お知らせ

 友人の影響もあって、高校生になってすぐに洋楽に関心を持つようになり、
 私にとって、音楽は欠かせないものとなっています。
 さらに、多くの人と同じように楽器にも手を染めることになりますが、
 デジタル・シンセサイザーが普及する前であり、
 当然、ナマ(アナログ)音が中心で、電子音といえばチッポケな音でした。

 その後、爆発的な勢いでデジタルの波が押し寄せ、
 音楽を演奏する側にも、切り離すことができない存在となりました。
 今では驚くことにスマホのアプリでさえ、サンプリングで取り込んだ、
 ナマ音の音程を調整することや、タイミングのズレを簡単に修正できます。

 まるで、プロが使う機器で操作しているが如く、
 手元の操作だけで、演奏のレベルが上がっていきます。
 こんな事を体験すると、なるほどアイドル・グループや
 Kポップ・グループの歌のレベルが高い理由も納得できてしまいます。

 シンセサイザーをはじめとするデジタル楽器が、このように普及したのは、
 統一した規格が決まっているからです。
 2013年のグラミー賞では、「MIDI」という演奏情報を伝送する規格を定め、
 音楽産業の発展に貢献として、音楽機器メーカーのローランドの創業者
 梯 郁太郎氏にテクニカル賞が与えられています。

 ローランドは、音楽好きであった梯氏が、自身の夢を叶えるため、
 楽器作りをはじめたことが、その始まりになります。
 若くして結核を患い長い療養生活の後、職探しをしたものの見つからず、
 諦めて自ら電気製品の小売店を開くことにしました。

 ある時、電子オルガンに興味を惹かれ、仕組みを調べてみると、
 案外、簡単に作れそうに思えてきました。
 「電気屋は楽器のことがわからない、逆に楽器屋は電気の事を知らない」
 このことを解消できれば、大きなビジネスに結びつくかも知れない。

 そう思うと、居ても立ってもいられない気持ちに駆り立てられ、
 日本で最初の電子オルガンを送り出したい願望がふつふつと湧いてきました。
 資本を仰ぐため共同で会社を設立して、電子オルガンの製造を始めますが、
 新しい製品であるだけに取引が少なく、苦しい経営を強いられることになります。

 暫くして、需要のあるギターアンプに製造を切り替えたところ、
 折からのグループサウンズのブームにより、
 若者の間にはエレキギターが大流行します。
 当然の事ながら、ギターアンプも飛ぶように売れ、
 事業は一気に拡大することになるのです。

 しかし、共同経営者との意見の食い違いから、この会社を飛び出し、
 新しくローランドを立ち上げて、再出発をすることになるのです。
 いちから出直しのため、
 ギターアンプやリズム楽器を手がける事からはじめます。

 売り先も作り方もわかってはいましたが、お金が無いため派手な営業はできず、
 現金取引の約束で値引き販売しコツコツと事業の足元を固めていったのです。
 しかも、自転車操業が続く中、2年目にはシンセサイザーを完成させ、
 5年後には世界に先駆けギターシンセサイザーを世に送り出したのです。

 「名職人は、良い経営者になれず」
 経営とは、妥協なくして成り立つことはありえません。
 作品(仕事)の出来具合に固執するあまり、
 妥協することを拒むと経営としては立ち行かなくなります。

 経営が上手くいっていないと思ったときは、
 あっさりと売れている形を取り入れることが一番の方法です。
 「人よりいい物を売りたい」「人と違ったものを売りたい」
 そんな気持ちは、一旦抑えて素直に「買って貰う」ことに徹しましょう。

事業用定期借地権の借地期間延長契約について

相続した賃貸用事業用地について、借主から借地期間延長の申出がありました。この延長について公正証書による契約を求められたのですが、必要なのでしょうか?

Q
今月のご相談

 事業用地として賃貸している土地を相続しました。借主より借地期間の満了が近づいているため、改めて公正証書を作成し借地期間を20年延ばしてほしいとの要望を受けました。当事者間で延長の合意ができたとしても、改めて公正証書での契約が必要なのでしょうか。

A-1
ワンポイントアドバイス

 ご相談のケースは事業用定期借地権に該当し、これには更新という概念がありません。借地期間を20年延ばすためには、改めて公正証書での契約が必要となります。

A-2
詳細解説
1.公正証書とは

 公正証書とは、契約を成立させるため等一定の事項について、公証人が公証役場で作成する公文書をいい、賃貸契約書等のような私文書に比べ、証明力や執行力が優れているという特徴があります。

