弊事務所では、下記期間を休業とさせて頂きますのでご案内いたします。
休業期間中は何かとご不便をお掛けすることと存じますが、
何卒よろしくお願い申し上げます。
■夏季休業日 8月11日(金)~8月16日(水)
2023年8月3日
弊事務所では、下記期間を休業とさせて頂きますのでご案内いたします。
休業期間中は何かとご不便をお掛けすることと存じますが、
何卒よろしくお願い申し上げます。
■夏季休業日 8月11日(金)~8月16日(水)
2023年7月28日
テレビの旅番組やバラエティ番組でとりあげられることもあり、
コロナ感染禍の間も、人と顔を合わせる機会が少ないと、
ちょっとした秘湯・秘境人気が続いています。
この様な中、秘湯を紹介しつづけている「日本秘湯を守る会」が、
もうすぐ半世紀を迎えます。
当時、高度成長期の波にのみこまれ、
日本中の旅館が「ホテル化」していく中で、収容力が少ない小さな温泉宿や、
交通も不便な山の宿を守る為に宿主が集まり結成されたのが、
「日本秘湯を守る会」でした。
じわりと人気が高まり、所属する旅館を利用するリピーターも多く、
いわゆるポイントカード式のスタンプ帳も発行しています。
利用の都度スタンプが押され、10個溜まると1泊無料招待となっていますが、
最近では、年間1万4千人を超える招待があるそうです。
京都の西部に位置する嵐山に、
観光スポットから少し離れたところに「嵐山温泉」があります。
渡月橋の1キロ程上流にあり、船を使って川を渡り宿にたどり着くのですが、
桂川に面した客室からの眺めは、まさに日常を忘れる思いです。
休業状態あった温泉宿を高級旅館として、リニューアルオープンさせたのは、
軽井沢に本社を置く星野リゾート。
業績不振であった家業の温泉旅館の立て直しを成功させ、
その後、次々とリゾート施設の再建を成功させているのが、
星野リゾートの社長 星野佳路氏です。
90年代に、銀行の金余りのはけ口として利用された、
リゾート施設や老舗旅館は、バブル経済の終焉による不況により、
多額の借金を負うことになってしまいました。
その中でも、星野氏に依頼が回ってくるのは、
通常では再生の見通しが低いとされた、問題のある案件です。
金融機関の手を借りて借金を整理、圧縮したのち、
自らの経験を生かして、これらの施設や旅館を、蘇らせているのです。
どれも、経営が行き詰まったのは、
身の丈に合わない過剰な設備投資により、
借金返済額が膨れ上がったことによる資金不足が大きな原因です。
しかし、再建を進めていくうちに、色々なところに、
経営の無駄が潜んでいることがわかってくるのです。
ある老舗旅館では、内装や施設も申し分なく、
料金も決して安くない設定なのに、利益が上がらない。
よく調べていくと、リピーターの多くが特別料金で宿泊していて、
お客の中には半額以下の金額で利用している人もいたのです。
また、人件費の抑制のためか、従業員のほとんどが、
アルバイトやパートタイマーで賄われていて、勤続期間が極端に短かったのです。
そのため、仕事に対する責任感が低く、会社に対する帰属意識が高くないため、
お客様に対するサービスは低いままでした。
ホテルや旅館の客室の稼働率は70%を取れれば良いとされています、
地方の旅館では50%台のところもざらです。
少しでも空室を埋めようと、閑散時期には料金の値下げを行い、
旅行会社からツアー客を呼び込むことが行われています。
星野氏が力を注いでいるのは、リピーターを増やすことです。
他のホテルなどでは味わうことの出来ない環境を演出することで、
宿泊したお客様が「是非、もう一度泊まりに来たい…」と思わせます。
こうして、外資系高級ホテル並みの料金でありながら、
高いリピート率を誇っています。
マンション価格の高騰による相続税評価への影響はありますか?
