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未登記の実家でも使える? 空き家売却の3,000万円特別控除

相続した空き家を売却したとき、「空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除」によって税負担を軽減できる場合があります。今回は、未登記建物でも特例を受けられるのか、そのポイントを解説します。

Q
今月のご相談

 母が亡くなり、築50年以上になる実家を相続しました。私はすでに持ち家に住んでいるため、今後その家を利用する予定はなく、売却を考えています。
 ただ、実家は建物の登記がされていない未登記建物です。老朽化も進んでいるため、建物を解体して更地にしたうえで売却したいと思っています。
 相続した空き家を売却した際に利用できる3,000万円特別控除があると聞きましたが、未登記建物でも適用を受けることはできるのでしょうか。また、どのような点に注意すればよいのでしょうか。

A-1
ワンポイントアドバイス

 空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除は、未登記建物であっても適用を受けられる可能性があります。建物の登記の有無は特例の要件には含まれていません。
 ただし、昭和56年5月31日以前に建築された家屋であることなど、特例の適用要件を満たす必要があります。未登記建物の場合は、建築時期を確認できる資料を準備しておくことが重要です。

A-2
詳細解説
1.空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除とは

 「空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除」は、相続した被相続人の自宅を売却した際、一定の要件を満たすことで譲渡所得から最高3,000万円を控除できる制度です。相続後の空き家の流通促進を目的として設けられています。

 主な適用要件は次のとおりです。

  • 被相続人が一人で居住していた家屋およびその敷地であること。
  • 相続開始日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却すること。
  • 昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること。
  • 現行制度の適用期限である令和9年12月31日までに売却すること。
2.未登記建物でも特例が使える可能性がある

 今回のケースで最も気になるのは、「未登記建物でも特例を受けられるのか」という点でしょう。
 結論からいえば、未登記建物であることだけを理由に特例の対象外になるわけではありません。特例の要件に建物の登記の有無は含まれておらず、その他の適用要件を満たしていれば、特例を受けられる可能性があります。
 ただし、未登記建物の場合は登記簿で建築時期を確認できないため、別の資料によって要件を満たしていることを確認する必要があります。

3.未登記建物で確認しておきたい資料

 この特例では、昭和56年5月31日以前に建築された家屋であることが要件の一つとなっています。未登記建物がこの要件を満たしているかを確認する資料として、次のようなものが挙げられます。

  • 確認済証・検査済証
  • 建築請負契約書
  • 固定資産税課税明細書

 確認済証や検査済証、建築請負契約書は、手元に保管されている場合に建築時期を確認する資料として活用できます。また、固定資産税課税明細書は、毎年送付される「固定資産税・都市計画税納税通知書」に同封されており、建築年などの記載があれば確認資料として活用できる場合があります。

4.特例を受けるための手続き

 特例の適用を受けるためには、確定申告書に一定の書類を添付する必要があります。中でも、「被相続人居住用家屋等確認書」は実家所在地の自治体から交付を受ける必要があるため、実家の売却を検討している場合は、余裕を持って準備しておくことが大切です。

 また、今回のケースでは建物を解体して更地での売却を予定しているとのことですが、この特例は一定の要件のもと、耐震改修を行った建物をそのまま売却する場合にも適用できる可能性があります。売却方法によって税負担や諸費用が異なるため、専門家と相談しながら最終的な手取り額をシミュレーションし、ご自身にとって最適な売却方法を検討しましょう。

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相続で契約者変更をした生命保険の税金

相続により生命保険の契約者を変更した場合、相続税と将来受け取る満期保険金の所得税はどうなるのでしょうか?

Q
今月のご相談

 亡くなった父の相続手続きにあたり書類を整理していたところ、養老保険(契約者=父、被保険者=私)を見つけました。2年後に満期保険金(500万円)が支払われる契約で、保険料は全期前納により父が負担していました。
 保険会社に確認したところ、契約者を父から私へ変更して引き継ぐ手続きが可能とのことで、契約者変更を行いました。この生命保険は父の相続においてどのように扱われるのでしょうか。
 また、私が満期保険金を受け取る際の税金はどうなるのでしょうか。

【契約内容】
  • 保険種類:養老保険
  • 保険金額(死亡・満期):500万円
  • 保険期間:10年(残2年)
  • 保険料払込:全期前納(全額父負担)
  • 契約者:父(引き継ぎ後:私)
  • 被保険者:私
  • 死亡保険金受取人:父(引き継ぎ後:私の配偶者)
  • 満期保険金受取人:父(引き継ぎ後:私)
A-1
ワンポイントアドバイス

