お知らせ

 LIXILグループ、建築材料・住宅設備機器業界の最大手で、
 国内外問わず事業の拡大を積極的に進めています。
 最近では、家電量販店のエディオンとも資本業務提携を結び、
 リフォーム事業に力を注いでいます。

 同業他社は当然のことながら、他業種からもライバルが出現する中で、
 価格競争に埋もれてしまわないよう商品開発に力を入れています。
 買収したドイツ企業のデザイナーや国内電機メーカーの出身者を要職に迎え、
 消費者ニーズをデザインに生かし、選ばれる商品を目指します。

 同グループの中核企業のひとつとなる(旧)トステム、
 現在ではひとつのブランドとして展開されていますが、
 アルミサッシの分野では、国内シェアトップを誇ります。
 ごくあたり前となったアルミサッシも、
 60、70年代にわたる団地建設ブームに乗り、一気に広がった建具のひとつです。

 当時、木製の建具から新しいアルミ製へ切り替えの需要を期待して、
 各地に大小のメーカーが乱立します。
 業界は珠玉入り乱れた状態となり、各社があれこれ知恵を絞り、
 存続を賭けシェア争いが繰り広げられたのでした。
 
 トステムの創業者 潮田健次郎氏は家業を引き継ぎ、木製建具の小売を始めます。
 程なくして、もっと大きな商いをしたいという思いで、
 建具の問屋業も始めたところ、戦後の住宅需要のおかげもあり、
 都内に4店舗を構えるまでに成長します。

 それでも飽き足らず、自ら商品を作り出すメーカーの魅力に取り付かれ、
 全財産をはたいて工場を買い取り、建具の製造に乗り出すのです。
 いざ始めてみると、家内工業的な建具は大量生産には向かず、
 毎月、金策に走り回る生活に陥ってしまいます。

 そんな窮地から立ち直れたのは、現場の取り付け作業を簡素化した
 「スピード雨戸」が予想外にヒットしたおかげでした。
 当時のアルミサッシの価格は、木製の5倍から10倍もしていたのですが、
 近いうちに、この状態は逆転するだろうと予想していた潮田氏は、
 溜まった赤字を一掃し、アルミサッシの業界に参入を試みたのです。

 既に、業界には旧財閥系の大手が参入してきていたので、
 木製建具のメーカーとは規模の点で雲泥の差がついていました。
 同じやり方で勝負しても、到底勝ち目はないだろうと見ていたので、
 大手にはできない方法をじっくりと考えました。

 大手メーカーが作るサッシは、アメリカの技術をそのまま取り入れため、
 規格が決まっていて、日本の木造住宅によくある、
 わずかな誤差に対応できていなかったのです。

 そこで、トステムでは寸法を微調整できるサッシを開発しました。
 少し考えれば出てきそうなアイデアではありましたが、
 大企業のような硬直化した体制の中からは生まれてこなかったのでしょう。
 それには、木製の建具製造に四苦八苦した経験が役に立ちました。

 製品に目処がついたものの、肝心のアルミの仕入については手付かずだったのです。
 そこで、販売先の開拓に遅れていて、
 安定的な提供先を求めているだろうと見当をつけ。
 アルミの精錬に参入して日が浅いメーカーにアプローチを試みます、
 
 見事、その目論見は的中し、新商品と原料の供給源を確保することができます。
 後発であるにもかかわらず、
 飛躍的にアルミサッシの販売を広げることが出来たのは、
 原料メーカーとパートナーシップを結べたことが最大の勝因だったのです。

 令和4年分路線価の特徴をコロナ禍の影響を踏まえて教えてください。

 令和4年分の路線価が発表されたというニュースを見ました。今回の結果の特徴について、特にコロナ禍の影響を踏まえて教えてください。

 令和3年分と比べると、路線価は全体的に持ち直しつつあります。新型コロナウイルス感染症拡大の影響が徐々に緩和され、標準宅地の平均変動率は全国平均で2年ぶりに上昇しました。

1.路線価とは

 路線価は、相続税や贈与税の申告の便宜及び課税の公平を図る観点から、国税局が毎年公表しているもので、路線(道路)に面する標準的な宅地の1平方メートル当たりの価額をいいます。

