お知らせ

 5月は上場会社の多くが決算報告を行う時期となっており、
 月末を迎える今では、ほとんどが決算発表を終えています。
 新型コロナウイルス禍から回復を見せている、旅行や運送関連などが好調な半面、
 円安や資源高の影響で、製造業は芳しくない結果となりました。

 元旦を一年の始まりとして、12ヶ月を数えるのを「暦年」と言い、
 これとは別の数え方で、一年間を数えることを「年度」といいます。
 国や上場している会社などは4月1日を一年の始まりとして、
 決算を組んでいて、このことを「会計年度」といいます。

 会社の場合は、その「年度」を自由に決めることが出来て、
 請求の締め切りにあわせて、○月21日から○月20日の
 一年としている会社も結構あります。
 アメリカは10月、中国は1月が、会計年度の始まりとなっています。

 事業の規模の大小にかかわらず、経営を続けていくうえで「蓄え」
 つまり、貯蓄は非常時や緊急時に大きな支えとなってくれます。
 ところが、、事業が順調に運んでいるときには、大きな利益を生まない貯蓄は、
 効率が悪いと考えられ、すぐに換金することができない
 「投資」へまわされることが多いものです。

 さらに、「蓄え」にたどり着くには、安定した経営をすることが大切です。
 無計画な事業拡大は命取りになりますが、かといって現状に甘んじていては、
 時代の波に取り残されることになりかねません。
 適度に、前に進むことが肝心なのですが、そのコツはどのようなものでしょう。

 客商売である以上、雨の日はどうしても客足が鈍ります。
 そんな時でも、時計店は客が少なくても、店員は時計の修理に励んでいる。
 「時計業は、大切な時間を無為に過ごさなくて良い」
 こう考えた服部金太郎氏は、時計の世界に足を踏み入れ、
 後に世界のセイコーとなる服部時計店を開業することになるのです。
 
 国内ではいち早くクオーツ時計の開発を手がけ、
 世界初のクオーツ腕時計を発売し、一躍世界のトップメーカーとなりました。
 時計の開発に派生して新しい事業が次々と生まれ、
 今やその事業のいくつかが本業として成り立っているのです。

 服部氏は無一文から出発して、堅実なビジネス・スタイルで、
 現在のセイコーグループの基礎を築きました。
 その中には、今でも決して色褪せしない、ビジネスの基本が残されています。
 
 彼は、商売を始めるときの条件を次のように言っています。
 ・少ない資本ではじめられること
 ・将来大きく伸びる見込みがあること
 ・コツコツやっていても、努力次第で発展できること
 
 同業者が仲間同士で商品を融通しあっているときには、
 外国の貿易商から仕入れを始め、同業者が貿易商と取引を始めた頃には、
 外国から直接輸入をしいました。
 そして、周りが輸入を始めたことには、すでに自分の手で時計の製造を
 開始していたのです。
 
 また、ビジネスは周りより一歩先に進むことが大切だと言っています。
 逆に、何歩も進みすぎることは、預言者になってしまうので
 慎まないといけないと忠告しています。

 農地の購入に必要となる農家資格について教えてください。

 市街化調整区域内の農地を相続しましたが、自身で管理できないため売却したいと考えています。お隣の農地を耕作している方に購入を打診したところ、「農家資格がないため購入できない」と断られました。農地購入の際に必要となる農家資格とはどのようなものでしょうか。

 農家資格とは、農地の権利移動あるいは他用途への転用を行う場合に必要なもので、農地法に定められた許可を得る必要があります。農地法の許可の種類や許可基準については、詳細解説をご確認ください。

1.農地法の許可の種類

 目的(権利移動・転用等)により許可基準が異なり、その根拠条文は以下のとおりです。

 

  • ① 農地を農地として権利移動(売買や賃借)する場合(農地法第3条)
    農業委員会の許可(都市計画にかかわらずすべての区域)
  • ② 農地を農地以外に転用する場合(農地法第4条)
    市街化区域:農業委員会への事前届出
    市街化調整区域:農業委員会の許可
  • ③ 農地を農地以外に転用する目的で権利移動する場合(農地法第5条)
    市街化区域:農業委員会への事前届出
    市街化調整区域:農業委員会の許可

 農地として権利移動する場合、①により農業委員会の許可が必要となります。市街化区域内の農地の場合、②および③は、農業委員会への事前届出で足りるため、転用あるいは転用を目的とした権利移動については、容易に行うことができます。
 ただし、市街化調整区域内の農地の場合は、目的にかかわらず、①から③のいずれかの許可が必要となります。

2.ご相談のケースにおける許可基準

 今回のご相談は売買のため、上記1.①の許可が必要となります。つまり、許可基準は農地法第3条によります。
 農地法第3条には、許可基準について以下のように規定されています。

