お知らせ

 町に親しまれていた書店が相次いで姿を消していく中、
 TSUTAYAを運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)は、
 書店チェーンとしても最大手となっています。
 図書館を運営したことでも話題になりましたが、
 商業施設の中核テナントとして入るなど独自の戦略で攻勢を強めています。

 また、日本最大規模のポイント会員を誇る「Tポイント」運営会社にもなっており、
 ポイントサービスやコンサルティングサービスの分野でも力を誇っています。
 ここにきて、電子マネーの普及により弱点だった決済サービスを強化するため、
 三井住友フィナンシャルグループの「Vポイント」と統合することが発表されました。
 
 音楽好きの若者や、少ない小遣いで最大限に欲求を満たそうとする学生の支持で、
 レンタルレコード店は街中に一気に広がりました。
 駅前近くの雑居ビルの上部階に店を構え、
 穴場的な雰囲気のスタイルが主流でしたが、
 その一つが、現在のTSUTAYAであったのです。

 サラリーマンをしていた増田宗昭氏が、噂を聞きつけて大阪の枚方市で
 レンタルレコード店をオープンしたのは82年のことでした。
 姉が喫茶店を始めるというので、それなら今流行のレンタルレコード店を
 一緒にしてはどうかと提案したのがきっかけでした。

 オープン当初からの思いもよらない繁盛ぶりに驚いたのは、
 誰より本人の方でした。
 そんな気持ちに酔いしれているのも束の間、
 すぐに不安が頭をよぎります。

 こんなに儲かる商売なら、すぐにみんなが手を出すはずだ、
 今のようなちっぽけな店なら、ライバルが出てきたらひとたまりも無い。
 本気でビジネスをしようと考えた増田氏は会社を辞め、
 今の店から見て、駅の反対側に店を出すことを決意します。

 いざ計画してみると、本格的な店を作るとなると
 6000万円位お金が必要なことがわかります。
 不足する資金は銀行から借りることになるのですが、
 ここで自らの事業計画と資金の返済方法を見つめなおすことになるのです。

 成長の見込みはあるけれども、海のものとも山のものともわからない商売、
 仮に売上がゼロであっても、人件費や家賃の支払いが出来て、
 返済も出来るにはどうしたらいいかを考えます。
 店の立地、周辺の客層、品揃え、販促方法など綿密に調査したのです、
 サラリーマン時代に店舗の開発をしていたことが役に立つことになります。

 その原点には、「売上がゼロでも維持できる体制」と、
 「やってダメならいつでもやめることが出来る会社であること」だと述べています。
 スタートが順調であればあるほど、ずっと右肩上がりが続くと過信して、
 回収の目処も無く事業拡大に投資する経営者が多い中、
 着実に足元を固めることは大切なことです。

 儲かるビジネスであればあるほど、その旨みを嗅ぎ付けて
 続々とライバルが現れてくることは覚悟しないといけません。
 すると、儲けはどんどん減少して、外の商売と変わらなくなってしまうのです、
 事業拡大に投資するには、そこの所を理解しておかないといけません。

 今回は相談事例を通じて、相続した土地の抵当権を抹消するための、清算人の選任申立についてご紹介します。

 今般、父から土地を相続しました。相続登記は完了して私への名義変更は済ませたのですが、祖父がこの土地を所有していた頃に設定された、ある会社が抵当権者となった古い抵当権が残っていました。抵当権の抹消の依頼をするため、その会社の登記事項証明書を取得したところ、登記記録に破産宣告、20年前に破産終結との記載のある消滅した会社でした。
 この抵当権を抹消したいのですが、どうすればよいでしょうか。

 解散、清算結了した会社が抵当権者であり、抵当権抹消の登記義務のみが履行されていない状態の場合は、解散・清算結了した会社に清算人として記載されている者と共同して抵当権抹消登記申請が可能です。しかし、破産終結した会社は代表者がいない状態となっています(※)ので、このような共同での登記申請ができないということになります。
 そのため、会社法に基づいて裁判所に対して当該会社の清算人選任申立をし、裁判所に抵当権抹消の登記義務者として、あなたと共同して登記申請の当事者となる清算人(代表者)の選任決定(会社法478条2項)をしてもらう必要があります。

