墓地や墓石は生前に購入した方が相続税対策になると聞きました。本当でしょうか?
先日参加した「相続セミナー」で、墓地や墓石は生前に購入した方が相続税対策になると聞きました。借金をしてまでも購入した方がよいのでしょうか?
たしかに、墓地や墓石を生前に購入された方が、相続税対策になります。ただし、借金をしてまで購入することは相続税対策になりません。
相続開始時に、被相続人(お亡くなりになったご本人)が所有していた一定の財産に対して、相続税が課税されます。
ただし、被相続人が所有していた財産のうち、墓地や墓石は祭祀財産(※)として、相続税が課税されない“非課税財産”となることから、相続税は課税されません。
他方、相続開始後に購入する墓地や墓石の費用は、相続税の計算上、財産から控除できる「葬式費用」に該当しません。
(※)祭祀財産には、墓地や墓石のほか、仏壇、仏具なども該当します。
生前(相続開始前)に墓地や墓石を購入しておくと、その分相続税が課税される現預金が減り、相続税が課税されない墓地や墓石が増えます。
一方、相続開始後に墓地や墓石を購入する場合には、墓地や墓石を購入するための現預金に対して相続税が課税され、墓地や墓石を購入する費用は「葬式費用」に該当しないため、課税対象となる財産から控除することができません。
つまり、相続開始前か後かで、墓地や墓石を購入するための現預金相当について、相続税が課税されるか否かが異なってきます。
被相続人が所有していた財産から控除できるものとして、先に述べた「葬式費用」のほか「債務」があります。
この場合の「債務」とは、被相続人が死亡したときにあった債務で確実と認められるものを指します。
ただし、この「債務」に、墓地や墓石の未払代金や借金など、非課税財産に紐づく債務は含まれません。
つまり、相続税の計算上、課税される財産から控除できない借金をつくって、課税されない墓地や墓石を購入することは、相続税対策になりません。ご注意ください。
相続に関するご相談は、お気軽に当事務所までお問い合わせください。
<参考>
国税庁HP
「No.4108 相続税がかからない財産」
「No.4129 相続財産から控除できる葬式費用」
「No.4126 相続財産から控除できる債務」