最近、首都圏を中心にマンション価格がかなり高騰しているとのニュースをよく見聞きします。相続税評価への影響はないのでしょうか。
国税庁はマンションの「相続税評価額」について、適正化を検討するための有識者会議を設置し、評価の見直しに着手しています。今後、マンションに係る相続税等の評価方法が見直されるものと思われます。
国土交通省が公表している不動産価格指数によると、2010年を100としたマンション(全国)の価格指数は、2023年1月時点では189.4と2倍近くまで上昇しています。
また、民間の調査会社である不動産経済研究所が公表している「首都圏 新築分譲マンション市場動向」(2023年4月)によると、首都圏の新築分譲マンションの平均価格は7,747万円、特に東京23区は1億1,773万円であり、一般的なサラリーマン世帯では手を出しにくい水準まで高騰しているといえます。
相続税法では、相続等により取得した財産の価額は「当該財産の取得の時における時価(客観的な交換価値)」によるものとされており、その評価方法は国税庁の財産評価基本通達に定められています。
マンションの相続税評価の方法は以下のとおりです。
上記のように、土地については「相続税路線価」を用いた路線価方式(又は倍率方式)、建物については「固定資産税評価額」をもとに土地は敷地権割合、建物は専有面積の割合により按分して算定されます。このため、敷地面積あたりの戸数が多いマンションは、一戸建て住宅より「相続税評価額」と「時価」との乖離が生じやすいといわれています。
特に戸数が多く高層階ほど時価が高くなるタワーマンションではその傾向が顕著で、富裕層が相続税対策のために高額なタワーマンションの高層階を購入する、いわゆる“タワマン節税”という言葉も一般的です。
なかには「相続税評価額」と「時価」の乖離を利用し、過剰ともいえる節税対策を行ったことにより、その有効性をめぐって相続人が国と裁判で争うケースもみられます。
特に2022年4月19日の最高裁で、あからさまな相続税の負担軽減を意図したものと認定され、鑑定評価額を適用した課税処分が適当であるとの判決が出たことは、記憶に新しいところです。
このような事例を受けて、令和5年度(2023年度)与党税制改正大綱では、マンションの相続税評価額について、適正化の検討が記載されました。
この流れを受け、国税庁は市場価格との乖離の実態把握とその要因分析を的確に行った上で、不動産業界関係者などを含む有識者の意見も聴取しながら通達改正を検討することになり、有識者会議がすでに何度か開催されています。
2023年6月22日に開催された有識者会議では、通達の見直し案が提示されました。今後マンションに係る相続税等の評価方法が、パブリック・コメントを経て改正されるものと思われます。改正による評価への影響を注視する必要があるといえます。
2023年7月5日
保険料負担者が複数人いる死亡保険金の課税関係はどのようになりますか?
私の祖父が亡くなりました。私は祖父の相続人ではありませんが、祖父は生命保険に加入しており、私が受取人になっていたため、死亡保険金を受け取りました。保険料を3人(祖父、父、私)で負担して、払込みは終わっています。この場合、受け取った死亡保険金の課税関係はどのようになるのでしょうか。契約内容は以下のとおりです。
今回のご相談の場合、受け取った死亡保険金の課税関係は、誰が負担した保険料に対応する保険金かによって異なります。
死亡保険金の受け取りに対する課税の取扱いは、保険料負担者と保険金受取人との関係で、次のとおり異なります。
契約形態 | 課税関係 | |||
---|---|---|---|---|
被保険者 | 保険料負担者 | 保険金受取人 | ||
① | 甲(被相続人) | 甲(被相続人) | 乙 (甲の相続人) |
相続税 (非課税枠の適用あり) |
② | 甲(被相続人) | 甲(被相続人) | 丙 (甲の相続人ではない) |
相続税 (非課税枠の適用なし) |
③ | 甲(被相続人) | 丁 | 乙 | 贈与税 |
④ | 甲(被相続人) | 乙 | 乙 | 所得税 住民税 |
