お知らせ

 実家を相続して売却したときに、その家の固定資産税・都市計画税は誰が負担するのでしょうか。

 今年2月に母が亡くなり、母親名義の実家を相続しました。その後、実家の固定資産税・都市計画税(以下、固都税)の納付書が実家に届きました。この税金は私が納めるものなのでしょうか。
 また、実家は近々売却する予定で不動産屋と話が進んでいます。このように売却をする場合でも、固都税は全期分納付しなければいけませんか?

 たとえ年内に相続により取得したご実家を売却したとしても、ご相談者は、お母様の納税義務を引き継ぎ、固都税を全額納付しなければなりません。ただし不動産取引には、不動産の引渡時に固都税を日割清算する慣行があります。

1.固都税の納税義務者

 固都税の納税義務者は、1月1日現在の登記簿に、「所有者」として登記されている方になります。

 今回のご相談では、お母様は2月にお亡くなりになったということですから、ご実家の1月1日現在の所有者はお母様名義で登記されていたため、固都税の納税通知書がご実家に届いたと思われます。ご相談者は相続によりご実家を取得されたとのことですので、当然に固都税の納税義務も引き継がれます。そのため、ご相談者は、ご実家の固都税を納めなければなりません。

 また、ご実家は近々売却される予定だということですが、固都税の納税義務者は先述の通りのため、たとえ年の途中で所有者が変わったとしても、納税義務者に変更はありません。

 なお、買手が年内に不動産の引き渡しを受けた場合には、翌年の1月1日時点での所有者である買手が納税義務者とされますので、翌年度以降の固都税の納税通知書は、1月1日現在の所有者である買手に送られることになります。

2.不動産取引の慣行

 このように、不動産取引日以降の固都税についても、原則、売り手(1月1日現在の所有者)側が納めることになりますが、実際の不動産取引では、当該固都税を不動産の引渡時に日割清算(「精算」ともいいます。)で対応することが一般的です。
 具体的には、引渡日以降の固都税相当額を日割で計算し、不動産の引渡時に売買の残代金に上乗せして買手より受け取ることで、実質的に所有期間に対応する分だけを負担することとなります。

 日割清算の留意点として、1月1日から納税通知書が送られてくるまでの間など、固都税の税額が分からない間に不動産の引き渡しを実行する場合は、前年の税額で日割清算をするか、不動産の引き渡しをした後、固都税の額が判明した際に日割清算をするかなど、清算方法をあらかじめ決めておく必要があります。その上で、その内容を不動産の売買契約書に反映させなければいけません。

 なお、固都税の計算をする基となる固定資産税評価額は、3年に1度評価替えが行われます。この評価替えにあたる年や、税制改正によって税率・軽減の特例の内容が変更された年などは、前年度の税額と大きく異なる場合がありますので、清算方法の決め方にも注意が必要です。

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 会社への貸付金が将来相続財産となり、相続人から返還請求権の行使を受けたときに会社が返済できるよう、会社側が今から準備できる方法があれば教えてください。

 私が経営する会社へ私の個人資産から金銭を貸し付けています。会社側に返済資金の余裕がなく、貸し付けたままですが、この状態で私が亡くなったとき、この貸付金は私の息子が相続により取得することになります。息子は会社とは無縁のため、このようなことになったとき、貸付金の返済を会社に対して求めること(返還請求権の行使)が容易に予想できます。ただし現状のままでは会社として返済することは難しいため、将来のこのような事態に備え、今から会社が準備しておくと良い方法はないでしょうか。

 ご相談者を被保険者とし、会社が死亡保険金受取人とする生命保険契約を活用すると、当該契約に係る死亡保険金を借入金の返済資金に充てられると考えます。

1.会社に対する貸付金は「相続財産」

  ご相談者が会社へ金銭を貸し付けるということは、会社側からみれば借入をすることとなります。

 これが問題となるのは、ご相談者が懸念されているとおり、貸付金の返済を受けないまま亡くなった場合です。

 会社に対する貸付金は「相続財産」として、遺産分割の対象となります。
 相続財産とはいうものの“債権”であるため、当該貸付金を相続した人の手元に現金は入らず、他方で相続税はかかってきます。
 貸付金を相続した人が当該会社の後継者や役員であるならばまだしも、ご相談のケースのように会社とは関係のない人が相続した場合は、返済を受けたいはずです。
 貸付金を相続した人が会社に対して返還請求権を行使した場合に、会社側に返済資金がなければ、会社の存続すら危うくなります。

2.返済資金に充てるための生命保険契約

 このような返済資金に充当する意図で、今から会社が準備しておくと良い方法としては、たとえば次のような生命保険契約を締結しておくことが考えられます。

  • ◆契約形態◆
  • 契約者:会社
  • 被保険者:ご相談者(金銭貸与者)
  • 死亡保険金受取人:会社

 このような生命保険契約を締結した後にご相談者が亡くなった場合は、会社側は受取った死亡保険金を原資に、貸付金を相続したご子息へ返済をすることができます。

 生命保険契約を締結する際、設定する死亡保険金の額を借入金の額と同等にするかどうかは、会社側が支払う保険料との見合いになります。生命保険契約に係る保険料としての支払資金は必要不可欠であるため、会社の資金繰りを十分に考慮した上で、準備されると良いでしょう。

 

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