 相続開始時点で保険事故(被保険者の死亡)が起きていない場合、当該生命保険は「生命保険契約に関する権利」として相続税の対象になります。また、相談者様が受け取ることとなる満期保険金は、所得税(一時所得)の対象となります。

A-2
詳細解説
1.契約者と被保険者が異なる契約で、契約者が先に死亡した場合

 契約者と被保険者が異なる生命保険において、保険期間中に契約者が死亡した場合、契約者変更を行い、新しい契約者が権利を引き継ぎます。

 今回も、お父様が亡くなった後に相談者様へ契約者変更されているため、相談者様が契約上の権利を引き継いだものとして扱われ、相続税が課されます。

2.引き継いだ生命保険は何として評価される?

 今回のポイントは「保険事故が起きていない」という点です。そのため、相続時点では「死亡保険金」を受け取るのではなく、「生命保険契約に関する権利」として評価されることになります。

(1)評価の考え方

 相続税の評価額は、原則として、契約者が亡くなった時点の解約返戻金の額となります。

(2)加算・控除が入るケース

  • 全期前納で未経過保険料がある場合:解約返戻金に未経過保険料が加算されます
  • 配当金がある場合:配当金も評価額に含められます
  • 源泉徴収されるべき所得税相当額がある場合:その金額は控除されます

(3)死亡保険金の非課税枠は使える?

 死亡保険金の非課税枠(500万円×法定相続人の数)は、被相続人の死亡を保険事故として支払われる死亡保険金(みなし相続財産)に対して適用されます。今回のケースはこれに該当せず本来の財産となるため、死亡保険金の非課税枠は適用できません。

3.満期保険金を受け取る際の税金

 将来において相談者様が受け取る満期保険金は、契約者と満期保険金受取人が同一となるため、所得税(一時所得)の対象になります。

 また一時所得の計算においては、相続で引き継いだ保険であっても、引き継いだ契約者が当初から保険料を負担したものとして扱われます。

4.申告漏れに注意

 契約者が先に亡くなり、保険事故が起きていない段階では、相続税の申告漏れが生ずることがあります。そのため、税務署が情報を把握できる仕組みとして、一定の死亡による契約者変更について、保険会社から税務署へ支払調書を提出することとなっています。

 ご遺族としては、契約者変更や相続時の申告要否などを見落とさないことが重要です。

 相続に関してお悩みの場合は、当事務所までお気軽にお問い合わせください。

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 素人考えながら…
 ピアノを演奏するだけなら、ある程度の技術を持った奏者は、
 鍵盤を見なくても演奏を出来るように思います。
 実際、プロが演奏している姿を見ても、
 ノッテいる時は、目を瞑り、斜め上の方向に頭を向けています。

 でも、練習の時は違いますね、
 初めての曲を覚えるには、音符や演奏方法を記録するものが無いと困ります。
 クラシックのピアノ曲のように、
 音符が楽譜一面に書かれているようなものを見ると、
 どうやって覚えるのかと、心配になります。

 ポップスの世界では、レイ・チャールズやスティービー・ワンダーが、
 黒人、盲目というハンディを乗り越えて、
 胸を打つ素晴らしい曲を提供してくれます。
 当然ながら、楽譜は読めないだろうし、
 音符のような記号を覚えようともしてないと思うのです。

 ハモンド・オルガンをジャズに取り入れた第一人者、
 ジミー・スミスも楽譜は読めなかったそうです。
 高度な技術を要するアドリブを習得するには、
 楽譜が無いと困るだろうと思うのですが。
 卓越した音感で、微妙な調性を読み取り、
 独自の演奏方法まで編み出したのです。

 ハモンド・オルガンは、もともと前線の軍隊での礼拝用に
 パイプ・オルガンの代わりに作られたのが始まりだったのですが、
 アメリカでは高価なパイプ・オルガンの代わりとして
 教会に広まっていきました。

 当時、壮大、荘厳な音のパイプ・オルガンは、
 日本での製作は不可能とされていました。
 山葉寅楠氏は、リード・オルガンの修理を依頼されたことが
 きっかけとなりオルガンの試作研究を始めます。
 
