18歳6か月の孫へ贈与した住宅取得等資金について、非課税措置の適用を受けることはできますか?
2022年4月に孫が大学へ入学するために、上京することになりそうです。
一人暮らしを希望していることから、マンション一室を孫が購入する予定です。通学中は孫自身が利用し、卒業して他に引っ越す場合は賃貸用へ転用できる立地の良い物件を検討しています。
購入資金は私から孫に贈与して、住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置を適用したいと考えていますが、適用は可能でしょうか。
気になっている点は、孫の年齢が2022年1月1日時点で18歳6か月であることと、購入予定であるマンションはリノベーション済みですが築25年を超えている点です。
なお、その他の要件はすべて満たすと仮定してください。
懸念されている2点のうち、少なくとも受贈者であるお孫さんの年齢については、令和4年度税制改正により改正されることで要件を満たすことができます。ただし適用開始日が2022年4月1日以後の贈与となる点に、ご留意ください。詳細は以下、解説をご参照ください。
1.住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置とは
父母や祖父母など直系尊属からの贈与により、自己の居住の用に供する住宅用の家屋の新築、取得又は増改築等の対価に充てるための金銭(以下、住宅取得等資金)を取得した場合において、一定の要件を満たすときは、一定の非課税限度額までの金額について、贈与税が非課税となります。これを「住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置(以下、非課税措置)」といいます。
この非課税措置については適用期間が定められており、これまでは令和3年(2021年)12月31日が適用期限でしたが、これが令和4年度税制改正により2年延長され、令和5年(2023年)12月31日となります。2.懸念されている2点について
(1)受贈者の年齢要件
これまで受贈者の年齢要件は、「贈与を受けた年の1月1日において、20歳以上であること」でした。
これが令和4年度税制改正により、令和4年(2022年)4月1日以後の贈与から、“20歳以上”が“18歳以上”に引き下げられます。
そのため、住宅取得等資金の贈与が令和4年(2022年)4月1日以後であれば、お孫さんの年齢が18歳でも問題ありませんが、それより前ですと適用することはできません。
(2)築年数の要件
建築後使用されたことのある住宅用の家屋については、これまで「その取得の日以前20年以内(耐火建築物の場合は25年以内)に建築されたもの」という、築年数の要件がありました。
これが令和4年度税制改正により、令和4年(2022年)1月1日以後の贈与から、築年数要件の廃止とともに、新耐震基準に適合している住宅用家屋(登記簿上の建築日付が昭和57年(1982年)1月1日以後の家屋は、新耐震基準に適合している住宅用家屋とみなす。)であることの要件が加わります。
そのため、令和4年(2022年)1月1日以後の贈与であれば、たとえ築25年を超えていたとしても、新耐震基準に適合している住宅用家屋であれば、適用することは可能です。
なお、これまで上記築年数を超えていても、一定の書類により証明されたもの等があれば、これまでも適用することは可能でした。この点は今後も変更はないため、一定の書類により証明がされれば、これまでと同様、要件を満たすことができます。
懸念されている点については、以上のようになります。
非課税措置の適用を希望される場合には、少なくとも年齢要件を満たせるように住宅取得等資金の贈与が令和4年(2022年)4月1日以後である必要があります。
上記以外にも令和4年度税制改正により、非課税措置の内容が改正される点があります。ご不明な点がございましたら、お気軽に当事務所までお問い合わせください。
<参考>
国税庁HP「No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」
財務省HP「令和4年度税制改正の大綱」PDF※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。
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