会社への貸付金が将来相続財産となり、相続人から返還請求権の行使を受けたときに会社が返済できるよう、会社側が今から準備できる方法があれば教えてください。
私が経営する会社へ私の個人資産から金銭を貸し付けています。会社側に返済資金の余裕がなく、貸し付けたままですが、この状態で私が亡くなったとき、この貸付金は私の息子が相続により取得することになります。息子は会社とは無縁のため、このようなことになったとき、貸付金の返済を会社に対して求めること(返還請求権の行使)が容易に予想できます。ただし現状のままでは会社として返済することは難しいため、将来のこのような事態に備え、今から会社が準備しておくと良い方法はないでしょうか。
ご相談者を被保険者とし、会社が死亡保険金受取人とする生命保険契約を活用すると、当該契約に係る死亡保険金を借入金の返済資金に充てられると考えます。
ご相談者が会社へ金銭を貸し付けるということは、会社側からみれば借入をすることとなります。
これが問題となるのは、ご相談者が懸念されているとおり、貸付金の返済を受けないまま亡くなった場合です。
会社に対する貸付金は「相続財産」として、遺産分割の対象となります。
相続財産とはいうものの“債権”であるため、当該貸付金を相続した人の手元に現金は入らず、他方で相続税はかかってきます。
貸付金を相続した人が当該会社の後継者や役員であるならばまだしも、ご相談のケースのように会社とは関係のない人が相続した場合は、返済を受けたいはずです。
貸付金を相続した人が会社に対して返還請求権を行使した場合に、会社側に返済資金がなければ、会社の存続すら危うくなります。
このような返済資金に充当する意図で、今から会社が準備しておくと良い方法としては、たとえば次のような生命保険契約を締結しておくことが考えられます。
- ◆契約形態◆
- 契約者:会社
- 被保険者:ご相談者(金銭貸与者)
- 死亡保険金受取人:会社
このような生命保険契約を締結した後にご相談者が亡くなった場合は、会社側は受取った死亡保険金を原資に、貸付金を相続したご子息へ返済をすることができます。
生命保険契約を締結する際、設定する死亡保険金の額を借入金の額と同等にするかどうかは、会社側が支払う保険料との見合いになります。生命保険契約に係る保険料としての支払資金は必要不可欠であるため、会社の資金繰りを十分に考慮した上で、準備されると良いでしょう。
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