 現在のように豊富な情報の無い時代にもかかわらず、
 その後もピアノをはじめ数々の楽器製造に取り組み、
 その追求心は後に日本最初のパイプ・オルガンを
 生み出すことになるのです。
 この山葉氏が設立した「山葉風琴製造所」が「ヤマハ」の出発点となります。

 当時、輸入楽器は高価で一般家庭には手が出せなかったため、
 国内には競争相手がなく、輸入業者は「ぬるま湯経営」となっていました。
 その隙を狙い、「ヤマハ」はハーモニカ、木琴などの製造にも乗り出し、
 事業をどんどん拡大していったのです。

 慣れというのは怖いものです。
 学校に限らず社員教育の現場でも、即効性を重視して、
 合理的に考えつくされたツールやマニュアルが幅を利かせています。
 いつの間にか、そんな事にも慣れてしまって
 私たちは違和感を無くなしているようです。

 でも、時にはそういったものを白紙にして、
 素朴に、人間の感性を生かす様にしてみるのは如何ですか。
 近頃、ビジネスの現場に見られる煮詰まり感が打開されて、
 (自社にとって…)奇跡が生まれるかも知れません。

自筆証書遺言書保管制度

今回は相談事例を通じて、自筆証書遺言書保管制度について、ご紹介します。

Q
今月のご相談

 自身の相続を考え、自分で遺言書を書いてみましたが、紛失や内容の改ざんが心配になりました。自分で書いた遺言書を法務局で保管できる制度があると聞いたのですが、どのような制度でしょうか。

A-1
ワンポイントアドバイス

 ご相談の制度は「自筆証書遺言書保管制度」です。遺言書の紛失や改ざん等を防げるほか、相続開始後の検認手続きが不要になることが大きな特徴です。この制度を利用するには申請が必要となります。詳しい手続きの流れは詳細解説をご確認ください。

A-2
詳細解説
1.自筆証書遺言書保管制度とは

 自筆証書遺言書保管制度とは、自分で作成した遺言書(以下、自筆証書遺言に係る遺言書を指す)を法務局に保管できる制度です。この制度の主なメリット、注意点は次のとおりです。

【メリット】

  • 遺言書は、原本に加え、画像データとしても長期間適正に管理されます。(原本:遺言者死亡後50年間、画像データ:同150年間)
  • そのため、遺言書の紛失・亡失のおそれがなく、相続人等の利害関係者による遺言書の破棄、隠匿、改ざん等を防ぐことができます。
  • 保管申請の際に法務局で遺言書の形式面のチェックを受けられるので、形式不備によって遺言書が無効になることを未然に防ぐことができます。
  • この制度を利用すると検認手続きが不要となり、相続手続きがスムーズに進みます。
  • 公正証書遺言の作成に比べて費用が安いです。

【注意点】

  • 形式面のチェックは、保管申請の際に遺言が有効なのかを保証するものではありません。
  • 遺言の内容に関する相談や助言は受けられません。
  • 相続開始後、相続人の方が遺言の内容を確認する場合には、遺言者の出生から死亡までの戸籍謄本や相続人全員の戸籍謄本、住民票の写しが必要です。
2.保管申請の流れ

 この制度を利用するには、遺言書の保管申請が必要です。
 遺言書の作成から保管申請までの一連の流れは次のとおりです。

(1)自分で遺言書を作成する

 遺言書は民法で定められた要件と、この制度で求められる様式の両方を満たす必要があります。

【民法上の要件】

 遺言書の全文、遺言の作成日付及び遺言者氏名を、必ず遺言者が自書し、押印します。
 遺言の作成日付は、日付が特定できるよう正確に記載します。
 また、本制度においては、以下の様式のルールを守る必要があります。

  1. ① A4サイズ、模様、彩色等がないもの
  2. ② 上部5mm、下部10mm、左20mm、右5mmの余白を確保する
  3. ③ 片面のみの記載
  4. ④ ページ番号を余白内に記載する(総ページ数も分かるように)
  5. ⑤ ホチキス等で綴じず、すべてのページをバラバラのまま提出する