①・②:被相続人である甲が負担した保険料に係る死亡保険金については、相続または遺贈により取得したものとみなして、相続税が課税されます。ここでの「非課税枠」とは、死亡保険金の受取人が相続人の場合に、相続税の課税上、相続税の課税財産とみなされる死亡保険金の合計額のうち、「500万円×法定相続人の数」までが非課税となる制度のことを指します。乙は甲の相続人のためこの非課税枠が適用できますが、丙は甲の相続人ではないため、非課税枠は適用できません。
③:保険料負担者が被相続人以外の者で、保険金受取人が保険料負担者と異なる場合に死亡保険金を受け取ったときは、保険料負担者から保険金受取人に対して死亡保険金を贈与したとして、贈与税が課税されます。
④:保険料負担者と保険金受取人が同一人であり、かつ、その者が被相続人以外の場合に、死亡保険金を受け取ったときは、一時所得として所得税及び住民税が課税されます。
ご相談の場合、保険料負担者は、ご祖父様、お父様、相談者ご本人の3人です。一方、保険金受取人はご相談者様のみとなります。
このような関係の場合の課税関係は、次のとおりとなります。
契約形態 | 課税関係 | ||
---|---|---|---|
被保険者 | 保険料負担者 | 保険金受取人 | |
ご祖父様 | ご祖父様 | ご相談者様 (ご相談者様の相続人ではない) |
相続税 (非課税枠の適用なし) |
ご祖父様 | お父様 | ご相談者様 | 贈与税 |
ご祖父様 | ご相談者様 | ご相談者様 | 所得税 住民税 |
被相続人であるご祖父様が負担した保険料に対応する保険金額は、遺贈により取得したものとみなして相続税が課税されます。この場合、ご相談者様はご祖父様の相続人ではないため、非課税枠は適用できません。
また、お父様が負担した保険料に対応する保険金額は、贈与税が課税されます。
その他、ご相談者様(孫)が負担した保険料に対応する保険金額は、一時所得として所得税・住民税が課税されます。
保険金額は、各々が負担した保険料の保険事故までに支払った保険料全額の割合によって按分計算します。
ご相談の場合は、次のとおり按分計算します。
<ご祖父様から遺贈によって取得したとみなされる保険金額>
<お父様から贈与によって取得したとみなされる保険金額>
<ご相談者様(孫)本人が取得したとみなされる保険金額>
このように死亡保険金の受け取りに対する課税の取扱いは、保険料負担者と保険金受取人の関係によって異なります。どのパターンが最も有利となるかは、状況次第で異なります。相続に関するご相談は、当事務所までお気軽にお問い合わせください。
2023年6月23日
ライセンスビジネス。
古くはサンリオが行ってる、オリジナルなキャラクターを
他社に使ってもらい、使用料を得るビジネスモデルが有名なところです。
デジタル技術の進化により、様々なものが知的財産権として価値が高まり、
最近では、ソニーや任天堂もこの分野に力を注いでいます。
私が社会に出た頃は、
アパレルを中心に欧米のブランドのライセンス商品が多く販売されていました。
直輸入品は高くても、日本製のライセンス商品であれば、
かろうじて手の届く価格だったので、
ブランドのロゴマークを見せびらかすため、競って買ったものでした。
当時、アパレルや雑貨品など、ファッション関係の商品を扱う企業の多くは、
海外ブランドのライセンスを買取り、売上を伸ばしていました。
バーバリーのライセンス商品で、一大ブームを巻き起こした、
アパレルメーカーの三陽商会もその一つです。
しかし、このようなビジネスも半世紀が経ち、
ライセンスの更新が出来なくなると、売上の大半が欠け落ちる結果となります。
日本企業は、モノづくりには長けていますが、ブランド作りは得意とは言えません、
ライセンスを作る方、使う側、どちらにしても長期的な視線が必要となります。
石油販売会社の経理をしていた吉原信之氏が、
独立して手がけたのは切断砥石の販売でした。
終戦の混乱期には、軍から出た廃材に目をつけ、
防空暗幕や風船爆弾用の紙、スポンジなどを売りに回りました。
暗幕は服に仕立て上げ、風船爆弾用の紙は子供用の雨合羽へ、
スポンジはボールに加工しました。
どれも、廃材だけにいつでも手に入るというものではなく、
量にも限りがあったため、商売には向いていませんでした。
ある時、少しではあるものの、
絹(オイルシルク)を手に入れる目処がつきます。
やっと、継続的に仕入れることが出来る商品にめぐり合い、
この生地を使ってレインコートを作る商売をしようと決意したのです。
最初の頃、レインコートをデパートへ営業に出向くと、