 路線価の評価は毎年1月1日時点で、1年間の地価変動などを考慮し、地価公示価格等を基にした価格の80%程度を目途に定められています。令和4年分の路線価は令和4年7月1日に公表されました。

 なお令和4年分とは、令和4年1月1日から令和4年12月31日までの期間に係る年分をいい、この間に発生した相続や贈与により取得した土地の相続税や贈与税は、令和4年分の路線価に基づき評価することになります。

2.令和4年分路線価の特徴

 令和4年分の路線価の特徴について見てみましょう。以下は都道府県ごとの対前年変動率の平均値です。

 新型コロナウイルス感染症拡大の影響が大きかった令和3年分の路線価と比べると、影響が徐々に緩和されたことから標準宅地の平均変動率は全国平均で2年ぶりに上昇し、前年の0.5%のマイナスから0.5%のプラスに転じました。

 前年変動率がプラスとなったのは、北海道(4.0%)、福岡県(3.6%)、宮城県(2.9%)など20都道府県、残りの27県はマイナスとなりました。

3.都道府県庁所在地の最高路線価

 次に、都道府県庁所在地の最高路線価のうち上位10都市について見てみると、コロナ禍前に地価上昇を牽引したインバウンド需要は依然として回復しておらず、インバウンドの影響により地価が上昇していた大阪や神戸は下落傾向が続いています。一方で、北海道新幹線の開業を控え、複数の大規模な再開発が予定されている札幌の上昇率が大きくなっています。

 全体的には、コロナ禍が最悪の状況を脱したこと、景況感の改善や低金利環境の継続などの要因により前年と比べると上昇した地点が多く、路線価は全般的には持ち直しつつあるといえそうです。

 なお、路線価は毎年1月1日時点の評価であることから、令和4年分の路線価にはロシアによるウクライナ侵攻や中国のロックダウンによる原材料不足や高騰の影響は反映されていません。また、過度なインフレ抑制のため欧米各国は利上げを実施していますが、日本は大規模な金融緩和政策を継続しており、このことが円安の原因となっている一方、我が国の不動産市場を下支えしているという見方もできます。

 したがって、今後の地価動向は、金融政策の行方によって大きな影響を受けることも想定されることから、今後の推移を注意深く見守る必要がありそうです。

<参考>
 国税庁HP「路線価図・評価倍率表ホームページ

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 掛け捨ての生命保険は、財産債務調書の報告対象となるのでしょうか?

 夫から、「財産債務調書の提出が必要となるため、財産の内訳を確認してほしい」と言われました。預貯金や不動産、有価証券は把握できているのですが、掛け捨ての生命保険(保険金支払事由が発生しておらず解約返戻金もない保険)も対象になるのでしょうか?
 また、財産債務調書の提出にあたり、契約している保険についてどこに何を確認すればよいでしょうか。他にも注意事項があれば教えてください。

 保険金支払事由が発生しておらず、解約返戻金もない掛け捨ての生命保険は、財産債務調書の報告対象外です。他方、解約返戻金が発生する契約については対象となるため、加入している保険会社や取扱代理店に、解約返戻金額を確認する必要があります。

1.財産債務調書とは

 一定の所得金額を超える所得税の確定申告書を提出する方で、一定の財産額を保有されている場合など提出対象となる方は、その年の12月31日時点で所有する自己の財産や債務の内容、価額などを記載した書類を、定められた期限までに提出する義務があります。この提出する書類のことを「財産債務調書」といい、このような制度のことを「財産債務調書制度」といいます。

 財産債務調書制度には、提出すべき人が提出するように促すための措置として、提出している場合のペナルティの軽減措置や、逆に提出していない場合のペナルティの加重措置が講じられています。

2.掛け捨ての生命保険は財産債務調書の報告対象となるのか

 国税庁は、「財産債務調書の提出制度(FAQ)(令和元年12月)」で以下のように回答しています。

 保険(共済を含む。)に関する権利の価額は、その年の12月31日にその生命保険契約を解約することとした場合に支払われることとなる解約返戻金の額をその財産の価額とします(通達6の2-9(13)イ)。
 なお、加入している生命保険契約が、満期返戻金を定期金(年金形式)で受け取ることができる内容のものであっても同様の方法により価額を算定します。

 上記の通り、生命保険契約を解約することとした場合に支払われる解約返戻金の金額を財産債務調書の報告対象としているため、掛け捨ての生命保険(保険金支払事由が発生しておらず解約返戻金がない保険)は対象となりません。