(2)遺言書保管所を決める

 全国どこでも受け付けてもらえるのではなく、

  1. ① 自分の住所地
  2. ② 自分の本籍地
  3. ③ 自分の所有する不動産の所在地

のいずれかを管轄する法務局内の遺言書保管所に保管の申請をすることができます。

(3)遺言書の保管申請書を作成する

 申請書は法務省のホームページからダウンロードすることができます。

(4)遺言書保管所(法務局)の予約を取る

 予約は専用のウェブサイト、電話、または窓口で行います。

(5)法務局に出向き、保管の申請をする

 遺言者ご本人が法務局に出向く必要があります。申請には以下の書類が必要です。

  1. ① 遺言書
  2. ② 保管申請書
  3. ③ 住民票の写し等
  4. ④ 顔写真付きの身分証明書
  5. ⑤ 手数料

(6)保管証を受け取る

 保管証には、遺言者の氏名、生年月日、保管した遺言書保管所の名称及び保管した遺言書を特定するための保管番号が記載されます。保管番号は、遺言書の閲覧や保管の撤回等を行う際に使用します。なお、保管証は再発行することはできません。

 なお、パソコンやスマートフォンで作成した遺言書を法務局に保管できる「保管証書遺言(デジタル遺言)」制度の法改正が2026年6月17日に可決・成立しました。実際の運用開始は、公布日から3年以内とされており、2029年6月までに開始される予定です。こちらの制度も自筆証書遺言書保管制度と同じように相続発生後の検認手続きも不要となることが予定されています。どのような形であれ、ご自身の遺志を伝える最後の手段として遺言書は重要です。

 遺言書について関心がある方、内容等について不明点やご不安がある場合は、弁護士・司法書士・行政書士などの専門家にご相談されることをおすすめします。

[参考]
 法務省HP「自筆証書遺言書保管制度

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空き地は貸した方が相続税対策になる?

利用していない土地の活用を検討する際、相続税対策を期待する方も少なくありません。土地の貸付けによって評価額が下がる場合もありますが、節税効果だけで判断するのは注意が必要です。

Q
今月のご相談

 土地は、空き地のまま持っているよりも、貸し付けた方が相続税が安くなると聞きました。
 私は先祖代々の土地を受け継いでいますが、一部に利用していない空き地があります。
 相続税対策になるのであれば土地活用も検討したいのですが、本当に貸し付けた方が有利なのでしょうか。

A-1
ワンポイントアドバイス

 土地を貸し付けると、借主の権利による利用制限が評価額に反映されるため、空き地のまま所有するより相続税評価額が低くなることがあります。ただし、節税効果だけで判断せず、収益性や管理負担も含めて検討することが大切です。

A-2
詳細解説
1.貸している土地はなぜ相続税が安くなるのか

 相続税では、土地は自由に利用できることを前提に評価されます。

 ところが、土地を他人に貸している場合は、借主の権利があるため所有者であっても自由に使うことができません。そのため、土地の利用形態によっては、借主の権利による利用制限が評価額に反映され、空き地や更地として所有している土地よりも評価額が低くなることがあります。

 例えば、アパートやマンションを建築して賃貸している場合、その敷地は「貸家建付地」として評価され、一定の評価減が認められます。その結果、更地のまま所有している場合に比べて相続税評価額を抑えられることがあります。

 ただし、土地の利用方法によって評価への影響は異なるため、土地を貸しているからといって必ず大きな節税効果が得られるとは限りません。

2.駆け込みの土地活用には注意

 こうした評価減の仕組みを利用した相続税対策も広く行われてきました。しかし、行き過ぎた節税策も見られたことから、近年は不動産の相続税評価に関する制度の見直しが進められています。

 直近では、令和8年度税制改正により、貸付用不動産を活用した相続税対策について見直しが行われており、駆け込み的な対策は行いにくくなっています。

3.土地活用は相続税だけで判断しない

 相続税評価額が下がるからといって、すべての空き地を貸し出すべきとは限りません。

 例えば、

  • 借り手が見つからない
  • 賃料収入が期待どおりに得られない
  • 管理や維持の手間がかかる
  • 将来の売却や活用がしにくくなる

といったデメリットもあります。

 また、アパート経営などで借入れを行った場合には、空室が続くことで返済負担が重くなる可能性もあります。

 土地活用による節税効果は、立地や利用方法によって大きく異なります。空き地の活用を検討する際は、不動産会社だけでなく、相続税に詳しい税理士にも相談し、収益性と節税効果の両面から検討することをおすすめします。

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2026年8月4日

夏季休業日のご案内

弊事務所では、下記期間を休業とさせて頂きますのでご案内いたします。

休業期間中は何かとご不便をお掛けすることと存じますが、
何卒よろしくお願い申し上げます。

■夏季休業日 8月11日(火)~8月16日(日)

