お知らせ

 申込書は提出したものの、保険料はまだ支払っていない保険契約を取り消すことはできますか?

 3日前に、父(78歳)が銀行から生命保険を勧められ、家族の知らない間に契約申込書にサインをして提出しました。相続税の非課税枠(500万円×法定相続人の数)を確保するための保険、と担当者から説明を受けたそうですが、確認したところ、外貨建ての一時払終身保険で、為替変動があることも含め内容を理解していませんでした。
 父は既に、非課税枠のために加入している生命保険(円建て)があります。それを失念しており、担当者に言われるまま手続きを進めてしまったようです。

 あらためて家族で話し合い、父に確認したところ、契約する意向はないので取り消したいと言っています。今回、保険料はまだ支払っていませんが、既に契約申込書にサインをして提出しています。契約を取り消すことはできるのでしょうか?

 生命保険は、申込書を提出してすぐに契約が成立するわけではありません。

 通常、生命保険契約の成立には、一定の手続きが必要です。たとえば保険料の入金が必要な契約において、入金が未了であれば契約は成立していません。成立前であれば、速やかに取扱担当者に申し出ることで取り消すことができる可能性が高いです。

 生命保険契約の成立には、以下の手続きが必要です。

  • 生命保険契約申込書および付随する必要書類の提出
  • 健康状態の告知(診査)
    ※保険会社、商品によっては 告知(診査)が要らない場合もある
  • 初回保険料の入金
    ※キャッシュレス扱い等、入金前に成立する場合もある

 また、クーリング・オフ制度を適用できる場合もあります。一般的には「クーリング・オフに関する書面を受け取った日または申込日のいずれか遅い方から、その日を含めて8日以内であれば、書面により撤回できる」、とされています。ただし、保険会社によって規定が異なりますので、契約手続き時に渡される「注意喚起情報」「約款」に記載されている内容を確認する必要があります。

 他方、以下のような契約についてはクーリング・オフの対象外です。

  • 契約にあたって医師の診査を受けた場合
  • 保険契約が1年以内の契約

 上記のほか、契約者が自分で窓口に出向いて契約をした場合や、自ら指定した場所で契約をした場合なども対象外となります。

 告知(診査)が不要で簡易に契約手続きができる保険商品や、外貨建て商品において、高齢者が理解不十分なまま手続きを済ませ、後日、取り消したい等のトラブルに関する相談が増えています。無用なトラブルを避けるためにも、高齢者のご契約にあたっては提案内容の説明、契約手続きの際にご家族が同席されることをお勧めします。

 なお、生命保険のご契約に関するトラブル等の相談は、一般社団法人生命保険協会で公平中立に受け付けています。そちらの窓口も活用できますので、ご検討ください。

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