お知らせ

 今回は相談事例を通じて、相続開始後に行う一般的な手続きをご紹介します。

 先日、主人が亡くなりました。葬儀は終えましたが、他にどのような手続きが必要になるのでしょうか。私たちは年金生活をしており、子は2人いますが独立しています。住まいは持ち家で、その他若干の預金があります。

 一般的に必要となる手続きを【詳細解説】にまとめました。そちらをご参照ください。

① 住所地の市区町村役場での手続き

 死亡届の提出(死亡の事実を知った日から7日以内/戸籍法第86条1項)、健康保険被保険者証・障がい者手帳・印鑑登録手帳等の返納、葬祭費の請求、健康保険料や介護保険料等の精算を行います(但し、その場で現金を収めたり、受け取ったりすることはありません)。

② 年金事務所での手続き

 受給していた年金の種類によっても異なりますが、基本的にはご主人が受給していた年金を止める手続きと、未支給の年金をもらう手続きなどを行います。あなたが遺族年金をもらう手続きも行った方が良い場合があるため、併せて確認するとよいでしょう。

③ 公共料金の引き落とし口座の変更

 ご主人の銀行口座は今後相続手続きを行って解約していく必要があるため、現在ご主人名義の銀行口座から公共料金(電話、水道、電気、ガスなど)を引き落としている場合は、口座を変更する必要があります。
 変更には数ヶ月かかる場合もありますが、その前に口座が凍結されてしまった場合は、ご自宅に払込用紙が届くと思いますので、そちらで支払いが可能です。

④ 生命保険会社への保険金請求

 ご主人や受取人の方の戸籍・住民票などの原本の提出が必要な場合があります。請求する生命保険会社に確認の上、役所手続きの際に戸籍を必要通数分取得されることをお勧めします。

 上記の他、⑤火災保険・地震保険の名義変更、⑥自動車の名義変更、⑦自動車保険の名義変更、⑧携帯電話の解約、⑨クレジットカードの解約、⑩土地建物の名義変更、⑪農地法・森林法の届出、⑫預貯金の解約又は名義変更、⑬準確定申告、⑭相続税申告 などが必要な場合もあります。

 上記は一般的に必要な手続きであり、ご家族の状況・財産の内容・遺言の有無などによって、必要な手続きは異なります。「相続手続き」というと、遺産分割などを思い浮かべる方もいらっしゃると思いますが、遺産分割を行う前の事務手続きもさまざまです。ご不安があれば、一度、当事務所にご相談ください。

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。
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 配偶者居住権等が設定された居住用の土地建物を相続した場合、相続税評価額はどう計算するのでしょうか?

 30年前、父が建売住宅を購入して、そこに家族で住んでいました。弟はすでに独立し、長男である私は結婚後に、この家をリフォームして現在二世帯で暮らしています。
 先月、父が死亡し、これから遺産分割協議をするのですが、母が死亡した後の相続を考えると、この家は母が存命の間に私が相続しておきたいと考えています。とはいえ、母としても何かあったときにこの家から追い出されるのではないかとの懸念もあるようなので、配偶者居住権を設定しておきつつ、建物と土地は私が相続することでどうか、と提案したところ、母から了承を得ました。弟には弟の相続分も考えて伝えたところ、母がいる手前か、概ね了承してくれています。
 この相続によって相続税がいくらかかるのか試算したいのですが、仮に私がこの土地建物を相続した場合、相続税評価額はどうやって計算するのでしょうか?

 まず、建物部分については、建物全体の相続税評価額から配偶者居住権の価額を控除した金額が相続税評価額となります。土地部分も同じく、土地全体の相続税評価額から敷地利用権の価額を控除した金額が相続税評価額となります。なお、土地部分については一定の要件を満たした場合、小規模宅地等の特例の適用を受けることができます。

1.配偶者居住権・敷地利用権とは

 配偶者居住権とは、被相続人の所有する建物に相続開始時点で配偶者が居住していた場合に、相続後も配偶者がそのままその建物に無償で住み続けることができる権利です。
 この配偶者居住権を配偶者が相続等により取得した場合、その配偶者居住権に基づき使用する敷地の権利も付随して、配偶者が相続等により取得したものと考えられています。この配偶者居住権に基づき使用する敷地の権利を、敷地利用権といいます。2.配偶者居住権等が設定された土地建物を相続した場合

 ご相談のケースで、お父様(以下、被相続人)が所有していた居住用の土地建物について、配偶者居住権・敷地利用権(以下、配偶者居住権等)を設定した上で相続した場合の相続税評価額は、それぞれ次の算式により計算します。建物の相続税評価額:建物全体の相続税評価額 ー 配偶者居住権の価額土地の相続税評価額:土地全体の相続税評価額 ー 敷地利用権の価額

 いずれも、まずは配偶者居住権等の価額を計算した上で控除することとなる点にご留意ください。

 なお、土地については、小規模宅地等の特例の要件を満たした場合には、小規模宅地等の特例の適用を受けることができます。その点もあわせてご注意ください。

 配偶者居住権等の評価その他相続に関するご相談は、お気軽に当事務所までお問合せください。

<参考>
 国税庁「「配偶者居住権等の評価に関する質疑応答事例」について(情報)」https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/hyoka/200701/01.htmなど
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