 梅雨明け宣言が出された途端に、夏本場となった日本列島。
 各地で猛暑日となり、暑さと反比例して食欲は落ちるばかりで、
 温かいものに箸が進まない方も多いのではないでしょうか。

 こういった時は、冷たい麺類でツルツルといきたいものです。
 近畿圏では、夏の定番といえば「そうめん」が一番に挙げられるところですが、
 困ったことに、めんつゆで食べることがほとんどで、
 他の麺類に比べレパートリーの幅が狭いことが弱点でした。

 食品メーカーの味の素では、販売する「丸鶏がらスープ」や
 「コンソメスープ」を使ったレシピを紹介しています。
 冷えたスープをかけた素麺に、野菜や玉子などのトッピングをのせ、
 栄養不足を補うこともでき夏バテを防止しましょう。

 味の素は二人の理念が合致して生まれた新しい商品です。
 うまみ成分を発見した池田菊苗博士の、
 「単なる科学の発見ではなく、世の中に役に立つようにしたい」
 鈴木三郎助氏の「国民の栄養不良を矯救し、日本人の体位向上に貢献したい」
 という思いから出発しました。

 ヨード製品の製造を手がけていた実業家、鈴木三郎助氏のもとに、
 昆布から抽出したうまみ成分による事業化の話が持ち込まれました。
 しかし、今までに無い未知の製品であることに加えて、
 商品化までに多額の研究費用と販売経費がかかることが予想されました。

 米などの投機相場から足を洗い、ヨード製造の事業も軌道に乗り、
 順調に事が運んでいた最中だったのです。
 新しい事業に手を出し、積み上げてきたものが無くなる不安が頭をよぎります。
 加えて、事業化するにはいくつか解決しなければならない問題があったのです。

 製造については、昆布から抽出されるうまみ成分のグルタミン酸はわずかでしたが、
 小麦タンパクには多くのグルタミン酸が含まれることがわかり。
 原料に小麦粉を使うことによって、
 安くて大量生産できることが可能になったのです。

 商品化するとなれば、グルタミン酸ナトリウムが調味料として
 一般大衆に受け入れられるのかどうかが大切です。
 東京にある有名な料理店に頼んで試用してもらったり、試食会を開いてみます。
 何より、連載小説『食道楽』の作者で食通として名高い、
 村井弦斎がこの調味料を高く評価したことが大きな自信に繋がります。

 販売を開始してからも、最初は全く売れませんでした。
 当時の製品は不純物をとりきれず、色や匂いも良いとは言えなかったのです。
 そのうち、「原料に蛇が使われている」というデマが流されることもあり、
 順調に売上が伸びるまでには、大変苦労したのです。

 経営者にとって、事業に対する理念を持つことは大変重要なことですが、
 その理念が一方的な押し売りではビジネスとして成り立ちません。
 第一にお客様に喜ばれること、次に経営として成り立つことが必要です。

相続した共有不動産の分割方法

不動産の分割方法として「代償分割」や「換価分割」があると聞きました。どのような分割方法なのか教えてください。

Q
今月のご相談

 親が亡くなり実家などの不動産を相続することになりました。相続人が複数おり、遺言書もないことから、相続人で協議して分割方法を検討する予定です。その際に、「代償分割」や「換価分割」という方法があると聞きましたが、それぞれどのような方法なのでしょうか。メリットやデメリットについても教えてください。

A-1
ワンポイントアドバイス

 「代償分割」や「換価分割」は、分けにくい不動産などを相続した際に使われる遺産分割の方法で、それぞれにメリットやデメリットがあります。相続人同士で円満に遺産分割を進めるためには、こうした方法の特徴を理解し、自分たちの状況に合った分け方を検討することが重要です。

A-2
詳細解説
1.代償分割の特徴

 代償分割とは、特定の相続人が不動産を取得し、その代わりに他の相続人へ現金などの「代償金」を支払って調整する方法です。例えば実家を長男が引き継ぎ、他の相続人には相続分に応じた現金を支払うといったケースがあります。

 この方法のメリットは、不動産を手放さずに相続できることです。この方法であれば不動産は共有名義にならないため、将来の売却や建て替え、その次の相続の際に問題が起こる心配がありません。

