お知らせ

未登記の実家でも使える? 空き家売却の3,000万円特別控除

相続した空き家を売却したとき、「空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除」によって税負担を軽減できる場合があります。今回は、未登記建物でも特例を受けられるのか、そのポイントを解説します。

Q
今月のご相談

 母が亡くなり、築50年以上になる実家を相続しました。私はすでに持ち家に住んでいるため、今後その家を利用する予定はなく、売却を考えています。
 ただ、実家は建物の登記がされていない未登記建物です。老朽化も進んでいるため、建物を解体して更地にしたうえで売却したいと思っています。
 相続した空き家を売却した際に利用できる3,000万円特別控除があると聞きましたが、未登記建物でも適用を受けることはできるのでしょうか。また、どのような点に注意すればよいのでしょうか。

A-1
ワンポイントアドバイス

 空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除は、未登記建物であっても適用を受けられる可能性があります。建物の登記の有無は特例の要件には含まれていません。
 ただし、昭和56年5月31日以前に建築された家屋であることなど、特例の適用要件を満たす必要があります。未登記建物の場合は、建築時期を確認できる資料を準備しておくことが重要です。

A-2
詳細解説
1.空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除とは

 「空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除」は、相続した被相続人の自宅を売却した際、一定の要件を満たすことで譲渡所得から最高3,000万円を控除できる制度です。相続後の空き家の流通促進を目的として設けられています。

 主な適用要件は次のとおりです。

  • 被相続人が一人で居住していた家屋およびその敷地であること。
  • 相続開始日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却すること。
  • 昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること。
  • 現行制度の適用期限である令和9年12月31日までに売却すること。
2.未登記建物でも特例が使える可能性がある

 今回のケースで最も気になるのは、「未登記建物でも特例を受けられるのか」という点でしょう。
 結論からいえば、未登記建物であることだけを理由に特例の対象外になるわけではありません。特例の要件に建物の登記の有無は含まれておらず、その他の適用要件を満たしていれば、特例を受けられる可能性があります。
 ただし、未登記建物の場合は登記簿で建築時期を確認できないため、別の資料によって要件を満たしていることを確認する必要があります。

3.未登記建物で確認しておきたい資料

 この特例では、昭和56年5月31日以前に建築された家屋であることが要件の一つとなっています。未登記建物がこの要件を満たしているかを確認する資料として、次のようなものが挙げられます。

  • 確認済証・検査済証
  • 建築請負契約書
  • 固定資産税課税明細書

 確認済証や検査済証、建築請負契約書は、手元に保管されている場合に建築時期を確認する資料として活用できます。また、固定資産税課税明細書は、毎年送付される「固定資産税・都市計画税納税通知書」に同封されており、建築年などの記載があれば確認資料として活用できる場合があります。

4.特例を受けるための手続き

 特例の適用を受けるためには、確定申告書に一定の書類を添付する必要があります。中でも、「被相続人居住用家屋等確認書」は実家所在地の自治体から交付を受ける必要があるため、実家の売却を検討している場合は、余裕を持って準備しておくことが大切です。

 また、今回のケースでは建物を解体して更地での売却を予定しているとのことですが、この特例は一定の要件のもと、耐震改修を行った建物をそのまま売却する場合にも適用できる可能性があります。売却方法によって税負担や諸費用が異なるため、専門家と相談しながら最終的な手取り額をシミュレーションし、ご自身にとって最適な売却方法を検討しましょう。

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。
 本情報の転載および著作権法に定められた条件以外の複製等を禁じます。
相続で契約者変更をした生命保険の税金

相続により生命保険の契約者を変更した場合、相続税と将来受け取る満期保険金の所得税はどうなるのでしょうか?

Q
今月のご相談

 亡くなった父の相続手続きにあたり書類を整理していたところ、養老保険(契約者=父、被保険者=私)を見つけました。2年後に満期保険金(500万円)が支払われる契約で、保険料は全期前納により父が負担していました。
 保険会社に確認したところ、契約者を父から私へ変更して引き継ぐ手続きが可能とのことで、契約者変更を行いました。この生命保険は父の相続においてどのように扱われるのでしょうか。
 また、私が満期保険金を受け取る際の税金はどうなるのでしょうか。

【契約内容】
  • 保険種類:養老保険
  • 保険金額(死亡・満期):500万円
  • 保険期間:10年(残2年)
  • 保険料払込:全期前納(全額父負担)
  • 契約者:父(引き継ぎ後:私)
  • 被保険者:私
  • 死亡保険金受取人:父(引き継ぎ後:私の配偶者)
  • 満期保険金受取人:父(引き継ぎ後:私)
A-1
ワンポイントアドバイス

 相続開始時点で保険事故(被保険者の死亡)が起きていない場合、当該生命保険は「生命保険契約に関する権利」として相続税の対象になります。また、相談者様が受け取ることとなる満期保険金は、所得税(一時所得)の対象となります。

A-2
詳細解説
1.契約者と被保険者が異なる契約で、契約者が先に死亡した場合

 契約者と被保険者が異なる生命保険において、保険期間中に契約者が死亡した場合、契約者変更を行い、新しい契約者が権利を引き継ぎます。

 今回も、お父様が亡くなった後に相談者様へ契約者変更されているため、相談者様が契約上の権利を引き継いだものとして扱われ、相続税が課されます。

2.引き継いだ生命保険は何として評価される?

 今回のポイントは「保険事故が起きていない」という点です。そのため、相続時点では「死亡保険金」を受け取るのではなく、「生命保険契約に関する権利」として評価されることになります。

(1)評価の考え方

 相続税の評価額は、原則として、契約者が亡くなった時点の解約返戻金の額となります。

(2)加算・控除が入るケース

  • 全期前納で未経過保険料がある場合:解約返戻金に未経過保険料が加算されます
  • 配当金がある場合:配当金も評価額に含められます
  • 源泉徴収されるべき所得税相当額がある場合:その金額は控除されます

(3)死亡保険金の非課税枠は使える?

 死亡保険金の非課税枠(500万円×法定相続人の数)は、被相続人の死亡を保険事故として支払われる死亡保険金(みなし相続財産)に対して適用されます。今回のケースはこれに該当せず本来の財産となるため、死亡保険金の非課税枠は適用できません。

3.満期保険金を受け取る際の税金

 将来において相談者様が受け取る満期保険金は、契約者と満期保険金受取人が同一となるため、所得税(一時所得)の対象になります。

 また一時所得の計算においては、相続で引き継いだ保険であっても、引き継いだ契約者が当初から保険料を負担したものとして扱われます。

4.申告漏れに注意

 契約者が先に亡くなり、保険事故が起きていない段階では、相続税の申告漏れが生ずることがあります。そのため、税務署が情報を把握できる仕組みとして、一定の死亡による契約者変更について、保険会社から税務署へ支払調書を提出することとなっています。

 ご遺族としては、契約者変更や相続時の申告要否などを見落とさないことが重要です。

 相続に関してお悩みの場合は、当事務所までお気軽にお問い合わせください。

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。
 本情報の転載および著作権法に定められた条件以外の複製等を禁じます。
ページトップに戻る