 ご相談のケースは事業用定期借地権に該当しますが、この契約は借地借家法に基づき、必ず公正証書によって作成することが義務付けられています。

 また、この事業用定期借地権は、更新という概念がなく、契約期間の満了時に借地関係を終了させることを前提とした契約としているため、借主の要望に応えるためには、改めて公正証書での契約が必要となります。

2.なぜ公正証書で作成するのか

 公正証書で作成する目的は、一定の事項を公証人に証明してもらうことで、当事者間の法律紛争を未然に防ぎ、契約内容の明確化・安定化を図ることにあります。

 公証人は、判事や検事等の法律関係の仕事に長年従事していた人の中から法務大臣により任命されます。また、公証人により作成された公正証書の原本は、原則として公証役場で20年間(特別の事由により追加保存の必要がある場合は、その事由のある間)保管されるため、紛失や盗難、改ざん等の心配はありません。なお、貸主借主には、正本または謄本が交付されます。

 公正証書は、公的機関により作成された書面であるため、仮に裁判となった場合、証明力のある証拠書類として提出することができます。また、公正証書にあらかじめ強制執行認諾の内容を盛り込むことで、賃料の滞納が数ヶ月継続して発生した場合、裁判等の手続きを経ず強制執行が可能となります。

3.定期借地権とは

 定期借地権には、事業用定期借地権の他に、一般定期借地権、建物譲渡特約付借地権がありますが、借地借家法で必ず公正証書での契約が義務付けられているのは、事業用定期借地権のみとなります。

 公正証書で契約せず私文書での合意のみの場合、事業用定期借地権の効力は無効となり、普通借地権が設定された契約として取り扱われる可能性があります。

 仮に、普通借地権として取り扱われた場合、契約の終了後も正当な事由がない限り更新は可能となります。期限付きの賃貸借ではなくなってしまうことにもなり兼ねないため、注意し認識しておくことが大切です。

4.契約時の注意事項

 公正証書での契約にあたり注意すべき主な事項として、事業用定期借地権は契約期間が長期(10年以上50年未満)となりますが、貸主からの中途解約は認められていないこと、また、期間内に借主が破綻する等の懸念があることから、経済的な与信を改めて事前に行う必要があることが挙げられます。今回のご相談のケースでは、20年間の延長となるため、その期間内に問題が生じないかどうかの検討が必要となります。

 さらに、敷金の返還義務が相続人に移ることを想定しておくことも必要となります。敷金は、賃料の6ヶ月程度とする場合が多く高額となるため、相続人が敷金を返還できなくなるというリスクが生じる恐れがあります。

 恐らくご相談者様は、相続により、当該事業用地とともに敷金も相続によって取得しているものと思われます。敷金は預かり金であることを認識し、契約の終了時期に関わらず、すぐに敷金が返還できるようにしておく必要があります。仮に敷金を相続していない、あるいは返還すべき敷金に満たない額しか相続していなければ、返還相当額の資金を何らかの方法によって確保しておく必要があるでしょう。

 この他、契約にあたっては、賃料や契約期間等だけでなく、中途解約、原状回復義務、損害金等について、貸主に不利な事項はないか、契約内容が許容できるリスクの範囲内であるか等に留意する必要があります。今回の借地期間の延長に際して、従来の契約内容と照らし合わせながら、内容に問題がないか確認するとよいでしょう。

 これらの注意事項等を考慮した上で、的確なアドバイスをしてくれる不動産会社もありますので、一度相談されるのも有用です。公正証書による契約でお悩みの場合は、当事務所までお気軽にご相談ください。

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。
 本情報の転載および著作権法に定められた条件以外の複製等を禁じます。
生命保険の受取人は誰でもいいの?

生命保険の死亡保険金について、受取人は誰でも自由に指定できるのでしょうか?

Q
今月のご相談

 生命保険の契約を考えています。
 死亡保険金の受取人を妻や子以外に指定したいのですが、可能でしょうか?