 一方でデメリットは、不動産を取得する相続人には代償金を支払うための資金が必要になることです。相続税の納税資金などを含めた資金計画が重要になります。

 また、代償金の金額は不動産の評価額をもとに決定しますが、固定資産税評価額や相続税路線価、相続税評価額だけでなく、実際の市場価格(時価)も考慮して話し合うことが望ましいとされています。不動産は一物四価といわれ、上記の固定資産税評価額、相続税評価額、市場価格はいずれも違う価格になるため、どの評価額を基準にするかにより、後々のトラブルにつながる可能性があります。

2.換価分割の特徴

 換価分割とは、不動産を売却し、その売却代金を相続人で分ける方法です。不動産を現金に換えて分配するため、公平で分かりやすい方法といえます。例えば、実家を相続してもそこに居住する人がいない、相続人が遠方に住んでいる、不動産を管理する人がいないなど、不動産を利用することがない場合に適した方法です。

 ただし、不動産は必ずしも希望どおりの価格で売れるとは限らず、市場の状況に影響を受けます。また、売却する際には仲介手数料や測量費、解体費、譲渡所得税などの費用がかかる場合があります。さらに、売却方法や価格について相続人全員で話し合う必要があるため、合意形成に時間がかかることもあります。

 不動産の分割方法には、上記の他に「共有分割」もありますが、不動産の共有は将来的な紛争のもとになることが多いためあまり推奨されていません。分割方法は、不動産の性質や相続人の数、今後の利用予定などを踏まえて、相続人同士で十分に協議して決定することが重要です。

 税務面も含めた総合的な観点から検討することで、より円満で納得感のある遺産分割につながります。必要に応じて、専門的な観点からのサポートを受けながら進めるとよいでしょう。

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経営者の退職金と相続

役員退職金は相続対策に本当に有効なのでしょうか?

Q
今月のご相談

 私は中小企業の経営者です。25年前に会社を設立し、現在63歳です。長男が後継者として働いており、7年後をめどに長男に代表を譲る予定で事業承継の計画をしています。最近は相続についても考え始めました。

 先日、取引のある金融機関の担当者から、相続対策の一つとして役員退職金の活用とその準備に生命保険を用いる方法について、提案を受けました。個人の流動資産は十分あり、これまでは相続財産を必要以上に増やさないために退職金は不要と考えていました。そのため、役員退職金規程は作成していません。役員退職金が相続対策に有効であれば検討したいと思います。このプランのポイントや注意点を教えてください。

【想定される相続人】

妻、子3人(長男、長女、二女)

【金融機関から提案されたプラン】
  • 保険種類:積立利率変動型一時払終身保険
  • 一時保険料:2,000万円
  • 死亡保険金:契約~2年間 2,000万円、2年経過後 3,550万円
【プランのメリット】
  • ① 会社の余剰資金を生命保険に変えることで、死亡保障を確保できる
  • ② 万一の死亡退職金と生前に退任した場合の退職金の準備を兼ねることができる
  • ③ 生前に退任した場合には、退職金として生命保険をそのまま支給でき、個人の終身保険としてその後も保障を継続できる
A-1
ワンポイントアドバイス

 役員退職金は相続対策として有効なケースもありますが、生命保険の活用には注意点も多く、慎重な判断が必要です。会社の状況や保険の加入状況等によって注意点も異なりますので、専門家とよくご相談のうえ慎重にご判断ください。

A-2
詳細解説
1.役員退職金と税金の取扱い

 まずは、役員退職金(※1)と税金の取扱いについて解説します。

 役員退職金は在任期間中の功労として税務上一定範囲まで損金算入が認められており、役員退職金規程があれば、それを基準に、規程がない場合は、一般的に「最終報酬月額×在任年数×功績倍率」で算出される額や同業他社の水準、職位などを参考にして損金算入限度額が算出されます。なお従業員の退職金と異なり、支払額は会社の株主総会により決定されます。

 生前に本人が受け取る退職金は退職所得として扱われますが、死亡による退職金は本来亡くなった本人が受け取るものを相続又は遺贈により相続人等が取得するものとして、みなし相続財産と扱われ相続税の対象になります。
 相続人が受け取る場合、死亡退職金は全額が相続税の対象になるわけではなく、非課税となる金額(非課税限度額)が設けられています。この場合の非課税限度額は、「500万円×法定相続人の数(※2)」で計算します。
 今回のご相談の場合、想定される相続人は4人のため「500万円×4人=2,000万円」は非課税となり、相続人が受け取る場合にはメリットといえます。

