お知らせ

 今回は相談事例を通じて、遺言の修正や撤回についてご紹介します。

 

 私は以前、公正証書で遺言を作りました。財産の内容も変わったので、もう一度作り直したいと思っています。今回も必ず公正証書で作らなければならないのでしょうか。

 既にある遺言を作り直すときに、前回と同じ要式で作る必要はありません。以前作った公正証書による遺言を自筆証書遺言によって作り直すことも可能です。

 遺言を作り直すことにより撤回という効力が生じます。遺言を撤回する際に、撤回する遺言の全文又は一部を特定した上で、これを「撤回する」と明確に記載することが望ましいといえます。
 明確に「撤回する」という言葉を用いなくても、以前作成された遺言と内容の抵触する遺言がされていれば、抵触する部分について撤回したものとみなされますが、撤回の意思を明確にするためにも、いつ作った遺言を撤回するかを明確にした上で、新たな遺言を作ると良いでしょう。

 既に作成した遺言を全て撤回する方法だけでなく、一部を変更することも可能です。

【1】前の遺言が後の遺言と抵触するときは、その抵触する部分については、後の遺言で前の遺言を撤回したものとみなします(民法1023条1項)。
【2】遺言と抵触する生前処分がされた場合には、抵触する部分について遺言を撤回したものとみなします(民法1023条2項)。

 複数の遺言の内容が抵触する場合には、後の日付の遺言が優先されます。もちろん、後の日付の遺言が有効なものでなければ、撤回の効力は生じません。また、日付の異なる複数の遺言があった場合に、それぞれ遺言の内容が抵触しなければ、すべての遺言が有効となります。

 遺言が残されていた場合、書いてある内容によって遺されたご家族が内容の解釈・判断に迷うケースがあります。大切なご家族のためにも、またきちんと希望を叶えるためにも、遺言作成時には専門家に相談することをお勧めします。

 

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。
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 亡母名義の自宅を相続すると、相続税が安くなる特例が受けられると聞きました。どのような特例でしょうか?

 1人で暮らしていた母が亡くなりました。母が住んでいた母名義の自宅を相続すると、相続税が安くなる特例が受けられると聞きました。どのような特例でしょうか?

 ご相談の特例は、「小規模宅地等の減額特例」という制度です。
 この制度は、亡くなった方がお住まいだった居住用の土地等を、一定の要件に該当する相続人が相続した場合には、その土地の評価について330㎡までの部分について評価額を80%減額できる、という特例です。

 次の計算例で、減額できる評価額を計算してみましょう。

 次に、ご相談の場合におけるこの制度の適用可否について、次のフローチャートで確認してみましょう。

 ご相談のようなパターン以外でも、この特例を受けることができる場合があります。

 この特例は、要件を満たした土地等を、要件を満たした方が相続する場合に限り適用できます。誰がどの土地を相続するかによって、納める税金が大きく異なります。
 相続発生後に要件を満たすための手当てはできませんので、事前に専門家と相談・検討するなどをし、適用要件の実態を整えましょう。

 なお、居住用の土地以外に事業用等の土地についても、減額制度が設けられています。

<根拠条文> 措法69の4

 

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