A-1
ワンポイントアドバイス

 生命保険の死亡保険金の受取人は、通常、戸籍上の配偶者、2親等内の親族又は血族の範囲内とされていますが、保険会社によっては個別事情の詳細を報告することで、内縁関係者や婚約者、その他一定の者を指定できる場合もあります。

A-2
詳細解説
1.受取人の指定と変更

 保険会社の多くは、生命保険の死亡保険金の受取人の範囲として、「被保険者の戸籍上の配偶者および2親等内の親族(血族)」と定めています。ただし、保険会社によっては個別事情の詳細を報告することで、内縁関係にある者、婚約者、共同経営者など一定の者の指定を認める場合もあります。

 今回のご相談のように、通常の範囲外の者を死亡保険金の受取人として指定したい場合は、まず個別にご契約の保険会社に確認するとよいでしょう。
 また、同一契約で2人以上を受取人に指定することもできます。その場合、受取割合は契約者が指定します。

 なお、受取人の指定は契約申込み時に契約者が行いますが、契約後も保険期間中であれば、原則として、被保険者の同意を得て途中で変更することが可能です。

2.税務上の取扱い

 ご契約の形態によって税務上の取扱いは異なります。
 ここでは、契約者=保険料負担者=被保険者=被相続人の契約において、死亡保険金受取人が誰かによって、相続税の計算上の取扱いが異なる点をご紹介します。

(1)死亡保険金受取人が戸籍上の配偶者や子など法定相続人の場合

 受け取った死亡保険金は、相続税の計算上、みなし相続財産として課税の対象となります。また、生命保険金の非課税制度(「500万円×法定相続人の数」を上限に相続税を非課税とする制度)を適用することができますので、上手く設計することでみなし相続財産として課税される金額を低く抑えることが可能です。

(2)死亡保険金受取人が(1)以外の者である場合

 受け取った死亡保険金は、相続税の計算上、みなし相続財産として課税の対象となります。ただし、生命保険金の非課税制度は適用することができず、全額が課税の対象となりますのでご注意ください。

 保険期間中、指定した受取人が死亡した場合や、氏名が変わった場合は、各社所定の変更手続きが必要ですが、契約者や被保険者の変更と比べ手続き漏れが多いようです。定期的に受取人が誰になっているか確認することはもちろん、環境の変化によって受取人を変更した方がよいこともあり得ます。状況に応じて、保障の見直しとともに適切な受取人を検討しましょう。

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。
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 昔から、からだに良い野菜として重宝されているトマト、
 生活習慣病などに効果があるとして紹介されたこともあり、
 通常品に比べ何倍もする高級なものも店頭に並ぶようになり、
 トマトブームが過熱することにもなりました。

 その効果の中心として働いているのが「リコピン」という成分、
 活性酸素を除去して、がんや老化を防いでくれるというのです。
 食料品メーカー大手のカゴメでは、トマト等の自家栽培に取組み、
 高リコピンや中型サイズなど機能性の高いトマトの販売に力を入れています。

 もともと同社は、創業者 蟹江一太郎氏が西洋野菜に目を付け、
 玉ねぎ、キャベツ、レタス、パセリなどの栽培に着手し、
 儲けられる作物として、副業として取り組んだことに始まります。

 ところが、トマトは匂いや味が、日本人の舌にまったく合わず、
 作っても売れずに捨ててしまう日が続きました。
 たまたま紹介された、輸入品のトマトピューレがきっかけで、
 トマトを加工すれば商品化できることに気づき、
 輸入食品店経由での販売を始めることになります。

 そして、トマトの加工は順調に進み、
 ウースターソースやトマトケチャップへ手を広げていきます。
 蟹江氏は、トマト加工の比重が高くなってきても、
 農閑期を補う副業としての位置づけをなかなか変えませんでした。

 農家の副業から、近代的な工場への変換したのは、
 トマトの栽培に着手して23年後の事だったのです。
 蟹江氏の経営は、ひとことで言えば「危なげない経営」といえるでしょう。

 事業が拡大していっても、むやみに設備投資せず、
 地元の農家と共同栽培し原料を確保する一方、
 万が一のリスクに備えたのです。

 トマトの加工は、農業の遊休時間を生かしてする、
 副業的なものとして、利益の拡大より、
 農業経営の安定に重点を置きました。

 その後、生産過剰による価格の暴落の経験から、
 同業者が集まって共同経営の形態を採るのですが、
 それは無用の競争を避けるためでした。

 一過性の流行に流されることなく事業を続けて行くには、
 事業の拡大への取り組みは避けて通ることはできません。
 しかし、新しい事は失敗の確率が高いものです、たとえ事業が失敗しても、
 大やけどをしないための体制が必要になります。

 新規事業をする場合、拡大の目安となるのが、
 繁閑の差のバランスが取れる規模になっているかということです。
 そのためには、閑散期に埋め合わせする副業を作っておくことが大切で、
 ピーク期との受注の差が少なくなるほど安定経営が可能になります。

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