決まって、担当者から製造元のブランドでは困ると条件をつけられました。
吉原氏は、「製品に責任をもちます、お店に迷惑をかけません」と、
何度も説得を繰り返し自主ブランドでの納品に漕ぎ着けたのです。
商品の良さが顧客の目に留まり、三陽商会はコート業界ではトップとなり、
コートの「サンヨー」として名が知れ渡るようになります。
そして、レインコートを「雨よけ」の実用品から、
ファッション商品の仲間入りをさせたのです
一方、このままでは小さな商売に終わってしまうという危機感から、
早くから、海外の有名ブランドと提携することを考えます。
その理由は、「いろんな人の知恵と手をつかってやっていく」
ことだと語っています。
自社以外のブランドという力を借り、
自分では出来ないことを行って事業を発展させていったのです。
原動力となったのが、海外ブランドのライセンス商品でした。
こうして、レインコートから出発した「サンヨー」でしたが、
スーツ、ドレス、カジュアルウエアにアイテムを増やし、
アパレルメーカーと成長していくのです。
三陽商会では、バーバリーの後継を目指す新ブランドで、
ワンピースやブラウスに撥水加工を施した新商品を発表するなど、
得意分野のノウハウを利用して、認知に向けて力を注いでいます。
また、「100年コート」と銘打って、国内の縫製工場で製作し、
専用に選んだ生地で、ボタンは手作業で付けられています。
しかし、大きな看板を失った損失は大きく、
リストラや経営陣の交代等、前途多難な経営が続いています。
2023年6月21日
今回は相談事例を通じて、登記済証(権利証)を紛失した場合の対応についてご紹介します。
終活を始めようと思い、まずは土地の登記済証(権利証)を探したのですが、見当たりません。悪用され、不正な登記をされないか心配です。不正な登記を未然に防ぐ手段はありますか。
不正登記防止の申出制度(不動産登記事務取扱手続準則第35条)があります。この制度は、不正な登記がされる差し迫った危険がある場合に、申出から3ヶ月以内に不正な登記がされることを防止するための制度です。
申出は不動産の所在地を管轄する法務局に対して行います。申出本人の出頭が原則ですが、代理人が出頭して行うこともできますので、ご希望があればお近くの司法書士へご相談ください。
不正登記防止の申出制度は、現在発行(通知)されている登記識別情報の場合にも利用できます。登記識別情報の場合は、不正登記防止の申出制度のほかに失効制度(不動産登記規則第65条)も利用できます。
失効とは、発行(通知)されている登記識別情報を無効にすることです。失効をするには、不正な登記をされる危険のある場合に限られず、理由は問われません。ただ、登記識別情報は一度失効すると再発行(再通知)はされませんのでご注意ください。なお、権利証を紛失した場合にも再発行はされません。
登記済証や登記識別情報をなくした場合でも、以下の代替措置により登記はできます。
(1)法務局からの事前通知による方法
法務局より登記名義人に対して、登記の申請があった旨及びその内容について事前通知が発送されます。事前通知は、登記名義人の住所地にあてて本人限定受取郵便にて送られます。受け取った登記名義人が、申請に間違いない旨の通知を法務局に対して返送することで、登記済証・登記識別情報の確認に替えるものです。
(2)司法書士等の本人確認による方法
登記の申請を司法書士等の資格者に依頼する場合には、その司法書士等が登記名義人について確認した、本人確認情報を提供することで、登記済証・登記識別情報の確認に替えるものです。また、公証人に本人確認情報の作成を依頼することもできます。
なお、本人確認情報の作成手数料は事務所によって異なりますので、お近くの司法書士までご相談ください。
被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例は、いつまで適用できますか?
父が生前住んでいた家(私にとって実家)を相続することになったのですが、相続人である子3人とも自宅を所有していることもあり、誰も欲しがりません。そのため一旦、子3人の共有名義とし、売却後に売却代金(諸費用を除いた手取分)を等分することになりそうです。
たしか、相続した居住用財産を一定期間内に売った場合は、特別控除が適用できると聞いています。この制度は当分の間、適用できるでしょうか?
