お知らせ

 生命保険契約の内容をいつ変更するかによって、課税関係が異なる場合があります。

 亡くなった父から引き継いだ生命保険契約が2件あります。どちらも数ヶ月後には満期となります。
 この2件のうち①は父が生存中に、②は父が亡くなった後の相続手続きで、2件とも次のように変更しました。保険料は、①②ともに変更前まで父が負担し、変更後は私が負担しています。
 これら①②に対する課税関係を教えてください。

 <契約形態>相談者:A、相談者の父:B

変更前 変更後
契約者(保険料負担者) B A
被保険者 A A
満期保険金受取人 B A

 ①と②それぞれ、相続発生時の課税関係にご注意ください。詳しい内容は、【詳細解説】にてご確認ください。

 ご相談のケースにおける①②それぞれの課税関係は、次のとおりです。

1.相続発生時

① B生存中に契約者・受取人を変更した契約

 名義変更を行った時点では、課税関係は発生しません。
 Bさんが亡くなったとき(=相続発生時)、生命保険契約の権利(=解約返戻金額)のうち、Bさんが保険料を負担した部分について、みなし相続財産として相続税の課税対象になります。

② B死亡後、契約者・受取人を変更した契約

 生命保険契約の権利(=解約返戻金額)が、本来の相続財産として相続税の対象となります。
 なお、死亡に伴う契約者変更は、変更の効力が発生した日が属する年の翌年1月31日までに、保険会社から所轄税務署宛てに一定の事項(変更前後の契約者情報、効力発生日、解約返戻金など)が記載された支払調書「保険契約者等の異動に関する調書」が提出されます。それによって税務署は、契約者変更の事実を把握することができます。

2.満期保険金を受け取ったとき

 満期保険金を一時金として受け取ったとき、①②いずれも、受け取る満期保険金はAさんの所得税(住民税も含む)の対象(一時所得)となります。

 この場合、一時所得を計算する上では、Aさんが負担した保険料だけでなく、Bさんが負担した保険料も含めた保険料全額をAさんが負担したものとして扱われます。その際、Bさんが亡くなった時点の解約返戻金額(相続税計算上の評価額)や、相続税の有無は考慮されませんので、ご注意ください。

 なお、満期保険金についても、1回に支払うべき金額が100万円を超える場合には、支払確定日の属する年の翌年1月31日までに、保険会社から所轄税務署へ一定の事項が記載された支払調書「生命保険契約等の一時金の支払調書」が提出されます。これにより、税務署側で状況が把握できることとなります。

<参考>
 相法3①三、59②、相基通3-35、3-36、所法34、225①四、所規86③二など

 

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。
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