
大企業が、人やお金をどんなにつぎ込んでもファミコンは作り出せなかった。
新しいものは、たくさんの人の知恵で作り出せるのではなく、
優秀な社員の発想と、それを見極められる経営者トップの目利きにあるのです。
商品を仕入れて販売する業種の小売業や卸売業では
想像もつかない20%を超える経常利益率。
そして、製造業や外食産業などの労働集約型の会社では、
真似のできない社員の少なさです。
それを維持できているのは、ハード、ソフトともに、
ほとんどを自社では作っていないからなのです。
ゲーム機の本体はというと、
自社で工場を持たず外部に委託して生産させています。
ゲームソフトも自社で開発するものはごく一部で、
大半はライセンス契約をしたうえで、
ソフトウエア・メーカーが開発しています。
ライセンス契約の中身は、任天堂にとって有利になっています。
販売を許可したソフトは、カートリッジ1本について数千円、
規定の本数以上注文しなければならないのです。
この契約により任天堂は、そのソフトが全く売れなくても
数千万円の売上が計上されることになるのです。
当然、作品がヒットすると、その本数に応じたロイヤリティーが
任天堂に入ることになるのです。
若干22才で会社の跡継ぎとなった、前社長の山内氏。
家業である花札の普及を土台にして、
トランプカードへ事業拡大し、日本一のカードメーカーとなるのですが。
その前途に希望を持てず、様々な事業に手を染めます。
脱カードを目指し、ホテル経営、タクシー会社、
インスタント食品に手を出すが、ことごとく失敗。
簡易コピー機、文房具、学生用の教材、運動具、育児用品など
多角化を図るのですが、ことごとく失敗、
借金で何時潰れてもおかしくない状態となるのです。
光線銃が空前の大ヒットし、エレクトロニクスの分野に
足を踏み入れることになり、その後の礎を築くことになります。
成功と失敗を繰り返し試行錯誤の末、たどり着いた会社の基盤。
数々のヒット商品の陰には、無名な社員の発想があり、
それは会議の中から生まれることが無いことを、経験を持って学んだのです。
この、金のなる木も、業界のパイオニアであったからこそ
築くことが出来た方法だったのでしょう。
その根底には、古都の老舗が受け継いできた
「細く永く、商いを続ける」経営精神が流れているのかも知れません。
=======================================================================
発 行 元:シモヤマ会計事務所(下山弘一税理士事務所)
〒604-8471 京都府京都市中京区西ノ京中御門東町101
TEL 075-813-4850
発 行 人:下山弘一
━━━━━━━━━ 京都の税理士・会計事務所 いい顧問 ━━━━━━━━━