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 令和3年(2021年)の地価公示の結果と土地の相続税評価額の関係について、教えてください。

 令和3年(2021年)の「地価公示価格」が発表された、というニュースを見ました。今回の地価公示の結果の特徴について、教えてください。また、今回の地価公示の結果と土地の相続税評価額との関係は、どのようになっているのでしょうか?

 令和3年(2021年)の地価公示では、新型コロナウイルス感染症拡大の影響もあり、全用途の全国平均は、平成27年(2015年)以来6年ぶりに下落に転じました。

 まず、地価公示の結果から確認しましょう。

1.令和3年(2021年)の地価公示

 用途別にみると、住宅地は平成28年(2016年)以来5年ぶり、商業地は平成26年(2014年)以来7年ぶりに下落に転じ、工業地は5年連続で上昇したものの上昇率は縮小しました。

 東京、名古屋、大阪の三大都市圏をみると、全用途平均・住宅地・商業地はいずれも平成25年(2013年)以来8年ぶりに下落となりました。工業地は7年連続で上昇しましたが、上昇率は縮小しました。

 地方圏平均をみると、全用途平均・商業地は平成29年以来(2017年)4年ぶりに、住宅地は平成30年(2018年)以来3年ぶりに下落に転じ、工業地は4年連続で上昇したものの上昇率は縮小しました。

 今回の地価公示では、新型コロナウイルス感染症の影響により全体的に弱含みとなりましたが、地価動向の変化の程度は用途や地域によって異なる結果となりました。昨年からの変化は、用途別では商業地が住宅地より大きく、地域別では三大都市圏が地方圏より大きくなりました。

2.地価公示の結果と土地の相続税評価額との関係

 次に、今回の地価公示の結果と土地の相続税評価額との関係についてみてみましょう。

 まず、地価公示価格ですが、相続税評価の基準になるとされています。相続税や贈与税の申告にあたっては、一般的に路線価等(いわゆる相続税路線価)が用いられますが、相続税路線価は、地価公示価格の水準の80%程度で評価されており、その均衡化・適正化が図られています。

 なお、地価公示価格、相続税路線価ともに毎年1月1日が評価の基準日とされていますが、地価公示の発表は例年3月下旬(今年は3月23日)、相続税路線価の発表は例年7月初旬となっており時間差があります。

 今回の地価公示で地価が最も大きく下落したのは、大阪ミナミや名古屋の錦といった繁華街・歓楽街でした。インバウンド客をはじめとする観光需要の消失や、会食需要の減退による飲食店の利用客減といった、まさに新型コロナウイルス感染症拡大の影響を大きく受けた格好となりました。

 なお、昨年分である令和2年分(2020年分)の路線価では、新型コロナウイルス感染症拡大の影響は反映されていなかったことから、地価が20%超下落した大阪ミナミや名古屋の錦辺りでは、評価月によって路線価に調整率を乗ずる形で、地価変動補正が適用されました。

 今回の地価公示では、新型コロナウイルス感染症拡大の影響が反映された結果となっており、地価が大きく変動している地点の付近については、7月に発表される相続税路線価も大きく変動し、相続税額にも影響を与える可能性があります。

 土地の相続税評価については、当事務所までお気軽にご相談ください。

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 満期を過ぎた外貨建て保険の請求手続きと、課税上の取扱いを教えてください。

 外貨建て養老保険に加入していた夫が、今年1月に満期を迎えた保険金の請求手続きを行うことなく、4月に亡くなりました。保険証券を確認したところ、死亡保険金の受取人は配偶者である私と長男、5割ずつ指定されています。
 また、外貨で受け取ることができる旨の記載があるので、私も長男も外貨受け取りを希望しています。
 満期が過ぎている契約ですが、死亡保険金として請求をするのでしょうか。
 また、税金はかかりますか?
 なお、相続人は、私(配偶者)、長男、次男の3人です。

【外貨建て養老保険の契約内容】
  • 保険種類:米ドル建て養老保険
  • 契約期間:10年
  • 契約者(保険料負担者):夫
  • 被保険者:夫
  • 満期保険金受取人:夫
  • 死亡保険金受取人:配偶者・長男 各5割
  • 死亡、満期保険金:200,000米ドル
  • 全期前納保険料:175,000米ドル

 ご相談の契約は、ご主人がお亡くなりになる前に満期が到来しているため、保険会社への請求手続きは死亡保険金ではなく、未請求であった満期保険金となります。この満期保険金は、ご主人の所得として所得税の課税対象となる他、ご主人の相続財産に加算します。また、所得税が課税されることにより納付すべき所得税が発生した場合は、相続税の計算上、ご主人の債務として遺産総額から控除できます。なお、申告上、外貨建ての財産は円建てに換算する必要があります。換算する際の為替レートは決められており、各々適用される為替レートは詳細解説にてご確認ください。

1.死後に行う満期保険金の請求手続き

 保険金の請求手続きが被保険者の死亡後であっても、被保険者が死亡する前に満期を迎えていれば、死亡保険金としては扱われず、満期保険金としての請求手続きとなります。この満期保険金の課税の取扱いは、以下のとおりです。

(1)所得税

 ご相談の満期保険金は、満期が到来した年分のご主人の一時所得として、所得税の課税対象となります。実務上は、ご主人に代わり相続人が準確定申告を行い、納付すべき所得税が生じた場合には納付することとなります。

(2)相続税

 相続税の計算上、ご相談の満期保険金は、相続人共有の財産(未収入金)として、相続財産に加算します。死亡保険金ではないため、保険金の非課税制度(500万円×法定相続人の数)を適用することはできません。

 また、(1)により所得税を納付することとなった場合には、その所得税は相続税の計算上、債務として遺産総額から控除できます。

2.外貨で受け取るときの為替レート

 外貨建て保険を外貨で受け取る場合、税金を計算する上では、円換算する必要があります。この際に適用される為替レートは、次のとおりです。

【所得税の評価】
  • 全期前納保険料:原則として払込日(保険会社受領日)のTTM(※)
  • 満期保険金:原則として支払事由発生日(満期日)のTTM(※)
【相続税の評価】
  • 未請求であった満期保険金相当額:原則として支払事由発生日(死亡日)のTTB(※)
(※)TTS…対顧客直物電信売相場、TTB…対顧客直物電信買相場、TTM…TTSとTTMの仲値

 請求すべき手続きの放置期間が長くなるほど、証拠書類が探し出せずに手続きが煩雑になりがちです。他に手続きが放置されているものがないか、確認をしましょう。

 相続に関するご不明な点は、当事務所へお気軽にご相談ください。

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