2022年4月から成年年齢が18歳に引き下げられましたが、事業承継税制の適用はどうなりますか?
今年(2022年)3月に高校を卒業して4月に大学生になった孫(18歳)へ、私が経営している会社(非上場会社)の株式を年末あたりに贈与しようと思います。
『事業承継税制』なるものを利用すれば贈与税が免除されると聞いたので、利用したいのですが可能でしょうか。
2022年4月1日以後の『事業承継税制』の適用に係る贈与に関しては、年齢要件が「20歳以上」から「18歳以上」に引き下げられましたので、年齢要件としては満たされます。ただし、その他の要件が満たされるか否かの判断が必要です。
後継者である受贈者・相続人等が、円滑化法の認定を受けている非上場会社の株式等を贈与又は相続等により取得した場合において、その非上場株式等に係る贈与税・相続税について、一定の要件のもと、その納税を猶予し、後継者の死亡等により、納税が猶予されている贈与税・相続税の納付が免除される制度があります。これを「法人版事業承継税制」といいます。
ご質問の『事業承継税制』は、この「法人版事業承継税制」を指します。
法人版事業承継税制を適用するには、様々な要件を満たさなければなりません。その1つが受贈者の要件です。
受贈者の主な要件として、贈与のときにおいて、次のすべての要件を満たす必要があります。
- 会社の代表権を有していること
- 18歳以上であること
- 後継者及び後継者と特別の関係がある者で総議決権数の50%超の議決権数を保有することとなること
- 一定の議決権数を後継者が保有することとなること
受贈者の年齢要件は、2022年3月31日以前の贈与については「20歳以上」でした。
これは民法の成年年齢が20歳から18歳に引き下げられたことに伴う改正です。
贈与税の特例税率の適用とは異なり、贈与の日における年齢で判断することとなるため、注意する必要があります。
ご相談のケースは、年末に贈与の予定とのことですので、上記受贈者の要件のうち年齢要件としては満たされますが、その他の要件を満たすのかをご確認ください。
なお、受贈者の要件の他、贈与者の要件、会社の要件、円滑化法の認定など様々な要件があります。事業承継税制に関するご相談は、お気軽に当事務所までお問い合わせください。
<参考>
国税庁HP「非上場株式等についての贈与税・相続税の納税猶予・免除(法人版事業承継税制)のあらまし(令和4年5月)」PDF、「民法の改正(成年年齢引下げ)に伴う贈与税・相続税の改正のあらまし」PDFなど
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