文書作成日:2021/02/05
相続人が立て替えた葬儀費用は、相続税を計算するときに相続財産から控除できるのでしょうか。 父が亡くなった際に、子である私が喪主を務めました。参列者から香典も頂きましたが、葬儀社やお寺への支払い、香典返しなどに結構お金がかかり、私が立て替えています。これらの支払った費用は、父の相続財産から返してもらえるのでしょうか? 喪主が立て替えた葬儀費用については、遺産分割協議を通じて香典や相続財産から精算するのが一般的です。また相続税の計算上、一定の相続人等については一定の範囲内で相続財産から控除することができます。 1.葬儀費用の立替と精算
葬儀は、前もって準備万端、ということはまずなく、段取りや費用のことなど、悲しむ間もなくどんどん進めなくてはなりません。そのような中にあって多額の支払いが発生し、喪主の方が立て替え払いをすることは、よくあることといえます。 実際にはその後の遺産分割協議において、相続人全員で相続財産の配分を決めるとともに、葬儀費用の負担割合を決定し、香典の精算などを行うことになるでしょう。香典で精算できなかった部分は遺産分割協議が調い、相続財産を配分する段階で精算し返してもらう、という手続きが一般的です。 2.相続税を計算する上での取扱い
相続税を計算する上での取扱いとしては、葬儀費用を負担した一定の相続人(包括受遺者を含む)は、その人の取得した相続財産から控除することが認められています。 ただし、下表のとおり控除できる費用と控除できない費用があります。
葬儀は、宗教や地域の慣習により、その様式や所要期間など、実に様々です。また、故人の生前の社会的地位によっても、必要となる費用は異なってくると想定されます。 あくまでも上記の表は、どこまでを葬儀費用と認めるかという範囲を示したものに過ぎないため、葬儀費用の控除に当たっては支払いの名称だけでなく、地域や故人の地位等を勘案した上で葬儀に必要な費用なのか、支払い内容にも着目しながらの判断が必要となります。 3.葬儀費用として控除できる相続人等
葬儀費用の負担者すべてが控除できるわけではなく、上記2.に記載したとおり、『一定の相続人(包括受遺者を含む)』に限定されています。 今回のご相談のケースについて、ご相談者が葬儀費用の負担者となった場合には、相続により財産を取得している『日本国籍を有しており、かつ、日本国内に住所がある』相続人として、上記2.の表にある控除可能な葬儀費用に該当する部分について、控除をすることができます。 なお、この『一定の相続人(包括受遺者を含む)』の範囲について、詳細をお知りになりたい方は、当事務所までお気軽にお問い合わせください。 <参考>
相法13、相基通13-4、13-5など
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2021年2月5日