お知らせ

 今回は相談事例を通じて、再代襲についてご紹介します。

 最近、祖父が亡くなりました。祖母は随分前に亡くなっており、祖父の子は父だけなのですが、父も5年前に亡くなっておりますので、私が相続人となり相続の手続きを行いました。ようやく片付いたと思っていたところで、親戚の人から大叔母が亡くなったと聞いたのですが、私は相続人になるのでしょうか?
 大叔母には、夫も子もいません。祖父の両親、父、祖父は大叔母より先に亡くなっており、二人の大叔父(曾祖父の子)は今も健在です。

 相談者様は、相続人とはなりません。

 被相続人となる大叔母様には配偶者、子がおらず、ご両親も亡くなられておりますので、大叔母様のご兄弟が相続人となります(民法第889条第1項第2号)。

 大叔母様のご兄弟の中で、相続の開始以前に亡くなられている方がいる場合には、その方の子が相続人となり、これを「代襲相続」といいます(民法第889条第2項、第887条第2項)。

 大叔母様のご兄弟である御祖父様は、相続の開始以前に亡くなられておりますので、お父様が代襲して相続することとなりますが、お父様は御祖父様よりも前に亡くなっているため、お父様の子である相談者様も代襲し相続人となるのかどうかが問題となり、これを「再代襲」といいます(民法第887条第3項)。

 ただ、兄弟姉妹には再代襲はないので、相談者様は大叔母様の相続につき相続人とはならず、ご健在の大叔父様2人のみが相続人となります。

 もし仮に、御祖父様が大叔母様よりも後に亡くなっていた((図中の(2)と(3)が逆だった)とすると、御祖父様の子が相続人となる代襲相続ではなく、御祖父様の相続人(ご存命であれば御祖母様、お父様)が相続人となる「数次相続」となります。

 数次相続であったとすると、子であるお父様の代襲相続人となる相談者様は、大叔母様の相続人にあたります。

 このように、亡くなった順番によって相続人が大きく変わることもあり、相続人が違えば遺産分割協議も無効となりますので、相続人が多岐に渡るような場合には亡くなった日にも注意する必要があります。

〈根拠条文〉
民法第889条
第1項 次に掲げる者は、第887条の規定により相続人となるべき者がない場合には、次に掲げる順序の順位に従って相続人となる。
二  被相続人の兄弟姉妹

第2項 第887条第2項の規定は、前項第二号の場合について準用する。

民法第887条
第2項 被相続人の子が、相続の開始以前に死亡したとき、又は第891条の規定に該当し、若しくは廃除によって、その相続権を失ったときは、その者の子がこれを代襲して相続人となる。ただし、被相続人の直系卑属でない者は、この限りでない。

第3項 前項の規定は、代襲者が、相続の開始以前に死亡し、又は第891条の規定に該当し、若しくは廃除によって、その代襲相続権を失った場合について準用する。

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。
 本情報の転載および著作権法に定められた条件以外の複製等を禁じます。

 被相続人の居住用財産を相続した個人が、所定の期間内に一定の要件を満たす譲渡をした場合は、居住用財産の譲渡所得の3,000万円特別控除の適用が認められます。

 去年、実家で独り住まいをしていた姉が亡くなりました。相続人は私1人で、姉が住んでいた土地建物を相続しました。姉が亡くなってからは誰も住んでいないので、そろそろ売却しようと考えております。相続した空き家を売却した際に受けられる特例があると聞きました。どのような特例でしょうか?

 ご質問の特例は「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除特例」です。被相続人の居住用家屋と敷地等を相続した個人が、平成28年4月1日から平成31年12月31日までの間にこの不動産を譲渡し、一定の要件を満たしたときは、この不動産の譲渡所得から最高3,000万円の控除ができます。

 ご質問の特例は、「耐震性能が備わった空き家はそのまま利用し、管理が行き届かない空き家は更地にする」という観点に基づき、有効的に不動産を活用し、空き家の発生を抑制することを目的としています。また、管理が行き届かない空き家等は、防災・衛生・生活環境等に悪影響を及ぼすおそれがあり、地域住民の生命・身体・財産を保護する必要があるため、上記の特例が創設されました。

≪特例の適用要件≫

 以下に、具体的な事例をあげてわかりやすくご説明致します。

≪具体例≫

    ①被相続人が老人ホームに入居し、相続開始時に対象となる家屋に居住していない場合

  •  →× 適用できません
     ただし、相続開始日直前に病院に入院していて、病状が改善後、再びその家屋に居住するような状況で相続が発生した場合であれば、適用を受けることができます。
    ②被相続人が居住していた家屋及びその敷地の名義人が先代(被相続人の父や祖父)のままで被相続人に名義変更していなかった場合

  •  →○ 適用できます
     被相続人が居住していた家屋及びその敷地の名義人が先代名義(被相続人の父や祖父)のままで変更されていなくても、現に被相続人の居住用家屋とその敷地等を相続又は遺贈で取得したのであれば、適用を受けることができます。
    ③相続人が外国籍(アメリカ国籍、アメリカ在住)である場合

  •  →○ 適用できます
     被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除特例は、対象者について日本国内に居住しているか否かを区別していないため、非居住者であっても要件を満たせば適用を受けることができます。

 ご相談の場合にも、お姉さまのご自宅家屋が、昭和56年5月31日以前建築、耐震性あり(相続後に耐震リフォームをしたものを含む)又は取り壊しての譲渡、譲渡価額が1億円以下などの要件を満たせば、最高3,000万円の特別控除額を控除することができます。

 被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除特例は、適用後の控除額が3,000万円と高額であり、節税効果も高い特例です。また、被相続人の居住家屋を取得する相続人が、小規模宅地の特例の条件をすべて満たす場合には、併用も可能です。

≪参考条文等≫
(国土交通省 空き家の発生を抑制するための特例措置について、所法33、措法35の3、措令23、措規18の2)、(国税庁 タックスアンサー№.3306)、措通35-9

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。
 本情報の転載および著作権法に定められた条件以外の複製等を禁じます

2018年8月1日

夏季休業日のご案内

弊事務所では、下記期間を休業とさせて頂きますのでご案内いたします。

休業期間中は何かとご迷惑をお掛けすることと存じますが、
何卒よろしくお願い申し上げます。
 
■夏季休業日
 8月11日(祝)~8月16日(木)

ページトップに戻る