(※1)役員退職金の定義

  • 受け取る名目にかかわらず実質的に被相続人の退職金等として支給される金品(現物で支給された場合も含む)
  • 死亡退職で支給される金額が被相続人の死亡後3年以内に確定したもの
  • 生前に退職していて、支給される金額が被相続人の死亡後3年以内に確定したもの

(※2)法定相続人の数

  • 法定相続人の数は相続を放棄した人がいても、その放棄がなかったものとした場合の相続人の数
  • 法定相続人の中に養子がいる場合の法定相続人の数に含める養子の数は、実子がいるときは1人、実子がいないときは2人まで
2.役員退職金準備に生命保険を活用する場合、デメリットはある?

 役員退職金の準備のために生命保険を活用することについては、メリットだけでなくデメリットもあります。メリットは金融機関から説明されているとおりで、主なデメリットは以下のとおりです。

  • 会社の資産を固定することになる
  • 解約すると返戻金が払込保険料を下回ることがあり、特に契約から期間が短い時期は元本割れしやすい
  • 資産価値が見えづらく、契約が長期にわたることで契約内容を忘れやすい
  • 経済情勢や受け取る時期によっては、返戻金や保険金の価値が相対的に目減りする可能性がある

 個人の生命保険加入状況によっては、保険契約をそのまま個人へ引き渡す“現物支給”により終身保険を継続する必要性が低い場合もあり、今回、金融機関から説明されたメリットがすべての人にあてはまるわけではありません。会社を経営している方は、想定される財産総額や保険の加入状況を確認し、会社の財務状況、不測事態へのリスク管理を熟慮のうえ、専門家に相談しながら検討されることをお勧めします。

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 インターネットやスマートフォンの普及により、
 様々な情報が手軽に手に入れることができるようになり、
 雑誌や、いわゆるムック本の廃刊や休刊が相次いでいます。

 そんな雑誌不況の中、Gakkenが2010年に休刊となった
 「学研の学習」を復活させるそうです。
 発売は7月なのですが、4月に予約開始が発表されると、
 SNSで話題となり発売前の増刷となったそうです。

 同社は、親会社にあたる学研ホールディングス(学研HD)の祖業にあたる、
 出版事業を引き継ぐ会社で、
 出版不況のなか、学習雑誌の再活躍の場を模索しています。

 現在では考えられないことですが、昭和20年代の学校の教科書といえば、
 薄っぺらで内容の乏しいものでした。
 当時の先生達は、そんな内容であっても一生懸命、
 教え子たちに理解してもらおうと、工夫を重ねていました。

 そんな悩みを解消してくれるのが「副読本」でした。
 先生達が、良い副読本を探していることに目をつけ、
 ビジネスに結びつけたのが学研(現・学研HD)の創業者 古岡秀人氏です。

 短いながらも教壇に立った経験が大いに役に立ちました。
 教育の現場で教師たちが欲しているものが、何であるかが良くわかったのです。
 その後は、戦争を挟んで職を転々と替えることとなります。
 戦前には、生命保険の外交員、小学館の編集者、
 兵役を免れるため、戦争中は戦争遂行協力会社である金属メーカー勤務、
 戦後はいわゆる闇屋で生計を立てたのです。

 闇市で儲けたお金を元手に始めたのが学習雑誌の出版です。
 小さい頃からの母の教え、教職の経験、編集者の仕事、
 いろいろなことが結び付いて出た答えでした。

 人脈は、全くの新参者が販売ルートを開拓するのに大いに役に立ちました。
 教師を辞めた人達を営業マンとして組織化して、
 それぞれの人脈を通じて、学校に回ってもらったのです。
 学研は、今や教育出版をはじめとして総合出版会社となっています。

 教科書の副読本という、大手の出版社から比べると負け犬に近い分野でしたが、
 少しずつ信用を高めていきました。
 その信用が足がかりになり、教育関係の出版に乗り出すことが出来たのです。
 このことは、新規事業を始める時にはとても役に立ちます。

 大手が手掛けている、中心的な分野でビジネスを続けていて、
 いっこうに成果があがらない場合。
 手を付けやすい分野で、既存の業者よりも上手く出来ることが無いか探すことです。
 狭い分野でもひとつずつ信用を築いていくことが、
 新参者がビジネスを有利に進める近道になります。

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