ご相談の特別控除(被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例)については、令和5年度税制改正で一部見直しの上、適用期限が4年延長されました。そのため、2027年(令和9年)12月31日までの間に売って、一定の要件に該当することで当該制度を利用することができます。
被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例とは、相続又は遺贈により取得した一定の被相続人の居住用家屋又はその敷地等(以下、空き家)を、一定期間内に売り、一定の要件に該当するときに、所得税の計算上、譲渡所得の金額から最高で3,000万円まで控除することができる制度です(以下、空き家の3,000万円特別控除)。
一定の要件とは、主として次のとおりです。
令和5年度税制改正において、空き家の3,000万円特別控除は主に次の改正がされた上で、適用期限が4年延長されました。これにより改正後の適用期限は、2027年(令和9年)12月31日となりました。
この改正は、2024年(令和6年)1月1日以後に行う空き家の売却について適用されます。
ご相談のケースは、ご実家が一定の要件に該当し、かつ、一定の要件に該当する売却を行っていれば、2027年12月31日までの売却について、空き家の3,000万円特別控除の適用は受けられるものと思われます。売却日の留意点として、この改正による適用期限よりも前に「相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日」が到来する場合には、その到来する日までに売却する必要があります。その点にご注意ください。
なお、2024年1月1日以後の空き家の売却については、上記改正のとおり、「空き家を取得した相続人の数が3人以上である場合は、特別控除額を最高で2,000万円とする」こととなります。ご相談のケースはまさにこの制限の対象となるため、2023年中の売却であれば3人で最高9,000万円(3,000万円×3人)控除できるものが、2024年以降の売却になると最高6,000万円(2,000万円×3人)の控除に減ります。この点もご留意いただきながら、売却時期をご検討いただければ幸いです。
相続財産の譲渡に関する税のご相談は、お気軽に当事務所までお問い合わせください。
<参考>
国税庁HP「No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」
財務省HP「令和5年度税制改正の大綱」など
2023年5月26日
5月は上場会社の多くが決算報告を行う時期となっており、
月末を迎える今では、ほとんどが決算発表を終えています。
新型コロナウイルス禍から回復を見せている、旅行や運送関連などが好調な半面、
円安や資源高の影響で、製造業は芳しくない結果となりました。
元旦を一年の始まりとして、12ヶ月を数えるのを「暦年」と言い、
これとは別の数え方で、一年間を数えることを「年度」といいます。
国や上場している会社などは4月1日を一年の始まりとして、
決算を組んでいて、このことを「会計年度」といいます。
会社の場合は、その「年度」を自由に決めることが出来て、
請求の締め切りにあわせて、○月21日から○月20日の
一年としている会社も結構あります。
アメリカは10月、中国は1月が、会計年度の始まりとなっています。
事業の規模の大小にかかわらず、経営を続けていくうえで「蓄え」
つまり、貯蓄は非常時や緊急時に大きな支えとなってくれます。
ところが、、事業が順調に運んでいるときには、大きな利益を生まない貯蓄は、
効率が悪いと考えられ、すぐに換金することができない
「投資」へまわされることが多いものです。
さらに、「蓄え」にたどり着くには、安定した経営をすることが大切です。
無計画な事業拡大は命取りになりますが、かといって現状に甘んじていては、
時代の波に取り残されることになりかねません。
適度に、前に進むことが肝心なのですが、そのコツはどのようなものでしょう。
客商売である以上、雨の日はどうしても客足が鈍ります。
そんな時でも、時計店は客が少なくても、店員は時計の修理に励んでいる。
「時計業は、大切な時間を無為に過ごさなくて良い」
こう考えた服部金太郎氏は、時計の世界に足を踏み入れ、
後に世界のセイコーとなる服部時計店を開業することになるのです。
国内ではいち早くクオーツ時計の開発を手がけ、
世界初のクオーツ腕時計を発売し、一躍世界のトップメーカーとなりました。
時計の開発に派生して新しい事業が次々と生まれ、
今やその事業のいくつかが本業として成り立っているのです。
服部氏は無一文から出発して、堅実なビジネス・スタイルで、
現在のセイコーグループの基礎を築きました。
その中には、今でも決して色褪せしない、ビジネスの基本が残されています。
彼は、商売を始めるときの条件を次のように言っています。
・少ない資本ではじめられること
・将来大きく伸びる見込みがあること
・コツコツやっていても、努力次第で発展できること
同業者が仲間同士で商品を融通しあっているときには、
外国の貿易商から仕入れを始め、同業者が貿易商と取引を始めた頃には、
外国から直接輸入をしいました。
そして、周りが輸入を始めたことには、すでに自分の手で時計の製造を