農地又は採草放牧地について所有権を移転し、又は地上権、永小作権、質権、使用貸借による権利、賃借権若しくはその他の使用及び収益を目的とする権利を設定し、若しくは移転する場合には、政令で定めるところにより、当事者が農業委員会の許可を受けなければならない。

 上記のとおり、農業委員会の許可を得なければ権利移動することができず、その許可を得るためには、以前は下記のI.~IV.の条件をすべて満たす必要がありました。

  • 農地のすべてを効率的に利用すること
  • 必要な農作業に常時従事すること
  • 一定の面積を経営すること(下限面積要件)
  • 周辺の農地利用に支障がないこと

 ただし、令和4年に農地法が一部改正されたことにより、上記Ⅲ.の条件は撤廃され、令和5年4月1日以降の許可分から下限面積要件はなくなりました。なお、相続や包括遺贈、時効取得による権利移動の場合は、農地法第3条の許可を要しません。

 お隣の方が認識している「農家資格」とは、I.~IV.の条件をすべて満たすことを指していると思われます。

 下限面積要件の撤廃は最近の改正であり、まだあまり周知されていません。もしかするとお隣の方はⅢ.の条件を満たしていないために、農家資格がないと判断されているのかもしれません。上記をお伝えした上で、確認されてはいかがでしょうか。

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 生命保険への加入は相続対策として預金にはない効果を期待できるのでしょうか。

 70歳になり相続について真剣に考えるようになりました。保有している財産状況から相続税は避けられそうにありません。先日、同世代の知人から、納税資金の準備は預金より生命保険の方が有効なので加入した方がよいとアドバイスを受け、保険代理店を紹介されました。預金と家賃収入が十分あり生命保険は不要と考えていたため、これまで加入した経験がありません。相続対策として預金にはない効果を期待できるなら加入しようと思いますが、営業担当者の説明だけで決断することに不安があります。客観的な立場から相続における生命保険の有効性、生命保険と預金の違い、注意点について教えてください。
 相続人は妻と子2人の予定です。受取人は子2人5割ずつ指定すればよいといわれました。

【保険代理店からの提案プラン】
  • 契約者、被保険者:私
  • 死亡保険金受取人:長男、長女 5割ずつ
  • 保険種類:一時払終身保険
  • 保険金額:1,000万円
  • 一時払保険料:9,623,000円

 生命保険は預金よりも有効とされるポイントがいくつかあり、相続において有効と考えられます。預金との違いと注意点については詳細解説をご確認ください。

 提案された契約形態で死亡時に子が受け取る死亡保険金は受取人固有の財産ですが、相続税の計算上は、みなし相続財産と扱われ課税対象となります。相続税の対象となる点は預金と同じですが、以下の点で違いがあり、生命保険は相続において有効と考えられます。

1.生命保険の特徴
非課税枠がある

契約者(保険料負担者)、被保険者ともに被相続人となる生命保険契約で、相続人が受け取る死亡保険金は、非課税枠「500万円×法定相続人の数」を適用できる。

生前に死亡保険金受取人を指定できる

生前に契約者が死亡保険金受取人を指定するため、契約者の意思により遺したい人に確実に遺せる。

被相続人の預金の払戻しより手間なく受取人の口座に入金できる

生命保険の死亡保険金は、一般的に保険会社所定の保険金請求書、死亡診断書、死亡日を証明できる公的書類(除籍謄本など)があれば請求手続きができ、書類提出から1~2週間で受取人指定の口座に入金されます。

一方、預金は亡くなった旨の通知があったときから口座が凍結され、遺産分割が終了するまでの間、相続人単独では払戻しを受けられないことがあります。そのため、平成30年の民法改正(平成31年7月施行)により、遺産分割前に相続預金口座の払戻し制度が設けられ、相続人単独で払戻しを受けることができるようになりました。しかし、その手続きには被相続人の除籍謄本以外に相続人全員の戸籍謄本が金融機関ごとに必要など、死亡保険金請求よりも必要書類が多く、払戻し額は一定の範囲内に制限されています。

遺産分割協議の対象にならない

上記のとおり死亡保険金はあくまでも受取人固有の財産であり、相続財産ではないため通常は、遺産分割協議の対象にはなりません。そのため、原則として遺留分を計算する際も対象に含まれません。

 このように預金よりも有効とされるポイントがいくつかある一方で、次のような注意点もあります。

2.生命保険の注意点
  • 預金より流動性が劣る
  • 契約から早期に解約すると元本割れする可能性が高い
  • 税制が変わり、期待した効果が得られない可能性がある
  • インフレにより保険金の資産価値が下がる可能性がある

 相続対策の検討は、保有している財産全体を踏まえて、納税見込額や財産の分け方などを整理しておく必要があります。保険金額や受取人についても慎重に検討した方がよいでしょう。

 相続対策に関するご相談は、当事務所までお気軽にお問い合わせください。

 

 

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