3.財産債務調書の提出にあたり
(1)どこに何を確認すればよいのか

 加入されている保険契約(損害保険、共済も含む)のうち、解約した場合に解約返戻金が発生する契約について12月31日時点の解約返戻金額をそれぞれ確認する必要があります。
 解約返戻金の金額は、加入している保険会社のコールセンターや取扱代理店にお問い合わせいただくことで、確認ができます。

 なお、保険会社によっては、回答に少し時間を要する場合もあるため、期日に余裕を持ってご確認いただくとよいでしょう。

(2)注意事項

 以下は記入が漏れる場合が多いため、ご注意ください。

  • 相続により引き継いだ保険契約
  • すでに保険料の払い込みが完了している契約で、満期日や受取開始日が到来していない養老保険や個人年金保険等

 保険契約が多い場合は、契約者や被保険者ごとに保険内容(保険会社、契約日、保障内容、保険料、特約内容等)を一覧にまとめるとよいでしょう。一覧にすることで全体像が認識しやすくなるため、財産債務調書の観点だけではなく、保障の過不足を認識できる、保険金請求時に請求漏れを防止できる等のメリットがあります。

 また、保険契約後かなり年数が経過していると、保険金受取人がすでに他界していた・疎遠になったケースも見受けますので、見直すよい機会にもなるでしょう。いざ相続となったときに、受け取ってほしい人に確実に保険金が渡せるよう、定期的な見直しにも役立ちます。

 財産債務調書や保険の見直しに関するご相談は、当事務所までお気軽にお問い合わせください。

 

 

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 新型コロナ感染症拡大の影響が大きかった業種のひとつに外食産業があげられます。
 3年を経過しても繰り返す感染拡大の波、
 それに加えて、ウクライナ戦争や円安による原料高、人件費の高騰が重なり、
 もうこれ以上耐えきれないと悲鳴を上げています。

 ファミリーレストラン大手のすかいらーくは、
 ロードサイド店を中心に100店程度の店舗を閉店すると発表しました。
 これまでも不採算店を中心に閉店を進めてきているので、
 業績悪化の深刻さがうかがえます。

 一方、関西圏中心に店舗を展開する餃子の王将は、
 メニューの見直しやテイクアウトの充実が功を奏したのか、
 コロナ禍にあっても、過去最高の売上を更新するなど、
 業界内でも勝ち負けの差が表れてきています。

 王将が一号店を開業したのは、
 外食チェーンが産声を上げた時期と重なる67年。
 3年後の大阪万博を境にして、各店の出店ブームが訪れるのですが
 京都の地で、じわりじわりと店舗数を増やしていったのが王将だったのです。

 それは、繁華街を中心に出店するハンバーガーショップや、
 郊外に大きな駐車場を構えたファミリーレストランとは
 大きく印象が違っていました。

 学生が多く集まる飲食街や下町の商店街に、
 決して大きな店舗でなく、
 どこにでもある中華料理店といった風情の店がほとんどでした。

 直営店なのか、フランチャイズ店かに係わらず、
 チェーン店といった感じではなく「暖簾わけ」した店のようでした。

 90年代には、席数が多くあるロードサイドの店舗には、
 回転寿司を併設した店やいけす料理を提供する店も出店していました。
 今から思えば、奇妙なコラボレーションのような気がしますが、
 当時の流行を取り入れ売上の落ち込みを補おうとしていたのでしょう。

 外食チェーンの多くがセントラルキッチンを設け、
 できる限りそこで調理を済ませ、
 味の標準化とコストの削減に力を注いでいます。

 関西圏以外の方でも、足を運んだ方ならご存知かと思いますが、
 王将のスタイルは、かなり違っています。
 下味が付いたメニューを除いて、
 味付けは店の厨房の調理人が行っています。

 看板メニューの餃子も、餡を皮に包むのは店の役割で、
 味のばらつきも含めて手作りの味わいがあるのです。
 
 この時期に、店舗内調理にこだわる王将に注目が集まるのは、
 均一化されたメニューと味付けに気づいてきたからなのでしょうか。
 ファミリーレストランの雄、
 すかいらーくが事業転換を迫られているのも、
 行き過ぎた効率化(?)のツケなのかもしれません。

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