開始していたのです。
また、ビジネスは周りより一歩先に進むことが大切だと言っています。
逆に、何歩も進みすぎることは、預言者になってしまうので
慎まないといけないと忠告しています。
2023年5月22日
農地の購入に必要となる農家資格について教えてください。
市街化調整区域内の農地を相続しましたが、自身で管理できないため売却したいと考えています。お隣の農地を耕作している方に購入を打診したところ、「農家資格がないため購入できない」と断られました。農地購入の際に必要となる農家資格とはどのようなものでしょうか。
農家資格とは、農地の権利移動あるいは他用途への転用を行う場合に必要なもので、農地法に定められた許可を得る必要があります。農地法の許可の種類や許可基準については、詳細解説をご確認ください。
目的(権利移動・転用等)により許可基準が異なり、その根拠条文は以下のとおりです。
農地として権利移動する場合、①により農業委員会の許可が必要となります。市街化区域内の農地の場合、②および③は、農業委員会への事前届出で足りるため、転用あるいは転用を目的とした権利移動については、容易に行うことができます。
ただし、市街化調整区域内の農地の場合は、目的にかかわらず、①から③のいずれかの許可が必要となります。
今回のご相談は売買のため、上記1.①の許可が必要となります。つまり、許可基準は農地法第3条によります。
農地法第3条には、許可基準について以下のように規定されています。
上記のとおり、農業委員会の許可を得なければ権利移動することができず、その許可を得るためには、以前は下記のI.~IV.の条件をすべて満たす必要がありました。
ただし、令和4年に農地法が一部改正されたことにより、上記Ⅲ.の条件は撤廃され、令和5年4月1日以降の許可分から下限面積要件はなくなりました。なお、相続や包括遺贈、時効取得による権利移動の場合は、農地法第3条の許可を要しません。
お隣の方が認識している「農家資格」とは、I.~IV.の条件をすべて満たすことを指していると思われます。
下限面積要件の撤廃は最近の改正であり、まだあまり周知されていません。もしかするとお隣の方はⅢ.の条件を満たしていないために、農家資格がないと判断されているのかもしれません。上記をお伝えした上で、確認されてはいかがでしょうか。
2023年5月8日
生命保険への加入は相続対策として預金にはない効果を期待できるのでしょうか。
70歳になり相続について真剣に考えるようになりました。保有している財産状況から相続税は避けられそうにありません。先日、同世代の知人から、納税資金の準備は預金より生命保険の方が有効なので加入した方がよいとアドバイスを受け、保険代理店を紹介されました。預金と家賃収入が十分あり生命保険は不要と考えていたため、これまで加入した経験がありません。相続対策として預金にはない効果を期待できるなら加入しようと思いますが、営業担当者の説明だけで決断することに不安があります。客観的な立場から相続における生命保険の有効性、生命保険と預金の違い、注意点について教えてください。
相続人は妻と子2人の予定です。受取人は子2人5割ずつ指定すればよいといわれました。
生命保険は預金よりも有効とされるポイントがいくつかあり、相続において有効と考えられます。預金との違いと注意点については詳細解説をご確認ください。
提案された契約形態で死亡時に子が受け取る死亡保険金は受取人固有の財産ですが、相続税の計算上は、みなし相続財産と扱われ課税対象となります。相続税の対象となる点は預金と同じですが、以下の点で違いがあり、生命保険は相続において有効と考えられます。
契約者(保険料負担者)、被保険者ともに被相続人となる生命保険契約で、相続人が受け取る死亡保険金は、非課税枠「500万円×法定相続人の数」を適用できる。
生前に契約者が死亡保険金受取人を指定するため、契約者の意思により遺したい人に確実に遺せる。
生命保険の死亡保険金は、一般的に保険会社所定の保険金請求書、死亡診断書、死亡日を証明できる公的書類(除籍謄本など)があれば請求手続きができ、書類提出から1~2週間で受取人指定の口座に入金されます。
一方、預金は亡くなった旨の通知があったときから口座が凍結され、遺産分割が終了するまでの間、相続人単独では払戻しを受けられないことがあります。そのため、平成30年の民法改正(平成31年7月施行)により、遺産分割前に相続預金口座の払戻し制度が設けられ、相続人単独で払戻しを受けることができるようになりました。しかし、その手続きには被相続人の除籍謄本以外に相続人全員の戸籍謄本が金融機関ごとに必要など、死亡保険金請求よりも必要書類が多く、払戻し額は一定の範囲内に制限されています。
上記のとおり死亡保険金はあくまでも受取人固有の財産であり、相続財産ではないため通常は、遺産分割協議の対象にはなりません。そのため、原則として遺留分を計算する際も対象に含まれません。
このように預金よりも有効とされるポイントがいくつかある一方で、次のような注意点もあります。
相続対策の検討は、保有している財産全体を踏まえて、納税見込額や財産の分け方などを整理しておく必要があります。保険金額や受取人についても慎重に検討した方がよいでしょう。
相続対策に関するご相談は、当事務所までお気軽にお問い合わせください。