 その清算人選任申立をすることができるのは、利害関係人に限られていますが、あなたと破産会社は抵当権設定者と抵当権者の関係に立つので、その点において利害関係があり、自ら裁判所へ清算人選任申立ができる、ということになります。なお、申立をする裁判所は、破産会社の本店を管轄する地方裁判所になります。(会社法868条1項)

 裁判所により清算人が選任されれば、抵当権抹消登記申請をする当事者が揃うので、抵当権抹消の合意(や弁済)が破産終結前にあった場合には、抵当権抹消登記申請の手続きに進むこととなります。

 ご注意いただきたいのは、あなたの意向としては、当該申立により選任された清算人と共同して抵当権抹消登記申請をすることとなりますが、当該清算人は会社の代表者として選任され活動するため、必ずしもあなたの意向どおり抹消登記の手続きが進む保証はないということです。例えば、清算人の調査などにより、抵当権の被担保債権が弁済されていないことが判明した場合など、抵当権抹消のために弁済を請求するなどの可能性を否定することはできません。

 このようになる可能性を低減させるため、ご相談のような場合には、お近くの司法書士や弁護士等の専門家へご相談をされることをお薦めします。

(※)取締役は破産により当然取締役の地位を失うのであって、同時破産廃止決定があったからといって、すでに委任関係の終了した従前の取締役が商法417条1項本文(現:会社法478条1項)により、当然清算人となるとは解し難くこのような場合には商法417条2項(現:会社法478条2項)に則り、利害関係人の請求によって裁判所が清算人を選任すべきものである。(最判昭和43・3・15民集22・3・625)

 

 

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 墓地や墓石は生前に購入した方が相続税対策になると聞きました。本当でしょうか?

 先日参加した「相続セミナー」で、墓地や墓石は生前に購入した方が相続税対策になると聞きました。借金をしてまでも購入した方がよいのでしょうか?

 たしかに、墓地や墓石を生前に購入された方が、相続税対策になります。ただし、借金をしてまで購入することは相続税対策になりません。

1.墓地や墓石の相続税評価

 相続開始時に、被相続人(お亡くなりになったご本人)が所有していた一定の財産に対して、相続税が課税されます。

 ただし、被相続人が所有していた財産のうち、墓地や墓石は祭祀財産(※)として、相続税が課税されない“非課税財産”となることから、相続税は課税されません。

 他方、相続開始後に購入する墓地や墓石の費用は、相続税の計算上、財産から控除できる「葬式費用」に該当しません。

 (※)祭祀財産には、墓地や墓石のほか、仏壇、仏具なども該当します。

2.生前の購入(相続税対策)

 生前(相続開始前)に墓地や墓石を購入しておくと、その分相続税が課税される現預金が減り、相続税が課税されない墓地や墓石が増えます。

 一方、相続開始後に墓地や墓石を購入する場合には、墓地や墓石を購入するための現預金に対して相続税が課税され、墓地や墓石を購入する費用は「葬式費用」に該当しないため、課税対象となる財産から控除することができません。

 つまり、相続開始前か後かで、墓地や墓石を購入するための現預金相当について、相続税が課税されるか否かが異なってきます。

3.墓地や墓石購入のための借金

 被相続人が所有していた財産から控除できるものとして、先に述べた「葬式費用」のほか「債務」があります。

 この場合の「債務」とは、被相続人が死亡したときにあった債務で確実と認められるものを指します。

 ただし、この「債務」に、墓地や墓石の未払代金や借金など、非課税財産に紐づく債務は含まれません。

 つまり、相続税の計算上、課税される財産から控除できない借金をつくって、課税されない墓地や墓石を購入することは、相続税対策になりません。ご注意ください。

 相続に関するご相談は、お気軽に当事務所までお問い合わせください。

<参考>
 国税庁HP
No.4108 相続税がかからない財産
No.4129 相続財産から控除できる葬式費用
No.4126 相続財産から控除できる債務

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