不動産小口化商品を勧められましたが、相続税対策になるのでしょうか?
付き合いのある金融機関から、相続税対策になるからと、不動産小口化商品を勧められました。本当に、相続税対策になるのでしょうか?
恐らく、賃貸用不動産として評価する不動産小口化商品を勧められたのだと思われます。これを前提にしますと、現行においては、相続税対策になる可能性は高いものと考えます。ただし、今後は不明です。詳細解説にてご確認ください。
不動産投資は多額な資金が必要で、一投資家のみで投資するには難しい場面があります。そこで、持分を分割(小口化)することで、投資しやすい商品として取引が可能となります。このような仕組みを利用した金融商品を、不動産小口化商品といいます。
不動産小口化商品の主な種類は、次のとおりです。
| 任意組合型 | 投資家同士で組合を作り、不動産を共同で所有・運用。投資家は組合員として所有権を持つ。 |
| 匿名組合型 | 投資家は事業者に出資し、運用益の分配を受け取るが、不動産自体の所有権は持たない。 |
| 信託受益権型 | 投資家は信託の受益権の所有者として、収益の分配を受け取る。 |
| 賃貸型 | 投資家が小口化された不動産の一部を所有し、賃貸収入を得る。 |
それぞれに特徴はありますが、ここでは相続や贈与時の評価について言及しますと、賃貸用不動産として相続税評価額となるのは、任意組合型、信託受益権型、賃貸型です。
公表されている資料(※)にある、不動産小口化商品の贈与により相続税対策を行った事例をご紹介します。

この事例では、3,000万円で購入した不動産小口化商品を、480万円の評価額で孫に贈与し、孫は贈与税額として49万円を納付。贈与の翌年に、取得価額とほぼ同額で孫が売却したものです。
単に3,000万円の現金を孫に贈与した場合の贈与税額は、1,195万円です。これを49万円まで圧縮したうえで、実質現金3,000万円相当額を孫に贈与できた、という結果となりました。
評価額をここまで引き下げられたのは、信託受益権を賃貸用不動産として評価(=相続税評価額)したためです。
賃貸用不動産の相続税評価額は、借家人の支配権による利用の制約等を考慮して評価するため、評価額が低くなる傾向にあります。
そのため、市場価格と相続税評価額のかい離が、この事例のように大きくなる場合があります。
この資料は、国税庁による「財産評価を巡る諸問題」と題した説明資料の一部です。
同資料には、上記以外の不動産小口化商品の贈与事例も掲載されています。いずれも78~84%程度評価が下がっていました。不動産小口化商品の取得価額が高ければ高いほど、その影響額は大きくなります。
このように現行では、上手く利用することで相続税対策につながります。ただし問題とされた場合には、個別対応とする課税処分が行われる可能性もあります。また、今回この資料が公表されたことで、国税庁が問題視していることが明らかとなり、改正の可能性が考えられる点にもご留意ください。
なお、不動産小口化商品は、その商品自体のリスクもあります。投資の検討は慎重に行いましょう。
<参考>
(※)内閣府HP「第4回 経済社会のデジタル化への対応と納税環境整備に関する専門家会合(2025年11月13日)資料一覧 【デ4ー3】国税庁説明資料(財産評価を巡る諸問題)」など
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2024年4月1日より、相続人は、不動産(土地・建物)を相続で取得したことを知った日から3年以内に、相続登記をしなければならなくなりました。これは法律で義務化されたため、一般的に「相続登記の義務化」といわれています。
生命保険の死亡保険金受取人は、生命保険の契約申込時に契約者が指定します。
実務上、遺言能力の有無が争われた場合には、医学的診断結果、遺言内容の複雑性、動機の合理性、作成の経緯などが総合的に評価されます。たとえば、同居している子に不動産を相続させたいという動機は生活実態に即しており合理性が認められやすく、内容も単純であれば、遺言能力が肯定される可能性は高まります。
相続税の申告は、相続の開始があったことを知った日(通常は亡くなった日)の翌日から10ヶ月以内に行います。また、申告期限=納期限ですので、相続税の納付も10ヶ月以内にしなければなりません。
公正証書とは、契約を成立させるため等一定の事項について、公証人が公証役場で作成する公文書をいい、賃貸契約書等のような私文書に比べ、証明力や執行力が優れているという特徴があります。
保険会社の多くは、生命保険の死亡保険金の受取人の範囲として、「被保険者の戸籍上の配偶者および2親等内の親族(血族)」と定めています。ただし、保険会社によっては個別事情の詳細を報告することで、内縁関係にある者、婚約者、共同経営者など一定の者の指定を認める場合もあります。



